青山学院大学 AGU NEWS Vol.7
AGUニューズ[2001年12月~2002年2月号]
青山学院大学・広報入試センター広報課
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25 TEL.03-3409-8111(代表)




●第10号発行記念「特別座談会」
 青山学院の将来構想

●総合研究所の
 “改革”がスタート

●クリスマス・ツリー点火祭
●硬式野球部2選手が
 ヤクルトスワローズから
 同時指名



●秋光教授が「紫綬褒章」受章!
●機械創造工学科から
 生まれたエコ・カー

●「りこうがくぶ公開」報告
●本学の2教授
 秋の園遊会に招待される



●アジアの政治
 ―新世紀のアジアと日本の
  関わりを考える―



●高校1・2年生のための
 新キャンパス説明会開催報告

●相模原新キャンパス
 Photograph

●シリーズ大学探訪9
 アーサー・D・ベリー




青山学院大学の週間HOTニュース

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タイトル

林光一
理工学部機械創造工学科
林 光一 教授

 地球環境問題への意識が高まっている現在、電気自動車、ハイブリッドカー、そして近々市販車が登場する予定の燃料電池車など、さまざまなタイプの環境対策車(エコ・カー)の研究開発が本格化しています。そんな中、機械創造工学科の林光一研究室が開発した「液体窒素自動車」は、これまでの発想とまったく異なる動力源を持ったエコ・カー。2001年8月に試作車による時速40kmでの走行実験に成功し、新聞報道されるなど注目を集めました。(日本経済新聞、日刊工業新聞2001年8月16日付にて掲載)

 そもそも林教授の専門分野は、航空宇宙工学や数値流体力学です。研究室では「新世界へのExploration(探検)」をテーマに、極超音速機など先端の航空宇宙技術の研究をメインにしていました。しかし、やがて乗り物とそれを取り巻く文明社会のあり方への関心から、「環境・安全問題」へと研究領域が広がってきたといいます。
 「実は液体窒素自動車のもともとの発想は、同じ分野の研究者として交流があったアメリカ・ワシントン大学のヘルツベルグ博士のものでした。このアイデアを博士から聞いて、日本ではまだ誰も手がけていない技術でしたから、私は大いに関心を持ちました。するとぜひ日本で広めてほしいと博士自ら要請され、本格的に研究をスタートさせることにしたのです」
 零下196℃以下で液体となった窒素が、室温で気体に戻る(気化する)際に体積が1000倍以上に膨らみます。その膨張エネルギーを利用してタービンを回すのが液体窒素自動車のメカニズム。燃料電池車の複雑なシステムと較べると驚くほどシンプルです。また、燃料となる液体窒素は、空気の約3/4を占める窒素が原料。液体窒素自動車は気化した窒素を再び空気中に排気するので、排ガスによる環境への影響もほとんどありません。さらにガソリン以外を燃料とするエコ・カーは、水素、天然ガス、メタノールなどで研究開発が進んでいますが、液体窒素は空気中での発火の危険性がなく、その安全性や無害性の面でもっとも優れています。また、液体窒素の供給には、従来のガソリンスタンドのインフラを流用することも可能で、次世代自動車としての実用化への期待も膨らみます。


液体窒素自動車前にて

 ワンボックスの軽自動車の荷室にボンベと熱交換機を搭載した第一号試作車では、液体窒素をボンベにつながったバルブの開閉によって燃料供給を行っています。そのため、試運転時には、ハンドル操作をするドライバーのほかにバルブを操作する学生が乗り組んでいました。アクセル操作とハンドル操作をそれぞれ別の人間が受け持ったのです。
 「最初の試作車はあくまでも第一段階。市販の汎用タービンや熱交換機を流用して、ローコストで作りましたので、性能的にはいわば自動車の始祖であるT型フォードのレベルといえます。これから各部品を最適化し、改良を加え、走行距離やパワーアップを図っていきます。理論上のエネルギー効率は電気自動車と同等以上ですし、走行コストもリッター15km走るガソリン車に十分対抗できるレベルまでいくはずです」
 現在、アクセルペダルによる燃料の供給や変速ギアなどを組み込んだ次の段階の試作車を学生とともに製作中です。
 「今後も研究のスピードをゆるめず、しかし焦らず、着実に研究を続けていきたい。新聞で発表されて以来、さまざまな企業から問い合わせや協力要請がありました。今後はこうした企業とも協調しながら、液体窒素自動車を環境志向の世の中を動かしていくムーブメントに広げていきたいですね」
 液体窒素自動車は、エコ・カーの本命とされている燃料電池車との競合が予想されますので、林先生は社会へのプレゼンスを高めるために次のステップとして液体空気によるエコ・カーも考えているそうです。
 「原理が単純な液体窒素自動車の研究は、研究者として評価される研究ではありません。しかし世の中に貢献し、しかも学生が関心を持って取り組める研究テーマなので、地球市民として、教育者として、私自身やりがいを感じて取り組んでいます。本来の研究もありますので、私の仕事は忙しくなりますが、それは仕方ありません。学生のため、大学のためにがんばりたい」
 なお、林先生は液体窒素自動車の他にも「社会にインパクトを与える研究」を進めています。

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