青山学院大学 AGU NEWS Vol.1
AGUニューズ[7~9月号]
青山学院大学・広報入試センター広報課
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25 TEL.03-3409-8111(代表)




●第1回バーチャル・ユニバーシティ
 研究フォーラム開催

●AMLプロジェクト成果報告会開催


●深町院長 韓国の啓明大学より
 名誉博士号を受ける

●国際政治経済学部に2つの寄附講座
●教育学科における
 心理学教育について

●法学部学科改組が認可
●国際政治経済学部
 定員変更申請が認可

●Bit Valley発の次世代
 ネットビジネスをめぐる
 講演会開催

●「連合ロー・スクール
 (法科大学院)合同検討会」
 開催について



●1999年度就職活動を振り返って
●介護等体験について
●女子学生生活セミナー開催
●2000年度
 課外教育プログラム実施状況

●ボランティアへの取り組み
●2001年度一般入学試験日程
●第7回大学同窓祭開催
●公開講座のご案内


●アジアの経済発展と
 通貨金融危機
 ―問われる日本の役割―



●オープンキャンパス開催日程
●2000年度進学相談会開催一覧
●清里サマー・カレッジ
●シリーズ大学探訪2
 ドーラ E. スクーンメーカー






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タイトル

タイトル

伊藤教授
国際政治経済学部教授・大学院国際政治経済学研究科長
伊藤文雄(いとうふみお)
専門分野は商学で、研究テーマは市場経済システムにおける市場取引のメカニズムの解明。日本商業学会、日本経営学会、日本経済政策学会、Association for Evolutionary Economics(国際学会)所属。政府委員やアメリカの大学の研究員なども歴任し、現在、文部省大学設置 学校法人審議会専門委員

 情報通信ネットワークの発展・普及、それに伴う情報インフラの整備により、大学における教育・研究のスタイルが大きく変わりつつある現在……。各大学では、IT技術を駆使した遠隔授業など、バーチャル・ユニバーシティへの取り組みを進めています。
 青山学院大学では、すでに1992年に大学院国際ビジネス専攻において教育の国際化の一手段として、遠隔授業の試みをスタートさせています。その8年間の実績は、大きな注目を浴びており、去る4月27日(木)に、本学において文部省・教育メディア開発センターが主催する「第1回バーチャル・ユニバーシティ研究フォーラム」の会場に、本学9号館3階グローバルクラスルーム・オーディトリアムが選ばれました。
 フォーラムは「ここまできているバーチャル・ユニバーシティの現状」をテーマに、「海外と連携するバーチャル・ユニバーシティ」「同時双方向、衛星利用、SCS」「通信制の双方向バーチャル・ユニバーシティ」などの講演、および質疑応答などが行われ、今後、月1回のペースで第6回まで開催される予定です。
 今回「海外と連携するバーチャル・ユニバーシティ」の講演を行った大学院国際政治経済研究科長である伊藤文雄教授に、フォーラム開催の経緯と本学における遠隔教育の取り組みについてうかがってみました。
scs車載局 本学8号館に横づけされたSCS車載局



「バーチャル・ユニバーシティ研究フォーラム」は、全国の国公立・私立大学が、それぞれの遠隔授業への取り組みを披露し、情報を共有していこうとするものですが、記念すべき第1回が青山学院大学で開催されたのはなぜですか?

伊藤 一言で言えば、本学の遠隔授業が、我が国の大学における遠隔授業の先駆であり、現在も他大学を一歩リードしている存在であるからです。
 ご存じのように、本学では1992年にカーネギー・メロン大学との国境を越えた遠隔ビジネス教育=グローバルクラスルームをスタートさせました。しかし、当時はまだインターネットという言葉さえ一般に知られておらず、遠隔授業なんて「時期尚早」と考えられていました。実際、当初は技術的な面でまさに“綱渡り”している気分を味わいました(笑)。現在では、そうした技術面での問題はほぼ解決され安定した遠隔授業を運営しています。
 実は本学以外のフォーラム参加大学は、文部省とメディア教育開発センターが運営するSCS(スペース・コラボレーション・システム=衛星通信大学間ネットワーク)を利用した双方向同時授業の形態を採用しています。これに対して本学の場合は、教育プログラムだけでなく、情報インフラの整備までまったく独自の路線でやってきました。というのも公的機関が運営する情報基盤を利用することによって、さまざまな面で制約を受ける可能性があり、必ずしも私たちの希望通りの遠隔授業が実現できないと考えたからです。今回のフォーラムでは、かえってそうした本学の独自路線への期待が感じられました。
 大学院国際政治経済研究科とカーネギー・メロン大学産業経営大学院で行っているのは「FAST」というファイナンス教育の遠隔授業です。毎年秋学期に正規の科目として3ヶ月にわたって開講していますが、こうした例はわが国ではまだありません。第1回フォーラムの会場となった9号館のグローバルクラスルーム・オーディトリアムも、あらかじめテレビ会議システムと高速デジタル回線を使った遠隔授業を想定して設計されたもので、各大学の参加者の方々の注目を浴びていたようです。

「FAST」とはどのような授業なのですか?

伊藤 ネットワーク上にバーチャルな金融市場を形成し、株式、先物、オプション、通貨為替などの金融証券や市況商品などを、日米の学生がトレーダーとして臨場感豊かに、リアルタイムでシミュレートする授業です。もともとファイナンスの分野はボーダレスな学問であり、遠隔授業の題材としては最適でした。
グローバルクラスルームとしては、「FAST」以外に「国際ビジネス・シミュレーション(マネジメント・ゲーム)」も開講しています。これは架空の会社を運営するもので、カーネギー・メロン大学産業経営大学院のほか、スウェーデンのUMEA大学院も参加して、やはり毎年秋学期3ヶ月にわたって、正規科目として開講されています。

フォーラム

遠隔授業の運営に際して、今後の課題としていることはありますか。
伊藤 海外とのリアルタイムの遠隔授業を行う際にいちばんネックとなるのは、もはや技術的な問題ではなく、時差の問題です。カーネギー・メロン大学とは14時間の時差があり、こちらが昼間ですと、あちらは前日の夜。双方にとって都合の良い時間に授業を設定するのに苦労しました。今後は時差の少ないアジア・オセアニア地域の諸大学との連携を積極的に図っていきたいと思っており、すでにさまざまなプロジェクトが始動しています。たとえば、政府のODAの一環として中国の上海市・復旦大学、瀋陽市・東北大学のグローバルクラスルームの実現に本学が協力しています。このほか韓国やシンガポールの大学などとの連携も進んでおりますし、現在オーストラリアの大学とも交渉が進んでいます。こうした連携をベースに将来的にアジアを中心とした“環太平洋バーチャル・ユニバーシティ”を構想しています。
 アジア諸国との連携は、時差が少ないメリットだけではなく、この地域の持続的な経済発展のためにも重要なことだと考えています。いわば教育による国際貢献を意図しているわけです。
また、私たちは数年前より『グローバルクラスルーム国際会議(The Global Classroom Conference)』も開催しています。こちらはアジアだけでなく世界中の大学やわが国のIT関連企業に多数参加していただいて、遠隔授業に関する意見交換を行っています。

遠隔授業=バーチャル・ユニバーシティの広がりは、私たちに何をもたらすのでしょうか。

伊藤 情報ネットワークの発展により、私たちの生活環境が大きく変わっています。ところが人間の意識はなかなか変わりません。そして若い人々に対してそのギャップを埋めていくのは、教育の使命です。教室において一つの課題を同じ立場にある他国の人々と対等に学ぶことによって、学生は異文化の考え方、物の見方 を知ることができます。異文化間の相互理解は、そこから始まるのではないでしょうか。
 前の戦争のことを考えてみてください。日本人はアジア諸国に対する思いやりの気持ちを欠いたまま戦争に突入し、その結果、これらの国々に多大な損害を与えました。そうした不幸な歴史を繰り返さないためにも、私は教育の役割は大きいと思います。遠隔授業というと、その技術的側面ばかりに目を奪われがちですが、ネットワーク技術を使って「何をやるか」がもっとも重要です。私は、異文化間の相互理解こそ、その大きな目的だと考えています。国際的なビジネス市場において、“異文化の共生”は今後ますます大きなテーマになってくるはずですから。

ところで「バーチャル・ユニバーシティ研究フォーラム」は、今後どのような予定になっているのですか。

伊藤 第2回は5月下旬「バーチャル・ユニバーシティの海外の状況」をテーマに開催します。以降、「バーチャルユニバーシティと大学改革」「ビジネスモデル」「海外との連携」「研究と技術」といったテーマで毎月開催され、フォーラムにおける成果をもとに将来的には文部省による「バーチャル・ユニバーシティ構想」が進められる予定です。国内でのこうした動きにも協力しながら、本学ではやはり独自の“環太平洋バーチャル・ユニバーシティ構想”の実現に意欲的に取り組んでいきます。
今後も、青山学院大学が我が国におけるバーチャル・ユニバーシティのトップランナーでありつづけるわけですね。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
(2000年5月15日・於青山キャンパス8号館)

フォーラム


グローバルクラスルーム=バーチャル・ユニバーシティの試みを始めて約10年。この間、マネジメントゲームとFASTは完全に定着しました。来年度から専門大学院国際マネジメント研究科の開設を計画していますが、情報技術―国際性―学際性を生かした国際合同授業の開発をさらに進めていく予定です。
(国際政治経済学部・国際ビジネス専攻主任 堀内正博)


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