青山学院大学 AGU NEWS Vol.7
AGUニューズ[2001年10~11月号]
青山学院大学・広報入試センター広報課
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25 TEL.03-3409-8111(代表)




●21世紀、青学が変わる!!
 ・2003年4月開学
  「相模原キャンパス」
 ・緑が丘グラウンド始動

●ガウチャー・メモリアル・
 ホール完成

●新しい強磁性体
 CaB2C2の発見

●理工学部TOPICS


●専門大学院国際マネジメント
 専攻修士課程評議委員会を開催

●青山学院大学の
 ロースクール構想



●文学部に転学科制度を導入
●2001年度
 給付奨学金・学業奨励賞

●経済学部
 創立50周年シンポジウム

●青学ベンチャー講演会開催
●2001年度オープンキャンパス
 ―10,000人が来場―

●2002年度
 一般入学試験日程

●AGU受験相談会のおしらせ
●大学同窓祭開催報告
●新役職員紹介
●青山学院大学
 フェスティバル in さがみはら



●「身近になったe-business」


●高校1・2年生のための
 新キャンパス説明会

●青山祭
●クリスマス・ツリー点火祭
●シリーズ大学探訪8
 勝田銀次郎




青山学院大学の週間HOTニュース

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www.aoyama.ac.jp


特集

タイトル

秋光純
理工学部物理学科
先端技術研究開発センター所長

秋光 純 教授

2001年2月、新しい金属系高温超伝導体の発見で、世界中を驚かせた理工学部物理学科の秋光純教授。そしてこの夏、秋光教授らの研究グループが従来の物理学の常識を覆す新しい強磁性体を発見しました。
再び世界的に大きな注目を浴びることになった秋光教授に今回の発見の意義や発見の経過について、お話をうかがいました。


高温超電導物質発見に続く快挙
 単独では磁石にならないはずの物質を組み合わせると、なぜか磁石になった……。
 これまでの物理学の常識を覆すミステリアスな物質を発見したのは、秋光教授と元大学院理工学研究科生で現在は企業の研究員である竹縄顕司さん、そして東北大学などの共同研究グループ。8月10日発行のアメリカの科学誌『サイエンス』にその研究成果が発表され、世界中の研究者から注目を集めています。
 磁性を持つ代表的な元素として知られているのは、鉄やニッケル、コバルトなど。その中でも、磁場をかけなくても自発的に磁化し、永久磁石になる物質を強磁性体と呼んでいます。
 今回、秋光教授と竹縄さんたちが発見したのもこの強磁性体で、カルシウム(Ca)と炭素(C)、ホウ素(B)をそれぞれ1対2対2の割合で組み合わせた化合物「カルシウム・ボロカーバイド(CaB2C2)」。物質の温度を上げると、磁性の要因である電子の方向性が乱れるために磁性は弱くなりますが、新しい強磁性体は摂氏約500度(絶対温度770K)の高温まで永久磁石の性質が保たれることがわかっています。
 「実は、1999年にアメリカ・フロリダ州立大学などの研究グループが、カルシウム、ランタン、ホウ素を組み合わせた強磁性体を発見し、物理学会が大騒ぎになったことがあります。しかし、これほどの高温に耐えられませんでしたし、不純物元素の混入などの指摘もあり、研究成果に対する論争がありました。私たちはこの発見をヒントに、結晶構造を見直すなどして、より一般的な現象として高温強磁性を持つ物質を創り出したんです」
(クリックで結晶構造と磁化の温度変化を見る)


永久磁石


新しい物理学の扉を開く鍵に
 いずれも磁性を持たない3つの元素を組み合わせるとなぜ強磁性を持つようになるのか……。これまでの物理学では説明できないそのメカニズムを解き明かすためには、従来の常識を越えた新理論が必要です。新物質発表後、欧米や日本などで、大勢の研究者がそのメカニズム解明に関わる論文を競って執筆してます。
 「どうやら3つの元素のうちホウ素が強磁性の性質を示しているようなんです。このホウ素という元素は、やはり私たちが発表した高温超伝導物質である二ホウ化マグネシウム(MgB2)にも含まれていますが、私は新しい物理学のキーワードとなる物質であるとにらんでいます」
 高温超伝導物質である二ホウ化マグネシウムは、世界で大きなセンセーションを巻き起こしましたが、今回のカルシウム・ボロカーバイドの発見は、ある意味でさらに大きな可能性を秘めていると秋光教授は考えています。
 「超伝導と強磁性は、いずれも電子のスピン(自転)が関係していると思われる物理現象ですが、私はこのふたつのメカニズムが密接に結びついているのではないかと予想しています。今回の発見は、将来的に新しい物理学の扉を開く鍵になるのではないでしょうか」


8月3日(金)、青山キャンパス総合研究所ビルでの記者会見


つねに新しい物質を求めて
 「固体物理の研究者として、物理的に興味のある新しいモノを探索するのが、私の使命だと思っています。なぜなら新しい物質には、必ず新しい物理現象の芽があるのですから」
 物理学の研究の中でも、ある意味で物質探索は最も困難が伴う分野といえるかもしれません。先が見えない状態の中、存在するかどうかさえ確かではない新物質を探すのは、正直言ってシンドイこともあると秋光教授は言います。
 「でも、だからこそおもしろい。そして、発見の喜びを手にしたら、また新しい物質・物理現象を求めて、私たちは探索を始めるのです。ホウ素というごく一般的な元素にたどりついた新しい高温超伝導体と強磁性体の発見は、ちょうどメーテルリンクの『青い鳥』のお話のように、さんざん遠くまで探しに行った挙げ句、ごく身近な所に大きな発見があった……ということかもしれません。研究・実験には、運や偶然があることも確かです。でも、遠くまで出掛ける長い旅をする努力を怠っては、決してすぐそばにある『青い鳥』を見つけることはできないんです」
 教育者としての秋光教授は、「地に足が着いた志を持って学ぶ学生を育てる」ことを目標にしているそうです。そして、自分が研究で大きな成果をあげることで、「青山学院大学で学ぶ学生たちを励ましていきたい」とも語ってくれました。


共同研究グループ 左から
横浜国立大学大学院環境情報研究院 鈴木和也 助教授
大阪大学産業科学研究所 播磨尚朝 助教授
東北大学大学院理学研究科 倉本義夫 教授
本学理工学部物理学科 秋光純 教授
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