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学部長あいさつ

法学部長 申 惠丰 [SHIN Hae Bong] 法学部長 申 惠丰 [SHIN Hae Bong]

法学部長 申 惠丰 [SHIN Hae Bong]

学部長あいさつ

大学生の時から、大学院修士課程・博士課程を経て、今度は教員として大学へと、考えてみればずっと大学に身を置いていますが、大学というのは本当に特別な場所だと思います。自分の選んだ分野で、入門的、さらには専門的な学びを自由に深めることができ、図書館の本も資料もすべて、「いらっしゃい」とばかりに学生を待っています。教員は研究者でもあり、学問の楽しさを垣間見せてくれますし、根気よく質問や相談に応じ、何より、学生の成長を心から喜びます。そして、周りには、柔らかな感性をもつ若い仲間たち。授業での発言やディスカッション、ゼミでの発表などは、時にはうまくいかないこともあるけれども、挑戦がなければ失敗もないのだから、すべてが練習。日常生活では、私たちは往々にして、物やサービスを買うだけの消費者になりがちですが、大学の教室は、互いの存在を尊重しながら共に学び合い、営利でなく、学問的知見を得ることや人間的に成長することだけを目的として授業が営まれる、safe space(安全な空間)といえる場所です。そんな場所が、他のどこにあるでしょうか。

病気になってから健康の有難さを実感するのと同様、大学という空間の得難さも、卒業して初めて分かるのかもしれませんが(笑)、それでも皆さんは、せっかく大学に入ったのですから、貴重なこの期間を無駄に過ごさないで下さい。私はというと、高等部出身で、今はなき厚木キャンパスに2年間通った世代。あまりの遠さに辟易しましたが、通学時間を無駄にするのが悔しくて、電車の中では語学の辞書を読んでいました。今でも、辞書は愛読書です...。

まるでスマホが人体の一部のようになっている今の世代の皆さんには、スマホを含む電子機器との上手な付き合いを心掛けることの大切さをお伝えしたいです。

大学生活では、資料収集やレポート執筆などのためにパソコンは日常的に使用することになるはずです。また、今年度は、コロナウィルス問題への対応として、安全が確認されるまで前期はオンライン授業が導入される予定です。皆さんの中で、まだ自分のパソコンを持っていない人は、なるべく早めに自分用のノートパソコンを準備すると良いでしょう(オンライン授業を受ける際、スマホの小さな画面では資料が見にくい難点があります)。

他方で、スマホは皆さんのほぼ全員がおそらく持っていることと思いますが、その便利さから、最近では、ほとんど依存症になってしまって授業中もスマホいじりを止められない人が目につきます。要注意です。スマホも使うが本も読む、という人はまだ良いのですが、いつもスマホばかり見ている人は、紙の本を続けて読み進められる集中力をすでに失っていることがあります。しかし、本を捨ててはいけません。デジタル情報には検索機能などもちろん利点もありますが、スマホで断片的な知識を流し読みするより、しっかりした本を1冊読んだ方がはるかに身になることは多く、法学についても然りです。

脳科学の研究では、スマホを見ている時には脳の前頭前野(人間を知的な生物たらしめている、いわば脳の司令塔のような非常に大切な領域)の働きが抑制されることが分かっており、ネット接続頻度が高い人ほど脳の発達の遅れがみられることが確認されています(川島隆太監修、松﨑泰・榊浩平著『「本の読み方」で学力は決まる』青春出版社、2018年など参照)。スマホや電子辞書で調べたことはすぐに忘れがちなのも、前頭前野が働いていないせいではないかと言われています。他方で、読書は脳神経の働きを活性化させます(電子書籍もありますが、その場合は、途中で友だちのメッセージを見たりしないで、集中できるかどうかが大事。脳の活性化には紙の本に軍配が上がります)。脳は可塑的なもので、脳の神経回路網は、とりわけ日常的に読書をすることで、道路の交通網のように発達成長していきます。文庫や新書など安価で手に取りやすい本もたくさんありますから、普段からかばんの中に必ず本を1冊入れて、ちょっとした時間に、少しでも活字を読むことを習慣にしましょう。また、人とのコミュニケーションも脳神経の働きを活性化させます。休み時間には、下を向いてスマホを見るよりも、友人と大いに語り合い、笑い合いましょう。