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2018.01.15

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尾形周平さんと菅野修平さんが「第7回CSJ化学フェスタ2017」で「優秀ポスター発表賞」を受賞

尾形周平さん(理工学研究科化学コース博士後期課程2年・長谷川美貴研究室)と菅野修平さん(理工学研究科化学コース博士前期課程2年・同研究室)が、2017年10月17日~10月19日、タワーホール船堀で開催された「第7 回CSJ 化学フェスタ2017」で優秀ポスター発表賞を受賞しました。

同賞は、学生によるポスター発表の中で、複数の審査員によって採点され高得点者に与えられます。
今回、8 分野、合計1,073 件の発表が行われ、この中から審査を希望するポスター発表に対し、10 件の「最優秀ポスター発表賞(CSJ 化学フェスタ賞)」および198 件の「優秀ポスター発表賞」が与えられました。

研究発表題目は、尾形さんが「Water-soluble lanthanide complexes with a helicate π-skeleton for strong luminescence in a wide pH region」、菅野さんが「鎖状成長させたヘリカルな希土類錯体集合体の発光特性」です。

有機分子と金属で成り立つ化合物は、錯体と呼ばれます。長谷川研究室では、金属にレアアースを用いたレアアース錯体*の研究に取り組んでいます。レアアース錯体は、紫外線を当てることで可視光から近赤外光までの広い領域に発光します。その発光は、分子配列や媒体の影響を強く受けることが知られており、分子設計や配列制御により強く光るレアアース錯体の開発が注目されています。

尾形さんは、水に溶ける新しいレアアース錯体を開発しました。さらに開発された錯体は、水中で強く発光するだけではなく、酸性(pH2.6)からアルカリ性(pH9.7)にわたる広い酸性度の領域で光機能を保持する特長を有します。当該発表は「錯体化学会第67回討論会・学生講演賞」に続く受賞になります。

菅野さんは、レアアース錯体を石英基板上に鎖状に固定する薄膜の作製方法を開発しました。この薄膜は、蛍光灯下では高い透明性を示しますが、紫外光を照射すると強い赤色発光を示します。これらの系は世界でも類を見ない発光材料といえます。
菅野さんは、レアアースを螺旋状の分子で包み込んだような素子を、鎖のように分子レベルでつなぎ合わせた化合物を平滑な石英の板にブラシのようにはやすことで、従来にないレアアースの発光体の開発に成功しました。通常の光の下では目に見ることはできないほど薄い膜ですが、ブラックライトの下では赤色に光ります。

尾形さんおよび菅野さんの研究発表は、水中や薄膜内でのレアアースの発光機構の解明に大きく寄与したこと、およびプレゼンテーションの内容や質疑応答の態度が評価され、「学生講演賞」にふさわしい発表であることが認められました。

これらの成果は、文部科学省科研費新学術領域研究「ソフトクリスタル」および私立大学戦略的研究基盤形成支援事業により支援され施行した成果です。また、構造解析には大型放射光施設SPring-8のビームラインBL02B2を使用しました。

  • *レアアース錯体・・・

    レアアース錯体は、レアアース(希土類)と有機分子を配位結合させた物質。地球上の存在量が希少である金属、社会的な需要が多く供給が追いつかないような金属などがレアアースとして扱われる。

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