TOEO 7(第7回オプティクスおよびエレクトロニクスのための透明酸化物薄膜に関する国際シンポジウム)において、武藤優さん(理工・博前2年機能物質創成コース)・中臣聡さん(理工 化学・生命科学科4年)の研究発表と吉川透さん(理工 化学・生命科学科4年)の研究発表が「Best Poster Silver Award」を受賞しました(学年はいずれも当時)。


2011年3月14日(月) ~ 15日(火) 、早稲田大学国際会議場おいて開催された透明酸化物光・電子物性に関する国際会議(7th International Symposium on Transparent Oxide Thin Films for Electronics and Optics, TOEO-7)において、重里 有三(理工学部教授)研究室の武藤優さん(理工・博前2年機能物質創成コース)・中臣聡さん(理工 化学・生命科学科4年)の研究発表と吉川透さん(理工 化学・生命科学科4年)の研究発表が「Best Poster Silver Award」を受賞しました。

武藤さんらの研究は、「TaドープSnO2(タンタルドープ酸化スズ)」を使った透明導電膜の高速合成に関するものです。透明導電膜(透明の電気を通す膜)は、特殊な酸化物に特定の元素を原子レベルで混ぜることによってつくられています。これまでは、アンチモンやインジウムといった金属が使われていましたが、アンチモンは人体への毒性が疑われており、またインジウムはレアメタルであるため代替素材が求められています。今回、武藤さんらは、スズとタンタルを使って高性能な透明導電膜を生成し、従来よりも数十倍の速さで多くの導電膜を生成することに成功しました。ちなみに透明導電膜は、PCの液晶ディスプレイや太陽電池等に使われています。

一方、吉川さんの研究は、近年、高精彩の大型液晶テレビ等を駆動させるために使われている注目の半導体「IGZO」*の熱拡散係数の測定を行ったものです。半導体は、駆動すると熱を発するため、使用する際には、必ず熱を拡散させるための熱設計を行います。吉川さんは、熱設計に不可欠な熱拡散係数を特殊なパルスレーザーを使って世界で初めてピコ秒(1ピコ秒=0.000 000 000 001秒)単位で測定することに成功しました。

武藤さんらの研究は、アンチモンやインジウムにかわる新しい透明導電膜の実用化の可能性を示したことが、吉川さんの研究は、ピコ秒単位で熱拡散係数の測定に成功したことが「Best Poster Silver Award」に値すると認められました。
本シンポジウムでは、Poster Awardにノミネートされた100件の発表が行われ、招待講演者と組織委員全員の投票の結果、Gold Award 4件、Silver Award 4件が選ばれました。

重里有三研究室では、フラットパネルディスプレイや太陽電池の透明電極として応用できる透明導電膜の開発や光触媒、エレクトロクロミックなどのグリーンテクノロジー(環境配慮型の技術)の研究を行うとともに、研究成果の実用化に向けて企業との共同研究も積極的に進めています。

なお、受賞した講演タイトル等は、以下のとおりです。

【 受賞した講演タイトル 】
“High rate deposition of Ta-doped SnO2 (TTO) by reactive sputtering with plasma emission intensity or impedance feedback systems”
Y. Muto, S. Nakatomi, N. Oka, Y. Iwabuchi, H. Kotsubo, and Y. Shigesato

“Thermophysical properties of amorphous IGZO films deposited by dc magnetron sputtering” T. Yoshikawa, N. Oka, T. Yagi, Y. Yamashita, N. Taketoshi, T. Baba and Y Shigesato
【 IGZOとは 】
透明アモルファス酸化物半導体(Transparent amorphous oxide semiconductors:TAOS)のことを指し、カラー電子ペーパー、大画面液晶ディスプレイへの研究が進められているものです。
IGZOは、優れた電気特性を持ち、薄膜は可視光を透過させるため、ほぼ透明の膜をつくることができます。また室温~150℃といった低温プロセスで膜を形成できることから、プラスチック基板等、高温プロセスに適さない基板材料にも適用可能で、電子ペーパーや各種の透明デバイスの実現に大きく寄与する可能性を秘めた材料として注目されています。
(参考)
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