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福岡伸一理工学部(化学・生命科学科)教授が、第29回「サントリー学芸賞」を受賞

福岡伸一理工学部(化学・生命科学科)教授が、第29回「サントリー学芸賞(社会・風俗部門)」を受賞しました。受賞作品は『生物と無生物のあいだ』(2007.5刊 講談社新書)で、「生命とは何か」という生命科学の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか、歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探るというものです。
サントリー学芸賞は、「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門において、広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動を、著作を通じて行った個人に対して贈られるものです。受賞式は12月11日(火)、 東京会館において行われます。
なお、第29回「サントリー学芸賞(社会・風俗部門)」受賞にあたっての福岡伸一教授のコメントは下記のとおりです。

【 福岡伸一理工学部(化学・生命科学科)教授のコメント 】
『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、ずっと書きたかったテーマを論じた本です。これはわたくしが、なぜ、生命という現象に興味を持つに至ったのか内省的に振り返りつつ、あまねく世界に浸透している機械論的な生命観(この考え方が、狂牛病問題や遺伝子組み換え、臓器移植を是とする通奏低音となっているわけですが)の由来と成り立ちをいま一度、批判的にあとづけたものです。その上で、動的平衡論に基づく有機的な生命観という、古くて新しいパラダイムのルネサンス(復興)を論じたものです。現時点でわたくしが考えるところの"生命とは何か"について、可能な限りのベストを尽くして書きました。
この本を書くにあたって、まず考えたことは、教科書はなぜつまらないか、ということです。教科書がつまらない理由、それはすべての知識を事後的に整理しているからです。そして、なぜそのとき、その知識が求められたのかという切実さが記述されていないからです。誰がどのようにしてその発見に到達したのかという物語がすっかり漂白されてしまっているからです。
そこで私はこの本を新しいスタイルで書いてみようと思い立ちました。自分が生物学を理解してきたプロセス、ああこれはこういうことなのか、あるいは、これとあれとはここでつながっているんだ、という気づきを、自分の体験として語ればよい、そのいちいちを、事後的ではなく、自分の内部の時間の流れとして記述すればよいのだ、そう思いついたのです。
その試みは、もちろん本書では全く不十分な、実験的なものにとどまっています。しかし、私にできることはそれを継続していくことだけなのだということもわかったのです。このほどはからずも、栄えあるサントリー学芸賞をいただくことになりました。わたくしのこの試みを評価していただけたのであれば望外の喜びです。ありがとうございました。
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