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宮副 謙司 [MIYAZOE Kenshi]

宮副 謙司 [MIYAZOE Kenshi]

企業による地域活性化とSDGsの取り組み

第5回 2021/6/5(土)
専門職大学院国際マネジメント研究科 教授        
宮副 謙司[MIYAZOE Kenshi]

 日本各地で取り組まれる地域活性化の担い手として地域にある民間企業の役割が高まっています。企業側もCSV(クリエイティング・シェアード・バリュー:共通価値の創出)やSDGsの観点からも所在地域での社会的活動を積極化させており、とりわけ全国的な事業展開を行う大手企業や地域有力企業の活動が注目されます。
 私の研究では、全国的な大手企業、地域有力企業の地方都市への進出事例を研究対象とし、その観点で、対象企業の数、製造業・商業・サービスなど業種バランスなどの研究条件が揃った愛媛県西条市を研究対象地域として選択しました。現在の青山学院の青山キャンパスは、江戸時代に伊予西条藩松平家の江戸屋敷であったという歴史的なゆかりがあるところです。そこでの代表的な7社の地域内発型の活性化の取り組みに関して現状調査を行い、業界他社比較、同社内他地域比較などの比較研究からその取り組みの特徴を明らかにするものです。
 例えば、花王は地域の子供たちに「手洗い講座」「おそうじ講座」の出前授業を行い、アサヒビールは「水源地の森保全活動」で地域の石鎚山系の水源地での草刈りや植樹を進めています。クラレは、本拠地倉敷にならい「民藝館」を市内中心部の松平家陣屋跡地に設けクリエイティブな地域風土づくりなどSDGsにつながる活動を行い、地域の教育の充実をはじめとする地域活性化にも貢献しています。
 また四国企業である四国電力、JR四国、伊予銀行、いよてつ髙島屋なども地域に様々な産業分野で需要を堀り起こし、新たな起業家を生み出し、支援するような活動を積極的に行っています。
 このような西条市での企業の事例研究をもとに、この講義では、様々な企業のSDGsの取り組みを整理し、比較することで、どのようなSDGsの取り組みが企業の業種特性や地域特性に適合し、進めやすいかを考えます。
 そしてこれらの取り組みの多くが近年SDGsと話題になる以前から長年取り組まれていることでもあり、地域の行政も市民もこのような企業の地域へのSDGs活動とうまく連動し、あるいはうまくそれらを引き出し、その動きを活発化させ、その成果を地域で享受するようにすることが理想であることが、認識されると思います。

プロフィール

青山学院大学専門職大学院国際マネジメント研究科 教授
宮副 謙司[MIYAZOE Kenshi]


九州大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了(MBA取得)、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。西武百貨店、PwCコンサルティングなどを経て現職。「地域活性化のマーケティング」「SDGsコミュニティ・マーケティング」「流通経営」などマーケティング関連科目を担当。主な著書に『地域活性化マーケティング-地域価値を創る高める方法論』・『企業経営と地域活性化』などがある。