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髙橋 重雄 [Takahashi Shigeo]

髙橋 重雄 [Takahashi Shigeo]

地域の特徴を知るための分析

第5回 2020/6/6(土)
経済学部現代経済デザイン学科 教授        
髙橋 重雄[Takahashi Shigeo]

最近、専門分野だけでなく一般的な教養書でも、「データサイエンス」や「統計学」に関する書籍の刊行が増えている。行政分野でも、EBPM(Evidence Based Policy Making: 証拠に基づく政策立案)の重要性がこれまで以上に意識されるようになっている。こうしたトレンドを踏まえ、本講座では、日々の生活にできるだけ関連付けて、統計学やデータ分析について紹介する。
最終回でもある今回の講義では、地域の特徴をとらえるためのデータ分析例を紹介する。地域の特徴をとらえるためには、地域調査を行い、景観の違いや土地利用の違いなどを調べ、他の地域と共通する点や調べた地域に特有の点を検討することが地理学で行われてきた。こうした伝統的な調査方法に加え、1960年代頃から統計的な手法も取り入れられるようになってきた。本日の講義では、こうした手法の中で比較的わかりやすいものを紹介する。
最初に、「特化係数」を取り上げる。特化係数とは、地域の特徴を示すデータの値が、何らかの平均水準と比べ、どの程度高いのかを示すものである。例えば新潟県三条市では金属加工を行う工場が多いが、製造業の業種のうち「金属製品」と分類される工場で働いている人の数(4,460人、2009年、工業統計調査)を示しただけでは、その人数がどの程度多いものと考えればいいのかわかりにくい。そこで、三条市の製造業従業者数合計(13,428人)に占める「金属製品」従業者数の比率(0.332)を全国の場合、つまり全国計(7,735,789人)に占める「金属製品」従業者数(584,127人)の比率(0.076)と比べ、全国平均の4.4倍程度の水準をもっていることから、三条市では加工も含め金属製品の生産が盛んであるといえる。こうした計算結果を表で示すだけでなく分布図として示すと、地域の特徴をさらに把握しやすい。
次に、構成比から地域を特徴づける「修正ウィーバー法」を取り上げる。例えば、ある地域の農業で様々な作物が生産されている場合、その地域を代表する農作物をどのように定めればよいだろうか。ある作物のシェアが50%を超えていれば、その作物がその地域を代表する農作物としてよいだろう。しかし複数の作物のシェアが拮抗している場合、どのように判断すればよいだろうか。判断に個人差がでないように、判断の基準を提供するのが修正ウィーバー法である。この方法を使い、様々な面から地域の特徴をとらえることができる。この場合も、分析結果を分布図として示すとわかりやすい。
最後に、地域分析の結果を分布図として示すために、フリーのGISソフトであるQGISの紹介も行いたい。

プロフィール

青山学院大学経済学部現代経済デザイン学科 教授
髙橋 重雄[Takahashi Shigeo]


東京教育大学理学部地学科地理学・水文学専攻卒業、アメリカ合衆国カンザス大学(University of Kansas)地理学研究科修士課程・博士課程修了(Ph.D.)。青山学院大学経済学部専任講師を経て、現在青山学院大学経済学部教授。専門分野は経済地理学・都市地理学・GIS(地理情報システム)。主な著書に『事例で学ぶGISと地域分析』(古今書院、2005年、共著)等がある。