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ヨーロッパ、EUはいま。

青山学院大学 国際政治経済学部教授 羽場 久美子

青山学院大学
国際政治経済学部教授
羽場 久美子 [Kumiko Haba]

先進国危機の時代―BREXIT(イギリスのEU離脱)、欧州選挙の行方
“Post Truth(真実以後)”の時代は押しとどめられるか?

第1回 2017/6/17(土)

  1. 今何が起こっているか?―世界危機の時代
    1. 欧州の危機、アメリカの危機
    2. 移民・難民危機
    3. イギリスのEU離脱、トランプ大統領選挙で勝利
  2. BREXIT―国民世論が真っ二つに分断―民主主義の危うさ

    アメリカ大統領選挙も同様

  3. 先進国民主主義の危機の時代―その背景
    1. Power Shift (国際的な大変動の時代になっている)
    2. 移民・難民流入
    3. 中産層の没落
  4. フランス大統領選挙  EU離脱か残留か、移民排斥か養護か

    EU残留、移民受け入れのマクロンが、EU離脱、移民排斥のルペンに2倍の得票差で勝利。
    アメリカ、イギリスなどの自国中心主義に対し、欧州で批判的な市民派層が成長し、マクロンを押し上げた。 「ヨーロッパの良識の勝利」。
    他方で、大量の白票、棄権票も。船出の困難さ。―失敗すれば再び極右が台頭か

  5. 21世紀初頭、国際権力構造の転換期―境界線で衝突が起こる

    20世紀初頭には、朝鮮半島占領、日清日露戦争、
    今日、尖閣、竹島、北方領土。いずれも力と力の均衡がぶつかる境界線上
    国際的権力構造が入れ替わるとき、戦争が始まる。
    日本とその周辺の国々に緊張が高まる。

  6. もう一つの特徴―福祉ナショナリズム

    なぜBREXITが起こったか。象徴的なもの。EUに払う、週3.5億ポンド(530億円)を公共医療へ!市民の広範な支持を得る。
    小さくなった財政のパイから、公共医療をこれ以上減らすまいとして、EUから離脱、移民を入れない。(オバマケアと同様の、衰退する中産層のエゴ)
    ―背景には中産層の、2極化、貧困化。

  7. 難民危機。100万人の難民が欧州の東、南の境界線に押し寄せる

    財政のパイがますます縮小。
    「移民 Go Home」自国に帰れ、というデモ 中産層の鬱屈感(モヤモヤ感)
    加えて、パリ、ベルリン、ブリュッセル、ミュンヘンでテロ
    <ホームグロウン・テロリズム>―自国の市民の問題として解決の道を探す必要あり。
    マクロン―「テロは社会の責任。移民は国を富ませる」(国民の支持を得る)

  8. イギリスEU、今後どうなる?―中国への接近

    中国、アジアへの接近。旧宗主国。
    中国、AIIB、シルクロード:一帯一路構想
    イギリス、EU、アフリカ、中央アジア、ウクライナ、ギリシャ、東欧、いずれも中国の投資の対象に。
    「北京コンセンサス」:民主化など条件を付けずに、中国から投資
    アフリカ、中央アジアも中国旧接近。

  9. 日本はどうなる、どうする?

    日本企業、ロンドンに1000社、現在続々とシティから引き上げ、アイルランド、スコットランドへ(NHK)
    いずれはドイツ、フランスなど大陸へ進出か。
    ドイツへの接近。フランス・マクロン大統領で、日経平均急上昇。ユーロ上昇。
    EU 大陸と中国、大陸と日本の時代の到来か?
    移民流入、BREXIT、福祉ナショナリズム。少子高齢化に向かう日本も例外ではない。

  10. 世界秩序変容の時代

    自由市場、共同市場に疑念を持つグループは今後 増大?
    逆に、マクロン効果で、ヨーロッパの右傾化に歯止めがかかったか。
    フランス国民議会選挙、ドイツ総選挙が安定的に推移すれば、周辺にも影響。
    トランプのロシア疑惑への司法介入もあり、弾劾に向かう可能性も。

    2016年は、右に大きく揺れBREXIT、トランプ現象。2017年はマクロン現象。
    来年2018年もイタリア、ハンガリーの選挙があり、予断を許さない。
    しかし仏独が連携してEUを再建する方向に向かえば、再び欧州が多国間主義で結束する可能性もあり。G7サミット

    アメリカのトランプ大統領のロシア疑惑への司法介入は、欧州の一連の選挙での正常への揺り戻しの影響と見ることも可能。
    ★自由主義の巻き返し、司法による極右への歯止めはどこまで可能か?

    (その国の国民の良識による)
    日本も、国を変えるには、まず国民の質を上げる。
    ―「その国の政府の質は、結局、国民の質」

プロフィール

青山学院大学 国際政治経済学部教授
羽場 久美子 [Kumiko Haba]

青山学院大学教授、世界国際関係学会ISA副会長、日本学術会議会員。グローバル国際関係研究所所長、世界国際関係史学会(EU)理事。
専門は、国際政治、EUのナショナリズムと境界線。アジアの地域統合。移民・難民問題。
著書は共著を含め57冊(Wiki、Amazon)。代表的なものに『ヨーロッパの分断と統合-包摂か排除か』中央公論新社、2016、『アジアの地域統合を考える-戦争を避けるために』明石書店、2017。『EU(欧州連合)を知るための63章』2016(5刷)。

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