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西洋美術の見方:彫刻の鑑賞

池野 絢子 [IKENO Ayako]

池野 絢子 [IKENO Ayako]

西洋美術の見方:彫刻の鑑賞

第2回 2021/6/19(土)
文学部比較芸術学科准教授
池野 絢子 [IKENO Ayako]

 西洋美術といってまずみなさんが思い浮かべるのは、どんな作品でしょうか。レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》、クロード・モネの《睡蓮》など、みなさんがどこかで一度は目にしたことがある有名作品は、絵画の方が多いことでしょう。絵画と彫刻は古くからしばしば比較されてきましたが、彫刻より絵画の方が優れているという考え方は珍しいものではありません。たとえば19世紀の批評家シャルル・ボードレールは、彫刻を絵画に比べて劣った、退屈なジャンルだと言いました。絵画は一視点から見られるのに、彫刻はいくつもの視点から眺められるものだからです。
もっとも、だからこそ彫刻には、絵画にはない面白さがあるとも言えます。本講義ではバロックから近現代まで、幾人かの彫刻家による作品を取り上げて鑑賞しながら、そうした彫刻の持つ独自な特徴を主に二つの観点から考察していきます。第一に、一つの作品が様々な視点から鑑賞されうる多視点性を有しているという点についてであり、第二に、作品が設置された場所と深い関係を持つことについてです。公共空間に設置された彫刻作品の多くがそうであるように、手軽に取り外しのできるタブローと異なり、彫刻は時として、その場所に存在するということ自体に意味があるのです。
コロナ禍によって私たちは、美術館・博物館を気軽に訪れることができない状況を経験しました。その一方で、オンラインによる芸術経験は格段に豊かなものとなりました。彫刻のような立体作品は、実見してはじめてその良さがわかるものではありますが、普段は赴くことのできないような遠い場所での鑑賞が可能になったのは喜ばしいことです。本講義では、現在オンラインで見られる西洋美術についてのリソースもご紹介しつつ、オンラインを通じた新しい芸術鑑賞の在り方をみなさんと一緒に考えていきます。

文学部比較芸術学科准教授
池野 絢子 [IKENO Ayako]

京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、青山学院大学文学部比較芸術学科准教授。専門は西洋美術史、とくに20世紀イタリアの美術・視覚文化。単著に『アルテ・ポーヴェラ――戦後イタリアにおける芸術・生・政治』(慶應義塾大学出版会、2016年)。分担執筆に木俣元一・松井裕美編『古典主義再考Ⅱ――前衛美術と「古典」 』(中央公論美術出版、2021年)、岡田温司編『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011年)、など。