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ヨーロッパ、EUはいま。

千葉大学 法政経学部教授 水島 治郎

千葉大学 法政経学部教授
水島 治郎 [Jiro Mizushima]

欧州のポピュリズム

第3回 2017/7/8(土)

近年、欧州各地でポピュリズム政党が伸長を遂げ、政治の表舞台を騒がせている。2017年3月に実施されたオランダの総選挙では、ウィルデルス率いるポピュリズム政党・自由党が議席を増やして第二党となった。4月の第一回フランス大統領選挙ではやはりポピュリズム政党・国民戦線のマリーヌ・ルペンが二位につけ、決選投票進出を決めた。ウィルデルスもマリーヌ・ルペンも、政権獲得を実現させた場合には国民投票によるEU離脱を訴えていたことから、この2017年の春は、ポピュリズムによるEU解体の危険が本格的に意識された季節となった。

もちろん、EUの原加盟国であるオランダとフランスでポピュリズム政党が政権獲得に至らなかったことで、各国やEUに安堵がもたらされたことは確かだ。英国EU離脱に続く離脱のドミノが大陸ヨーロッパに及ぶことは、とりあえずは防がれた。しかし反EUを公式に掲げるポピュリズム政党が両国で第二勢力となったことは、やはりかつてない事態といわねばなるまい。イタリアでは、EUに批判的な五つ星運動が与党をしのぐ支持率を得ている。ユーロ危機、難民危機、テロ事件など未曽有の危機や事件が続く中で、「有効な対策を取れないEU」との印象はむしろ強まっており、反EUの動きはまだまだ続くだろう。しかもEU残留組の場合も、EU統合の未来をめぐる各国のビジョンの違いが表面化している。ヨーロッパ統合は、これまで来たこともない曲がり角に差し掛かっているといってよい。

そこでこの講義では、このヨーロッパ統合に対する現下の最大の挑戦者として立ち現れている、ポピュリズム政党についてとりあげる。ポピュリズムとは何か、なぜ近年ポピュリズムが勢いを持っているのか、デモクラシーとの関係はどうであるのか。日本にポピュリズムが広がる可能性はあるのか。考えてみたい。

プロフィール

千葉大学 法政経学部教授
水島 治郎 [Jiro Mizushima]

千葉大学法政経学部教授(専攻:ヨーロッパ政治史、比較政治)。1967年生まれ。東京大学教養学部卒業、99年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。ライデン大学客員研究員、甲南大学法学部助教授などを経て現職。主要著書:『反転する福祉国家——オランダモデルの光と影』(岩波書店、第15回損保ジャパン記念財団賞)、『ポピュリズムとは何か -民主主義の敵か、改革の希望か』(中公新書)、編著に『保守の比較政治学 -欧州・日本の保守政党とポピュリズム』(岩波書店)など。

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