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青山学院大学 地球社会共生学部 学部長 <br> 升本 潔 [MASUMOTO, Kiyoshi]

青山学院大学 地球社会共生学部 学部長
升本 潔 [MASUMOTO, Kiyoshi]

持続可能な開発と国際協力

第5回 2019/7/27(土)

青山学院大学地球社会共生学部長 升本 潔
[MASUMOTO, Kiyoshi]

 最近、テレビや新聞、ネットあるいは学校、職場などで、SDGsという言葉を聞く(見る)機会が増えているのではないかと思います。このSDGsというのは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略語であり、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2030年までの国際目標のことです。SDGsを通じて、持続可能な開発という言葉を知った方も多いと思います。
では持続可能な開発とは何でしょうか?もともとは経済開発による環境破壊や資源枯渇を防止し、より長期的なスパンで社会が持続可能なものとなるよう、環境と開発の両立を図っていくことが必要だという議論がその出発点です。持続可能な開発の定義は様々ですが、最も広く用いられているのが、「将来の世代が自分のニーズを満たすための能力を損なわないようにしながら現在のニーズを満たすような開発」という、1987年の環境と開発に関する世界委員会(WCED、「ブルントラント委員会」)の報告書『Our Common Future』で使われている定義です。
 1990年代に入ると、気候変動や生物多様性の喪失といった地球環境問題の議論が本格化してきます。その頂点が1992年に開催された「国連環境開発会議」(「地球サミット」あるいは「リオサミット」)です。この会議では、世界的な地球問題への関心の高まりを背景に、持続可能な開発の達成に向けた様々な取り組みが打ち出されました。2012年にリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」は、1992年のリオサミットの20年後に開催された会議であることから、リオプラス20とも呼ばれています。SDGsは、このリオプラス20を契機に交渉プロセスがスタートし、そして2015年に国連サミットで採択されたのです。
 地球上の資源は限りあるものです。一方、世界の人口は着実に増加し、将来的には100億人を超えるといわれています。世界経済はより速いスピードで拡大し、大量の資源が消費され、様々な形で廃棄されています。このままでは、地球は私たちの社会を支えきれなくなってしまいます。では、開発をやめればよいのでしょうか?世界には貧困で苦しんでいる人が何億人もいます。経済的な格差も拡大しています。より豊かになりたい、より幸せになりたいという思いを大切にしながら、将来世代にわたって持続的な社会を構築するためにはどうしたらよいのか、概念としての持続可能な開発を現実世界でどのように実現していくのか、私たちが取り組むべきことはたくさんあります。
 今回の講義では、持続可能な開発という考え方がどのように生まれ、そして発展してきたのかを見ていきながら、その実現のために必要な国際的な協力のあり方を考えていきます。

プロフィール

青山学院大学地球社会共生学部長
升本 潔 [MASUMOTO, Kiyoshi]


北海道大学工学部、英国アバディーン大学大学院修士課程(地域資源管理)、英国ケンブリッジ大学大学院修士課程(環境と開発)、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(国際関係学専攻)博士後期課程修了(学術博士)。青年海外協力隊、国際協力機構(JICA)等を経て、現在、青山学院大学地球社会共生学部教授。専門分野は、国際協力論、持続可能な開発、環境と開発。
主な著作:「社会的受容性の醸成と社会イノベーション:市民共同発電事業」、「経済成長と二酸化硫黄(SO2)排出量のデカップリング」など