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“学際的な研究の可能性”-社会を多面的視点で考える-

青山学院大学 社会情報学部教授 長橋 透

青山学院大学
社会情報学部教授
長橋 透 [Toru Nagahashi]

観光の歴史と観光政策のいま ―訪日外客促進政策を考える

第5回 2017/11/11(土)

政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、訪日外国人観光客を4,000万人にすることを目標にしています。特に、ここ2,3年の訪日外国人観光客数の伸びはめざましく、政府が2003年に掲げた1,000万人の目標を2013年にようやく達成すると、2015年には1,974万人、そして2016年には2,404万人(速報値)にまで増えました。その結果、様々な国から多くの人が日本に訪れることで、日本の良さを知ってもらうことができたり経済効果が得られたりというメリットがある反面、インフラの未整備からくる問題や習慣の違いからくるトラブルなどデメリットも目に付くようになりました。

そこでこの講義では、身近な観光について特に国際観光の面に重きを置きながら、また観光の歴史を絡めつつ、いまなぜ国際観光、特に訪日外国人を誘致する政策が話題になっているのかについて考えていきたいと思います。

国連の世界観光機関(UNWTO)によれば、2015年の国際観光客到着数は11.4億人であり、また国際観光収入(輸出額に相当)も1.5兆米ドルに達しています。これは世界の輸出総額の7%に相当するとともに、サービス輸出だけでみれば30%を占めます。またUNWTOは、この国際観光客到着数が2030年には約15億人になると予想しています。国際間の大交流の時代はますます盛んになると予想しているのです。日本はと言えば、経済の回復がはっきりとしないなか人口減少にも直面し、例えば地域経済の活性化のためにも訪日外国人旅行者を積極的に受け入れようという政策が進められています。この大交流の時代に、日本は、そして地域はどのように対処しているのかについても触れてみたいと思います。

ところでこの講義で「観光」と言うとき、楽しみのために移動している人だけでなく、ビジネス目的で移動している人も含まれることを覚えていてください。また、インバウンド観光とアウトバウンド観光という言葉もぜひ覚えていてください。日本では、前者は訪日外国人旅行を、そして後者は私たちの海外旅行(外国旅行)を指します。そして最後に、ホスピタリティ(Hospitality:もてなしの心)という言葉をぜひ忘れないでください。

プロフィール

青山学院大学 社会情報学部教授
長橋 透 [Toru Nagahashi]

武蔵大学経済学部卒業、青山学院大学大学院経済学研究科博士後期課程満期退学(1989年)。宮崎産業経営大学、浜松大学を経て、2008年から青山学院大学社会情報学部教授。専門分野は経済学による観光研究。観光関係の翻訳(共訳)として『観光の経済学』(Sinclair and Stabler著 学文社)がある。日本観光学会副会長・理事。

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