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事業の実施計画

次世代ウェルビーイング~個別適合をめざした統合的人間計測・モデル化技術の構築~事業の実施計画を紹介します。

平成28年度

目標
  • 各分野での社会ニーズの調査
  • ニーズの調査結果に基づく基礎実験
  • 要素技術の仕様の検討(基本設計)
実施計画

【生体計測G】:
健康福祉、知識教育、技能研修分野における社会ニーズを調査する。また、既存のデバイスを用いて人間が発信する生体信号を計測し、従来の信号処理・分析技術を用いて、どの程度まで社会ニーズに応じた情報を推定できるか技術的な仕様の検討を行う。

【動き計測G】:
計測対象とする動きに対し、計測するために十分な感度、ダイナミクスを有するセンサおよび、新規センシング・デバイスの構造について仕様を検討する。

【モデリングG】:
社会ニーズに応じるための基礎実験として、単純な同期課題に対する生理計測を行い、中枢神経系指標、自律神経系指標、身体動作指標の分析を行い因果関係をモデリングする。

【個別適合G】:
これまであまり研究が進んでいない視覚、聴覚、触覚の感覚間相互作用に関して、ハプティックデバイスを用いた基礎実験を行い、感覚知覚心理学の観点から社会ニーズに対しどの程度応じられるか検討する。

[計画及び目標の達成度の評価基準]
社会ニーズから抽出した仕様に対し、従来のハード技術とソフト技術において何が不足しているかが明確になっており、その不足部分を解決するため本事業で研究開発する必要のある要素技術に関する仕様が明確になっていること。

平成29年度

目標
  • 必要な要素技術の開発およびプロトタイプの開発
  • 必要な設備の購入
実施計画

【生体計測G】:
プロトタイプとして、各デバイスの改良および新しくデバイスを設計する。さらに、処理・分析技術の精度と汎用性を高める手法を検討する。また、新規に購入する脳波計を用いて感情の真値である脳内の変化と間接的に変化する生理指標の関係を明確にする。

【動き計測G】:
プロトタイプの計測装置の開発および、新規に購入するハイパースペクトルカメラを用いて、視覚特性に関するメカニズムを解明し実証実験を行う。さらに、必要に応じてプロトタイプの改良を行う。

【モデリングG】:
単純な同期課題に関する因果モデルに基づき、新規に購入する設備により計測される脳波、脳血流などの中枢神経系指標から、ヘモダイナミックスなど自律神経系指標に基づいたバイオフィードバックシステムを構築し、覚醒低下抑制の効果を検証することで、個別適合モデル構築の基礎検討を行う。

【個別適合G】:
個別適合サービスを対象者へ提示する技術の基礎検討を行い、立体映像ディスプレイとハプティックデバイス、音響再生装置を組み合わせ、マルチモーダル環境における視覚、触覚および聴覚の相互作用を明らかにする。

[計画及び目標の達成度の評価基準]
本事業で開発するべき要素技術の仕様を満たすプロトタイプが構築されており、健康福祉分野、知識教育分野、技能研修分野においてデータを計測するための実験計画が明確になっていること。

平成30年度

目標
  • 個人の特性を表す最適な特徴量、状態推定アルゴリズムの検討
  • データベースの構築
実施計画

【計測部門】:
計測部門として、生体計測Gと動き計測Gのプロトタイプ技術を統合するためのハードウェアとしての計測装置の仕様を確定する。さらに、ハードウェアの観点だけでなく、ソフトウェアの観点からもノイズに対してロバストな信号処理アルゴリズム、対象者の特性として最適な個人の特徴量、状態の推定手法について検討する。さらに、その効果を確認するため健康福祉、知識教育、技能研修分野の3つのコンテキストにおけるデータを大量に収集しデータベースを構築する。

【個別適合部門】:
個別適合部門として、モデリングGと個別適合Gの成果を統合し、より複雑な課題の生理計測を実施する。さらに、中枢神経系指標、自律神経系指標、身体動作指標の分析を行い、因果関係をモデル化することで、個別適合モデルにおける共通モデル、個別適合パラメータの検討を行う。また、Virtual Realityにおける仮想空間のリアリティ向上を目的として、使用者とのインタラクションが仮想空間に与える影響を考慮したレンダリング手法の検討を行う。

[計画及び目標の達成度の評価基準]
装置の開発および導入がされており、データベースが構築されていること。また、構築されたデータベースに基づき個別適合モデルにおける共通モデルと個別適合用パラメータのメカニズムが解明されていること。

令和元年度

目標
  • 健康福祉、知識教育、技能研修分野におけるフィールド実験
  • 結果の評価とフィードバック
  • マルチモーダル刺激提示装置の構築
実施計画

【計測部門】:
開発した無拘束とウェアラブル計測技術を融合したシステムを、健康福祉、知識教育、技能研修分野の3つの実環境において国内外でフィールド実験を実施し、生体計測と動き計測技術の有効性を検証する。また、データベースに蓄積された生体ビッグデータを用いて対象者の状態を高精度に推定する技術を開発する。

【個別適合部門】:
中枢/自律神経系指標に基づいたバイオフィードバックシステムを構築し、健康福祉、知識教育、技能研修分野において、共通モデルおよび個別適合用パラメータによる効果を検証する。また、映像ディスプレイ、ハプティックデバイス、音響信号生成装置の最適な組み合わせによるマルチモーダル刺激提示装置を構築する。

[計画及び目標の達成度の評価基準]
データベースにもとづいた対象者の状態推定技術の確立および、マルチモーダル刺激提示装置が構築されていること。また、国内外における現場でフィールド実験が実際に実施されて、現場ユーザからのフィードバックが得られており、計測部門、個別適合部門において、技術的な仕様として不足している部分と、その解決策が明らかになっていること。

令和2年度

目標
  • 前年度の結果をもとに微修正
  • 「統合的人間計測・モデル化技術」の確立
  • 研究成果のシンポジウムなどでの一般公開、本学の研究ブランドとしての確立
実施計画

【事業全体】:
計測部門および個別適合部門の成果を統合し、事業目的である「統合的人間計測・モデル化技術」を構築する。具体的には、無拘束およびウェアラブル型センシング技術を統合し蓄積した生体ビッグデータをベースとした対象者の状態推定技術、バイオフィードバック技術およびマルチモーダル刺激提示技術が開発され統合される。開発したシステムを、健康福祉、知識教育、技能研修分野における実環境でフィールド実験し、有効性の検証を行うとともに最終的な調整を行う。また、そのユーザビリティと快適性を評価し、社会展開に向けた完成度を高める。

[計画及び目標の達成度の評価基準]
計測技術と個別適合技術を統合し、計測した生体ビッグデータをベースとした対象者の状態推定技術、バイオフィードバック技術およびマルチモーダル刺激提示技術が開発されていること。また、国内外におけるフィールド実験でその有効性が実証されたうえで、事業目的である「統合的人間計測・モデル化技術」が確立していること。