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地域における産学連携を推進する「青学ビジネスフォーラム」が、盛況のうちに開催されました

 相模原・町田を中心とした首都圏南西地域において、企業・大学・支援機関・行政機関などが一堂に集うことにより、広域なエリアにおける連携関係の構築や新たなビジネスの機会の創出を目的とする「首都圏南西地域産業活性化フォーラム」。その一翼を担う形で1年に4回、相模原キャンパスで開催される「青学ビジネスフォーラム」(主催:本学総合研究所・理工学部)では、毎回、理工学部の教員と外部の専門家による講演が行われ、参加者(地域の中小企業経営者等)との活発な質議応答も行われています。
 2006年3月18日(土)に開催された2005年度最終(4回目)のフォーラムでは、まず、理工学部化学・生命科学科 長谷川美貴専任講師が「“光る”を知って“光らせる”:発光性複合高分子」と題して講演。「光る」錯体の魅力から始まり、特許申請を行った発光性高分子複合材料とその製造方法に関するプレゼンテーションを行いました。


 続いての講演では、青学ビジネスフォーラムの活動を形として示す2つのパイロットプロジェクトから「1ワット風力発電機の試作」と題して、(株)コバヤシ精密工業・小林昌純氏が講演。風力発電機の試作機を会場に持ち込んで、“実演”を交えながらプロジェクトの活動経緯を熱く語られました。次に「『青学との産学連携研究会』の活動」と題して、町田シニアコンサルタントグループ・岩本邦彬氏が登壇。大手企業等の元技術者の方々によって構成された同グループの活動状況や産学連携での開発をめざす「携帯電話を使ったユビキタス社会の防犯システム」に関する興味深いお話をうかがうことができました。また、小林、岩本両氏からは、フォーラムの活動全体におけるコーディネーター役を務めてきた情報テクノロジー学科水澤純一教授への謝辞も述べられました。
 なお、「青学ビジネスフォーラム」は2006年度も年4回の予定で開催される予定です。

長谷川美貴
理工学部化学・生命科学科
「無機化学第二研究室」
長谷川美貴 専任講師
 「錯体」とは、金属イオンに有機物がふわっと結合した複合化合物。血液中で酸素を運搬するヘモグロビンや植物の光合成において大きな役割を果たすクロロフィルも、それぞれ鉄やマグネシウムの錯体です。工業製品では記憶メディアの材料としても活用されており、錯体化学は多方面にわたる新しい分子材料の開発が期待されている今、もっとも面白い研究分野の一つといえるでしょう。
 錯体の面白さは、金属と有機物それぞれの物性とは異なる新しい性質が引き出されることにあります。しかもそうした物性が複数同時に発現するなど、研究対象として興味が尽きません。私はその中で錯体分子の色と光に着目した研究を行ってきました。ちょっと詩的な言い方をすると、錯体分子は、スペクトルを通して私にいろいろなことを語りかけてきます。分子レベルで自然と“対話”できる──サイエンティストとしてこの研究テーマにめぐり会えたことは私にとって大きな幸せでした。
 私はこれまで基盤研究を中心とした純粋に学術研究の進歩に資する道を歩んできました。錯体化学自体、まだまだこれからの研究領域ですから基盤研究にしっかり取り組むことはとても重要です。しかし、一方で、大学院時代から「自分の研究を社会にどう位置付けるか」ということを考え続けてきました。
 今回、「発光性高分子複合材料およびその製造方法」に関する特許出願のプロセスを通して、私の思考回路に基盤研究を実用につなげていくパイプが作られたようで、今春にも新たな特許申請を行う予定でいます。また、一生懸命取り組んできた研究が、特許として形になると、純粋に感動して、研究室全体も大いに活気つきました。実際にやってみると、特許申請は大変なことであると同時に、研究にプラスになることもわかりました。今回講演させていただいた「青学ビジネスフォーラム」のような機会をとらえて、産学連携の道を探ったり、異分野の研究者・技術者の方から刺激を受けることもとても重要だと考えています。また、オープンキャンパス等を通して、一般の方々にも錯体というとても面白い研究対象の魅力を知っていただくことにも尽力していきたいと思っています。そうした努力が、一人の科学者として、世の中をもっと豊かにする使命であると思うからです。
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