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誌上公開講座 No.32
進化する「青山スタンダード」

「青山スタンダード」は、2003年度に相模原キャンパス開学と共にスタートした、本学独自の全学共通教育。4年目を迎え、どのように進化しているのか……青山スタンダード教育機構長を務める仙波憲一副学長にお話をうかがいました。
仙波 憲一
学務・学生担当副学長
(青山スタンダード教育機構長)
仙波 憲一
 学生の学ぼうとするポジティブな気持ち=インセンティブを、さらに一歩推し進めること──全学共通科目である「青山スタンダード」には、そうした役割もあります。「青山スタンダード」は自己発見の機会であり、学生一人ひとりのキャリアを開発のきっかけにしてもらいたいと思っています。武藤学長は「面倒見のいい大学」とおっしゃっていますが、手取り足取り面倒見がいいのではなく、学生のやる気を出させて、一人ひとりのやる気にとことん対応します、というのが、私たちの考える「面倒見がいい大学」なのです。

「青山スタンダード」改革
 今回、3年に一度見直しをするという規則に従い、いくつかの改革を行いました。
 「青山スタンダード」導入のひとつの成果は、学生各自が自分の専門分野以外へ向ける関心度が向上してきたことです。実は今度3年次になった学生には、共通科目の部分とそれの発展部分のテーマ別科目というのがあるのですが、そこで自分の学部以外の科目を取っている学生が、なんと約8割強もいました。近年、全国的に大学カリキュラムにおいて副専攻という言葉が使われるようになっています。副専攻とは、専門分野以外の科目をまとめて履修したいという要望をフォローする制度です。本学でも、副専攻制度というものをカリキュラム上で全面的に押し出そうと考えています。
 科目履修上での改革は、主として1年生で学ぶコア科目、2年生で学ぶテーマ別科目です。1年のコア科目の代わりに、2年のテーマ別科目を履修して探求を深められるようにしました。そのため余裕が生まれた1年では、コア科目の選択肢が増えるように授業時間帯の融通が利くよう配置し直しました。これで学生各自に応じたフレキシブルな履修ができるようになるはずです。
 また、コア科目をすべて「総合科目」化をするという目標を掲げました。総合科目は、3人の先生がひとつのテーマについて講義するので、必ずしも専門性が必要ではなく、基礎知識のない学生と、ある程度関心を持っている学生とが混在しても対応できる授業形態です。すでに現在およそ8割が総合科目になっていますが、次の見直しまでにすべてを総合科目化することを約束したいと思います。

ITスキルについて
 時代が変われば、必要となるスキルも変わっていきます。今の高校生は、既にある程度パソコンのリテラシーは身についていますので、本学では、ITスキルの基礎を修得するクラス以外に、例えば、ウェブサイト制作やJAVA、インターネットの構造等まで、レベルの高いクラスを各分野の先生に担当していただこうと考えています。

語学について
 第二外国語に関しては「インテンシブコース」を新しく設けました。初級クラスは今まで通りですが、中級以上に週4回インテンシブコースを開講し、2年生が終わった段階で英語圏以外への留学が果たせるレベルの語学力を身につけさせるというものです。
 また、英語に関しては、すべての学部でプレテストを導入しました。つまり、留学する前にTOEFLのITP(Institutional TestingProgram /TOEFL‐ITP)という、過去問を受け、まず自分の英語能力、そして学習努力を自覚してもらいます。なお、英語のクラスは少人数で実践的英語スキルを習得するという新機軸により、従来以上に少人数になります。さらに、学生の科目選択の自由度を高め、English Student Assistant(ESA)制度やランゲージラボラトリーでパソコン上での英語テストを受講できるCASEC(キャセック)など、自学自習の機会を増やし、一人ひとりのやる気に応じてステップアップが可能になるシステムに変えていく試みを進めていきます。

科目開発について
 科目開発の試みも活発に進めています。ますます充実する寄附講座のほか、青学OBでプロラグビー選手の岩淵健輔氏による「現代の若者とスポーツ」という講義を開講しました。ボランティア、本学の歴史、インターンシップと3つを組み合わせたUI(ユニバーシティ・アイデンティティ)科目を作る構想もあります。こうした新しい科目は学内の教員だけでカバーできない部分があり、広く社会のなかからも人材を求めていく予定です。

キリスト教教育について
 青山学院大学の歴史は、キリスト教の歴史と切り離すことができません。建学の理念であるキリスト教精神に則った教育が本学の本当の根幹です。その根幹をまず学んでもらうために設置されているのが、キリスト教理解関連科目群です。これらの科目はキリスト教を信仰の対象ではなくて、学びの対象として位置づけられています。キリスト教そのものを学ぶことは、歴史、仏教、イスラム教・イスラム圏などを勉強するということも関わってきます。同時に、キリスト教芸術などの美術史的なもの、キリスト教音楽も入ってきます。例えば、BACH COLLEGIUM JAPANの鈴木雅明氏(音楽監督・東京芸術大学教授)が、「マタイの福音書などの中で、なぜJ・S・バッハがその曲を作ったか」というテーマの講義を実演を交えて行っていただきました。また、シュー土戸 ポール文学部専任講師の講義では、イスラム教のモスクの方をゲストスピーカーで招いた異文化のコミュニケーションとキリスト教、あるいはIT技術を媒体としたコミュニケートというキリスト教の実践がなされています。単に聖書を読むのではなく、このように学びの対象として多角的にキリスト教を考えていくことが、本学のキリスト教理解の大きな特色といえるでしょう。

 青山スタンダードはこれからも進化していきます。すでに開催した懇談会や、今後、開催を予定している成績優秀者、IT-A、SAなどのモニター制度などを通して、受講する学生の意見を積極的に採り入れながら、毎年少しずつ修正しつつ、課題を集積し、カリキュラムや授業内容改編など比較的大きな改革は2~3年かけてじっくり取り組んでいく……そんなスタンスで、よりよい「青山スタンダード」を育て上げていきたいと思っています。
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