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第8回読売・吉野作造賞を受賞した山本吉宣教授に聞く

山本 吉宣
国際政治経済学部教授
山本 吉宣
 2007年6月、山本吉宣国際政治経済学部教授の著作である『「帝国」の国際政治学―冷戦後の国際システムとアメリカ』(東信堂)が、第8回読売・吉野作造賞(読売新聞社、中央公論新社主催)を受賞しました。同賞は中央公論社の「吉野作造賞」(1966年度より)が、2000年に読売論壇賞と統合されたもので、前身となる「吉野作造賞」第1回受賞者の衛藤瀋吉氏、第2回受賞者の永井陽之助氏は、後年ともに本学国際政治経済学部教授として活躍されました。ちなみに衛藤氏は今回受賞された山本教授の東京大学教養学部時代の恩師でもあります。
 山本教授は、大学院修士課程修了後の1968年に渡米し、ミシガン大学で博士号を取得。1970~80年代にかけて、日本と米国を行き来しながら、日米貿易摩擦や安全保障などに関する研究に取り組まれてきました。今回の受賞作は、そうした米国通の研究者としての経歴をベースに、冷戦集結後、特に9・11同時多発テロ後の国際政治の動きに触発され取り組まれてきた研究の大きな成果です。
 「冷戦時代には、イデオロギーによる東西対立という構図がありました。しかし現在の国際政治には、そうしたわかりやすい構図はなく。論者によってさまざまな視点や切り口から語られています。そうした現在進行形の国際政治の諸現象を整理し、その展開の道筋を示すのが私たち理論研究者の役割といえるでしょう」。
 山本教授は、『「帝国」の国際政治学』において軍事力・経済力で他国を圧倒する米国を仮に“帝国”ととらえ、米国が中心となる現在の世界を“帝国システム”というキーワードで読み解きます。「国際システムの研究」をテーマとする山本先生のゼミでも、3年生がこの受賞作をテキストに学んでおり、受賞発表の際には学生からお祝いメールが届いたとか。
 「私が使っている“帝国”は、19世紀のいわゆる帝国主義とは異なります。かつての帝国主義は、武力行使によって第三世界諸国を力づくで植民地化し、また変革しようとしました。しかし現在では、軍事力による強制ではなく、相手国の合意を得ながら内からの変革を促すことも可能です。たとえばアパルトヘイトによる人種差別が激しかった南アフリカを各国の外圧によって変革させたように……しかし残念なことに、9・11後のブッシュ政権は、反対する国々を押し切り強大な軍事力によって、フセイン政権のイラクを武力制圧してしまいました。イラク国内は未だに大きな混乱が続いています。『なぜそうなってしまったのか?』という問題意識が、この本を私に書かせたひとつの要因です」
 現在、山本先生は、国際制度や環境問題、国際NGOの活動なども視野に入れ、“帝国システム”と対になる“グローバルガバナンス”をテーマとする著作を執筆中。今回の受賞で、その研究・執筆活動に大きな注目が集まっています。
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