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世界初!次世代ディスプレイの夢を開く偏光発光デバイスのメカニズムを長谷川美貴専任講師らの研究グループが発見!


 本学理工学部化学・生命科学科の長谷川美貴専任講師らの研究グループが、次世代のディスプレイ開発の可能性を拓く、まったく新しい偏光発光デバイスのメカニズムを解明しました。この研究は、長谷川研究室を中心に、「SPring-8」という大型実験施設を運営する財団法人高輝度光科学研究センター、独立行政法人理化学研究所、および旭化成(株)研究開発センターの協力を得て進められていたもので、セッケンのもとになる分子と希土類金属プラセオジム(Pr)を含ませた錯体に、メレムという三角形型の有機分子を加えると、0°と30°という特定の偏光角を持つ光を発する性質が現れることを発見。この発見は、英国王立化学会でも高く評価され、EUの光化学連合の公式ジャーナル「フォトケミカル・アンド・フォトバイオロジカル・サイエンス」誌(2007年7月4日発行)に研究成果が掲載されています。また、それに先立つ6月29日(金)、東京・丸の内にある文部科学省において、「セッケン分子と希土類金属から新しいディスプレイ材料開発の可能性」と題した記者発表が行われました。


 長谷川先生のグループが開発したこの新しい偏光発光膜は、1930年代に開発されたLB(ラングミュア・ブロジェット)膜法を、長谷川先生独自に応用した手法で作製。大がかりな装置によって行われている従来のディスプレイ基板処理工程と異なり、水を溜めた水槽のような簡便な装置で作製できます。これにより大画面発光性基板の開発が容易になるとともに、バックライトが不要の自己発光性(デバイス自体が偏光を発光する)基板の開発の可能性が見えてきました。軽量・高密度あるいは省エネルギーなど、次世代ディスプレイに求められるすべての条件を満たす道を拓いた今回の研究成果に対する社会の期待は大きく、記者会見でも「実用化」に関する数多くの質問が出されていました。

 記者発表を控えた長谷川先生に今回の研究に対する思いをうかがいましたので、以下にご紹介します。

長谷川美貴
理工学部
化学・生命科学科
専任講師
長谷川 美貴
 「今回の研究は、私が青山学院大学大学院生だった頃から温めてきたいくつかのテーマを融合させたものです。LB(ラングミュア・ブロジェット)膜法という従来からある手法を使っていますが、それを私の専門分野である錯体化学とミックスさせたところに新規性があり、このタイプの偏光発光デバイスは世界で初めてのものです。これまでのプラズマディスプレイなどの基板は、リスクも、コストも大きい真空環境での作製過程で大きなエネルギーを消費してしまうのですが、私たちの方法は、極端に言うと水槽にジャブっとつけて、ゴソッと持ち上げるだけ(笑)。水と大気の界面を利用した環境にもやさしいフィルターなのです。実用化に向けてはまだ課題がありますが、先駆けとなる研究については3月に特許申請を終えています。特定の角度を持つ偏光特性を利用して、たとえば、覗き見防止機能を持つ携帯電話や銀行ATMのディスプレイを、これまでよりコストが安く簡単に作ることができるようになるかもしれません。
 今回の研究は、外部の研究機関や企業の方々のご協力を得、学生と一緒に試行錯誤しながら取り組んできました。世界に先駆けた最先端の研究で、素晴らしい結果を出せたことは、今後の研究へのモチベーションにつながりますし、後輩たちへのエンカレッジにもなると思います。私自身にとってもこの研究で成果を出したことは大きな喜びです。これまでも世界に向けていくつもの研究成果を発表してきましたが、今回は錯体化学、分子分光学、分子間相互作用などにわたる、特に思い入れの深い研究テーマが融合した成果なので、新しいスタートラインに立ったようなワクワクした気分です」
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