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産学連携プロジェクトの成果が次々と形に!“生きた研究の場”を提供し続ける、理工学部橋本修研究室

 理工学部の橋本修教授の研究室では、多数の企業との産学連携プロジェクトが同時進行しています。この夏場にもいくつかのプロジェクトが実を結び、その研究成果が新聞等で発表されました。電波吸収体に関する件名(2件)と、電磁波応用に関する件名(1件)の研究・開発について、橋本教授にお聞きしました。
橋本 修
理工学部
電気電子工学科 教授
橋本 修
●軽量でコストパフォーマンスに優れた電波吸収体を開発(松山毛織との産学連携・2007年7月)
 松山毛織(株)は、もとは衣料メーカーですが、新規事業として電磁波シールド材の開発などを展開しています。先方より「炭素繊維」を材料とした電波吸収体が作れないかとのご提案があり、研究を重ねた結果、裏にアルミニウムを張った発泡スチロールの表面に、テニスラケットのガットのように炭素繊維を張り巡らせることにより、軽量で薄く、コストパフォーマンスにも優れた電波吸収体を実現できました。また、張り巡らせる炭素繊維の間隔を変えることで、吸収する電波の周波数帯域を調整することも可能です。素材が繊維のため屋外での活用は難しいのですが、例えば携帯電話などの電子機器用の実験室などに「手軽に設置できる電波吸収材」としてアピールできるほか、テントのような簡易的な実験室での利用にも適しているなど、汎用性は広いと思われます。(フジサンケイビジネスアイ 2007年7月18日(水))

●食品工場の加熱殺菌用の電子レンジの電磁波に円偏波を応用(大和製罐との産学連携・2007年8月)
 容器製造プラントメーカーの大和製罐(株)と共同で、食品工場などの加熱殺菌用の電子レンジにおいて、温度ムラを低減させるための研究を続けています。食品業界で電磁波は、乾燥・解凍・加熱など、さまざまな用途に活用されていますが、今回のテーマは殺菌。例えば豆腐などでは、電磁波を照射することで中身の殺菌が行われています。通常は直線偏波という電界方向の一定な電磁波を照射しますが、それではどうしても容器の中身に温度のムラができてしまい、均一な殺菌は難しい状況でした。そこで、通信や放送用に使われている電界方向が円を描くように電磁波が進む「円偏波」を応用することに思い当たったのです。シミュレーション測定の結果、直線偏波と比べて、温度ムラを約2割軽減することを実現しました。今後は、より実用化に向けた開発を進めていく予定です。(フジサンケイビジネスアイ 2007年8月17日(金))

●多層CNTと樹脂の複合材で、新型の軽量電波吸収体を開発(保土谷化学工業との産学連携・2007年9月)
 保土谷化学工業と三井物産の合弁会社であるナノカーボンテクノロジーズが、新しい多層CNT(カーボンナノチューブ)を開発し、それを電波吸収体として活用できないかとお話をいただいたのが、共同研究を進めるきっかけでした。電波吸収体にカーボンを使う場合、従来のカーボン粉であれば約20~30%の含有が必要。しかし、実験を重ねた結果、新しい多層CNTでは約0.2~0.3%の含有で、従来と同様の導電性や電磁シールド効果が確認できました。この多層CNTを使えば、これまで主流であったフェライトの電波吸収体と比べ、重量を1/4以下に軽量化することが可能です。今後は、ETCや携帯電話などの固定無線アクセス通信などで実用化させるために、より幅広い周波数帯への対応を進めていきます。(日刊工業新聞 2007年9月4日(火))



 橋本研究室が、多彩な研究に取り組む背景には、「学生たちに少しでも“生きた研究”を体感させたい」との橋本教授の思いが込められています。学生が取り組む研究対象に応じて、実際に製品化を進める企業との共同研究を体験できたならば、その学生が得られるものは計りしれません。企業と橋本教授だけでなく、その周りに学生や院生が関わっている姿こそ、真の産学連携の意義なのです。
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