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単結晶ダイヤモンド基板の製品化を目指す新会社「AGDマテリアル株式会社」を青山学院が設立。電気電子工学科の澤邊教授が、代表取締役社長に就任。

 理工学部電気電子工学科の澤邊厚仁教授の結晶工学研究室では、プラズマCVD法を用いたダイヤモンド薄膜の製造に関する研究に取り組んでおり、近年、直径1インチの自立膜製造にも成功しています。学校法人青山学院では、この技術を応用した大面積・高品質の単結晶ダイヤモンド基板を製品化することを目指し、2007年10月29日にハイテクベンチャー企業「AGDマテリアル株式会社」を設立し、澤邊教授が代表取締役社長に就任しました。
 今回は澤邊厚仁社長に、ダイヤモンド基板の製品化がもたらす業界への影響、および新会社の役割などについてお話をうかがいました。
澤邊厚仁 教授
AGDマテリアル株式会社
代表取締役社長
理工学部電気電子工学科
澤邊 厚仁 教授
 大面積・高品質な単結晶ダイヤモンド基板を製品化するためには、大学の研究室だけではなく、企業レベルでの本格的な取り組みが必要となります。その企業をどうするのかが問題ですが、考えられる選択肢は2つ。1つは我々の技術をどこかの企業にお預けして製品化してもらうか、もう1つは、我々自身が会社を立ち上げて製品化するかです。熟考した結果、世の中に製品と呼べる基板が存在しない以上、応用を含めた大きなビジネスとしては成立しづらく、現段階では企業による対応は難しいと判断しました。そこで青山学院が中心となり、大学教員や企業からの共同出資を受ける形で「AGDマテリアル株式会社」が設立されたのです。
 弊社の役割は、もちろん単結晶ダイヤモンド基板の製品化です。しかし、それ以上に期待していることがあります。それは、基板が形になることでさまざまなデバイスの開発が実現したり、新しいコンセプトの製品が生まれたりなど、ダイヤモンド産業が注目を浴び、活気づくようになることです。ダイヤモンドはその硬さ以外にも、熱を通しやすい、半導体としての高いポテンシャル、化学的安定性など、魅力的な特色を数多く備えており、走査トンネル電子顕微鏡用探針、放射線検出センサなど数多くの最先端機器への応用も期待されています。そんな業界の活性化への貢献も我々の大きな目的のひとつなのです。現在のところ、2008年後半には基板のサンプルを出荷し、2009年に製品化できればと計画中であり、何とか実現できるのではないかと手応えを感じているところです。
 会社を設立し、社長に就任したからといって、大学での研究を疎かにしていては意味がありません。会社と研究室とをうまく両立させることによって、それぞれに相乗効果を生み出したいと考えています。製品開発を会社が担うことになれば、大きな負担のなくなった研究室では、品質の追求やデバイスの応用など、より基本に戻った研究をじっくりと進められるようになります。また、学生も最先端の製品開発について、研究室だけでなく企業として取り組みを身近に感じることができるはずです。そういう意味では、早く会社の方を独り立ちさせないといけませんね。基板の製品化を実現させて、研究室から「実験に使うので基板を安く譲ってください」と、依頼が来るようにしないと(笑)。
 なお、今回の起業においては、トーメイダイヤ(株)、セキテクノトロン(株)、並木精密宝石(株)に、多大なご協力をいただきました。トーメイダイヤは、高温高圧ダイヤモンド合成の日本におけるパイオニアであり、豊富な技術の蓄積を持っています。また、セキテクノトロンは、ダイヤモンド薄膜作製装置のトップメーカーです。並木精密宝石は、ダイヤモンドなど宝石の精密加工に関しては、世界最高の技術を持つ会社です。これら高度なオリジナル技術を持つ企業と、今後も協力しあいながら、単結晶ダイヤモンド基板の製品化に向けて、一緒に取り組んでいきたいと思います。


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