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「WTO研究センター」2007年度活動報告と今後の展望

 本学WTO研究センターは、WTO(世界貿易機関)を取り巻く国際的な経済・通商分野の問題について、大学という中立な立場から課題の把握や調査研究に取り組み、広く社会への貢献に結び付けることを目的として、2003年4月に発足しました。同センターは日本国内はもちろん、アジア地域で見てもWTO研究における先進的な組織です。2005年に開催された「WTO設立10周年記念シンポジウム」では、WTOに関係する世界中の第一人者が数多く本学に集結し、センターの存在を内外にアピールする機会となりました。2006年7月には、パスカル・ラミー現WTO事務局長の講演が本学で開催されました。また、WTOの運営事務や技術支援を行うジュネーブの「WTO事務局」から、毎週“公式文書”が航空便で届けられていることからも、同センターの存在感が伝わります。
 2008年4月で設立5周年を迎えたWTO研究センター。5年目の活動であった2007年度の活動報告および今後の展望について、同センターの岩田伸人所長にお話を聞きました。
岩田 伸人
WTO研究センター所長
岩田 伸人
「WTO研究センターの役割」
 本センターは「世界の平和に貢献し得る人材育成と研究を行う」ことを方針として定めています。
 日本の経済は「貿易」を抜きにしては存続できません。日本の産業が大きな成長・発展を遂げ、豊かな国民生活を実現していくためにも、海外との円滑な“貿易関係”を築くことは大切です。この構図は、これまでもそうでしたし、これからも変わることはないでしょう。
 本センターが本学に設置された意義には大きいものがあります。なぜなら、大学という教育機関が加わることにより、正に“産・官・学”が連携して、WTO研究に関する取り組みが実現できるからです。我々は政府や民間のシンクタンクとは異なる中立的な立場から、自由貿易体制が抱える問題に学生諸君とともに取り組むことができる環境にあります。本学のWTO研究センターに求められた役割はここにあります。
 WTOは、世界の貿易体制を国同士の力関係によるものから、秩序あるルールに基づいた体制へと導いています。いわば「貿易」を通じて、世界の「平和」に貢献すべき国際機関であり、この考え方は、本学の理念とも相通ずるものがあります。



「2007年度の活動報告」
 WTO研究センターの主な活動としては、定期的に行われる「研究会・セミナー」、年に数回のビッグイベントとして開催される「国際シンポジウム・講演会」、そして独自の研究を展開する「研究プロジェクト」の3つが挙げられます。
 2007年度も多くのイベントを本センター主催や国連大学などとの共催で開催しました。ここでは、そのなかでも比較的大きな取り組みをピックアップして紹介します。
 「研究会・セミナー」は、2007年の5月と6月、そして11月と12月に集中して主なイベントを行いました。報告された主なテーマを並べると、5月18日開催「米韓FTAの概要と両国の反応(ジェトロ米韓FTA調査関係者)」、11月30日開催「日ASEAN二国間・複数国間EPAの概要(経済産業省担当者)」、12月14日開催「WTO農業交渉の状況(農林水産省交渉関係者)」となっています。また公開セミナーでは、11月8日に中国・復旦大学経済学院教授の陳建安氏を講師として招いた「中国の内外直接投資と対外貿易への影響」が開催され、大きな反響を得ました。



 「国際シンポジウム・講演会」においては、あとで述べる「研究プロジェクト」とも連動しますが、2008年2月1日に、日本・モンゴル国際学術シンポジウム「グローバリゼーションとエコツーリズム ~モンゴルの観光・環境資源をどう活かすか~」をモンゴル政府・大使館の後援で開催しました。このシンポジウムは、急速に市場経済化を進めるモンゴルにおいて、その雄大かつ多様な観光・環境資源をどのように活かすべきかを、主に現地の視点でリポートされたものです。当日は本学の学生はもちろん、日本政府やマスコミ関係者の姿も多く見られ、関心の高さがうかがい知れました。モンゴルとの合同研究は、今も現在進行形で積極的に進められており、今年の12月頃には第3回目のシンポジウム開催を予定しています。なお、特別講演会として、米国ジョージタウン大学のジェームズ・ファイナマン教授特別講演会「WTOと中国 ~知財問題をきっかけとして激動の度を加える中国の国内・国際情勢~」(2007年6月14日)、国連大学との共催でバングラディシュ人民共和国外務担当顧問特別講演会「G8とドーハ:ドーハラウンドに『開発』を取り戻す」(2008年2月25日)も開催しました。こちらのイベントも一般の方を含む多くの中東やアジアの駐日大使に御臨席いただき、大盛況となりました。



 そして「研究プロジェクト」では、2006年1月から“モンゴル国立大学との共同研究プロジェクト”を展開しています。同年8月には、青学生とモンゴル国立大学生が現地でディスカッションを行い、最終日はディスコで盛り上がったと聞いています。「日本とモンゴル間における望ましいFTAの提案」を研究目的とし、FTA(自由貿易協定)に関するいろいろなアイデアが出されるなど、徐々に成果が形になりつつある段階です。先程ご紹介した日・モ国際学術シンポジウムも成果発表のひとつの形といえます。また、近年は、「貿易と環境」が世界共通の課題です。本センターでも特に「アジアの環境問題」について、さまざまな角度から追究していきたいと考えています。この分野で将来活躍したい学生の皆さんは大歓迎です。

「WTO研究のネットワークづくり」
 現在は前述のモンゴル大学をはじめ、武漢大学(中国)、政治大学(台湾)、パシフィコ大学(エクアドル)などと連携し、WTOに関する研究を合同で行っています。また最近になり、マレーシア科学大学とも研究交流をスタートさせました。
 今後、「WTO研究センター」が、アジア・太平洋地域における大学のWTO研究の拠点と呼べる組織へと成長していくためには、さらなるネットワークづくりを推進するべく、国外の研究機関との連携を強めていく必要があります。青学生の積極的な協力にも感謝します。2008年度以降も積極的な活動を展開していきますので、ぜひご期待ください。また、グローバルな視野でビジネスや環境問題、国際機関で活躍したい諸君の参加をお待ちします。
 なお、本センターの活動については、オリジナルサイトで随時報告しています。ぜひ、ご覧ください。
http://www.wto.aoyama.ac.jp/
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