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eLPCOから、3年間取り組んだ文部科学省「現代GP」と「サイバーキャンパス整備事業」の最終年度成果報告が完了

 総合研究所eラーニング人材育成研究センター(eLPCO)は、情報通信技術(ICT:Information & Communications Technology)を活用した新しい教育方法や教育システムなどの研究・開発および普及を主目的に、2005年4月、青山学院大学総合研究所内に設立されました。それと同時に、それら最新のICTシステムを有効に使いこなし、円滑な授業を行える人材、つまりは「e-Learning専門家」を育成するという大きな役割も担うことになりました。
 eLPCOの取り組みは社会的にも注目度が高く、“人材育成プログラムの開発”に関して文部科学省の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に、そして“教育プログラムを組織的に運営するための仕組みづくり”に関して同じく文部科学省の「サイバーキャンパス整備事業」にそれぞれ採択。2005年から2007年にかけて、積極的な取り組みが展開されました。
 今回は、文部科学省の採択事業として取り組んだ3年間を総括する形で、eLPCOの玉木欽也センター長、および客員研究員の長沼将一氏、権藤俊彦氏に、これまでの取り組みと成果についてお話を聞きました。
玉木 欽也
総合研究所eラーニング
人材育成研究センター長
玉木 欽也
 今日の高等教育において、学生の学習意欲の低下、教員の授業設計や教授方法の未熟さなど、さまざまな問題が表面化してきました。その解決策として、教員が「教える授業」から学生が「主体的に学ぶ授業」への転換が期待されており、その有効な手法としてeラーニングの活用が注目を集めています。eラーニングは、すでに欧米を中心に海外では積極的に導入され、アジアでもシンガポールや韓国では、かなり充実したシステムを実用化。日本は大きく立ち遅れているのが現状です。
 eラーニング授業は、現場の教員の力だけでは導入が難しいため、eラーニング授業を構築・運用できる専門家が必要となります。その専門家を育成するためのプログラム開発に関するeLPCOの取り組みが、文部科学省の「現代GP」に採択され、同時に、専門家に相応しいスキルを育成および判定する教育支援システムの構築、いわば人材育成プログラムをスムーズに運用するための“仕組みづくり”に関する取り組みが「サイバーキャンパス整備事業」に採択されました。
 現代GPの“e-Learning専門家の人材育成”については、育成プログラムを開発したものの、本当に学生たちが参加してくれるのか不安な気持ちもありました。最終的に300名を超える学生がプログラムを受講してくれたことは、安心するとともに我々の自信にもつながりました。eLPCO独自の資格認定とはいえ、さらに2007年度には15名の“専門家資格認定者”も誕生。最近は国内最大級のeラーニング業界団体である日本イーラーニングコンソシアムが展開する資格との相互認定が実現するなど、社会的認知度も向上しており、実社会でも必ず役立つ資格となるはずです。
 一方のサイバーキャンパス整備事業の“メディアを活用した実践的授業のための教育支援者判定プログラム”では、数々のガイドラインや教育支援システムを構築し、円滑なプログラム運用に貢献できたと思います。しかし、より実用的なサイバーキャンパス環境の構築のためには、そのプログラム運用の合理化をはじめ、まだまだ改善すべき要素も新しく見えてきました。これからも継続し、次のステップへ進みたいと計画しています。さらに上記成果の普及活動として、オープンフォーラムを計5回開催しました。
 「人材育成」と「プログラム運用の仕組みづくり」と、異なる目的の事業に同時進行で取り組んでまいりました。結果的に、ある程度の成果は出せたとはいえ、まだ改善すべき点も見られ、そして何より広く普及させるという大きな目標も残っています。文部科学省の採択事業としての3年間の取り組みはこれで予想以上の成果をもって完了できましたが、成果の普及というeLPCOの使命は、これからが本番だと考えています。


長沼将一
総合研究所eラーニング
人材育成研究センター
客員研究員
長沼 将一
平成17年度文部科学省
『現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)』採択事業
e-Learning専門家の人材育成
~世界に通用する専門家育成プログラムの開発と普及~


 eラーニング専門家育成プログラムを開発するにあたり、受講者の目標を明確にする意味でも、「インストラクシャナルデザイナ」「コンテンツスペシャリスト」「ラーニングシステムプロデューサ」「インストラクタ」「メンタ」として、5職種のeラーニング専門家の人材像とスキルを定義。そして各スキルに対応した科目を設計し、最終的に26科目のeラーニング授業を開発しました。青山学院大学の学生が受講しやすいように、26科目の多くを単位が認定される「正規授業」として用意。一部、2008年度からは青山スタンダードでも開講しました。学生は、カリキュラムに沿って規程の科目を受講し、条件を満たして総合試験に合格すれば、職種ごとの「eラーニング専門家認定証」を発行するシステムです。
 初期のプログラム開発に約1年を要し、取り組み2年目となった2006年度から学生を募集。初年度が前後期合わせて181名、2007年度は前後期合わせて136名、合わせて317名の学生が育成プログラムに参加してくれました。そして、前述したようにそのうちの15名が、eラーニング専門家の資格認定試験をクリア。しかも設定した5職種すべてにおいて“専門家”が誕生しました。「現代GP」の当初の主旨であった“eラーニング専門家の育成”を無事に達成できたと考えています。


権藤俊彦
総合研究所eラーニング
人材育成研究センター
客員研究員
権藤 俊彦
平成17年度文部科学省
『サイバーキャンパス整備事業』採択事業
メディアを活用した実践的授業のための
教育支援者判定プログラム


 本事業がスタートする段階で、「学部教育におけるメディア授業ガイドライン(授業設計・実施・評価法)および教育支援者判定ガイドラインの編纂」「実践教育コンテンツの開発・改良」「教育支援システムの開発と改良」という3つの目的が掲げられていました。
 成果としましては、まずeラーニング専門家育成の「教育」の部分を担う“メディア授業”と、育成までの「資格認定プロセス」の部分を担う“スキル判定”を効率化するためのガイドラインを編纂。円滑なプログラム運用を実現しました。次に実際にICTシステムの運用に必要となる知識を学ぶ“実践教育コンテンツ”を4科目計38本開発。これは先程の「メディア授業ガイドライン」に沿って開発されたもので、国内大学7校、国外大学2校で正規授業として実用されました。そして、専門家育成プログラムにおけるスムーズな進行を、省力化を含めた面からも支援する5つのシステムを新規開発。また1システムを改良し、総合的な学習支援環境の構築に寄与しました。
 最終年度にはタイ、中国、アメリカから講演者を招いての「国際シンポジウム」開催を実現するなど、大きな成果が得られました。また、事業を進める段階で、学内の各研究部会はもちろん、他大学や企業と連携した動きも広がり、“eラーニング”に対する社会の関心の高さを実感することもできました。
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