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理工学部電気電子工学科 橋本修研究室が、電磁波吸収体の温度分析手法を確立。電波暗室の新規設計、および既存暗室の能力測定が可能に。

 日本の電波研究の第一線で活躍する理工学部の橋本修教授は、FDTD電磁界解析手法の研究における先駆者であり、関連著作も多数あります。その橋本教授に、電波吸収体の温度分析手法確立の意味と価値について、お話を聞きました。
橋本 修
理工学部
電気電子工学科
教授
橋本 修
 「電磁界解析の過程で電波吸収体は、電波のエネルギーを吸収して発熱し、吸収特性が変化するなどの影響が出ます。たとえば電波暗室内で大電力の電波を照射すると吸収体が発熱して機能が損なわれる恐れがあるのです。この問題を解決するために、電磁界解析に熱解析を連動して解析することができればと考え、実験や解析を積み重ねて、温度分析手法を確立しました」
 ピラミッド形状の電波吸収体は幅広い周波数の電波を吸収するのですが、吸収する周波数に対して、どの部分がどの程度発熱するのか不明でした。しかし、この温度分析手法が確立されたことにより、発熱部分と温度が可視化できるようになりました。
 「電波暗室に設置するピラミッド形状の電波吸収体は発熱により、形が崩れたり、特性が変化して吸収力が低下したりします。しかし、温度分析が可能になったことで構造や材質の適切な設計ができるようになりました」
 特に、大出力の船舶無線や航空無線、レーダーの品質評価をする電波暗室では電波吸収体の発熱により数100℃の高温になるため、今回の手法確立によって構造と材質の研究が大きく進歩することになります。
 「役立つのはハイパワー対応電波暗室の新設時だけではありません。現在使われている既存の電波暗室は、現実的に内部温度測定が極めて困難ですが、この手法を用いたシミュレーションにより、既存暗室で実験に使用可能な出力の限界値評価ができるようになりました。また、電波吸収体ではありませんが、たとえばテレビ放送局の電波を送る導波管は高い熱を持つこともあり、このような場合の温度解析にも役立ちます」
 この研究は産学共同研究のひとつとしてTDKとの共同研究で行い、実験にはTDKの電波暗室を使用しました。温度変化の測定に金属の影響が出ないように光ファイバーを使うなどの工夫は、研究室のメンバーとTDKの技術者が協力して行いました。
 橋本修研究室のこの研究成果は5月19日の日刊工業新聞の記事になりました。また、8月にデトロイトで開かれるIEEEの学会で橋本教授らにより発表される予定で、海外からの大きな反響も期待されます。
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