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総合文化政策学部主催国際シンポジウム「オルハン・パムクとの対話」開催報告

 去る5月15日(木)総研ビル12階大会議室(16:30~19:00)にて、総合文化政策学部の主催による国際シンポジウム「オルハン・パムクとの対話」が開催されました。主催者側参加者も含めて270人ほどが来場する大盛況の中、内容的にも、多彩で充実したものとなり、大成功を収めました。


 オルハン・パムク氏は、2006年にトルコ人として初のノーベル文学賞を受賞した作家で、その代表作はすでにいくつか日本語に訳されています。トルコはいわゆる東洋の中で最もヨーロッパに近く、オスマン帝国の東南ヨーロッパ支配以来、ヨーロッパとは深い関係で結ばれています。20世紀初頭に、オスマン帝国の崩壊とともに、共和制を敷き、ヨーロッパ・モデルを採用して近代化に邁進して来ましたが、近年はEUへの加盟を申請し続けるも成功せず、その一方で、イスラム主義の著しい台頭がみられます。
 今回は特に、パムク氏の最近の大作『雪』を中心に、この東洋の西端と東洋の東端である日本の対話を試みました。会の冒頭、主催者を代表して挨拶を行った総合文化政策学部長石崎晴己氏は、本年度より開設された同学部の紹介を行った後、パムク氏に向かって、フランス留学時のトルコ人の友人の思い出を語り、政教分離主義を国是とするフランスで起こったイスラム・スカーフ事件が、多数派の宗教がイスラム教であるトルコでも起こっていることへの率直な驚きを表明しつつ、氏への歓迎の言葉を述べました。



 会は、総合司会を努める総合文化政策学部教授梅津順一氏の司会によって進行しましたが、その第一部は、小説『雪』の創作ノートである「カルスの雪」の抜粋をパムク氏自身がトルコ語で朗読し、その日本語訳の朗読が続く、という構成で、併せてパムク氏による解説も行われました。
 第二部では、作家・詩人でセゾン財団理事長として知られる辻井喬氏とパムク氏による対話が、国際交流基金理事長小倉和夫氏の司会で行われました。文人外交官として名高い小倉氏の巧みな司会による、優れた文学者同士の対話は、雪に閉ざされた国境の町カルスを舞台とする『雪』を巡って始まり、社会への対決、西洋との対面、自殺観の違いといったテーマから、やがては谷崎潤一郎、三島由紀夫、そして源氏物語にまで及ぶ、実に充実した1時間半となりました。
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