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理工学研究科重里研究室の修了生・久保慶幸さんが、ICCG・Post Awardの1st Prizeを受賞

 2008年6月16日(月)~20日(金)、オランダのアイントホーベン市で第7回無機薄膜に関する国際会議(ICCG7)が開催され、青山学院大学からは、大学院理工学研究科の重里有三研究室(理工学専攻機能物質創成コース)の研究成果3件を口頭、ならびにポスターで発表しました。そのうち、久保慶幸さん(2008年3月博士前期課程修了)の修士論文をまとめたポスターがPoster Awardの1st Prize(すべてのポスターから1件)を受賞。選考は参加した500名を超える研究者全員の投票により行われました。なお、久保さんの研究論文は、アメリカ物理学会(AIP)が発行する専門誌「Journal of Vacuum Science & Technology」の2008年7・8月号にもフルペーパーとして掲載されています。
 ICCGの会場で実際に久保さんの研究成果を他の参加者に解説した重里教授に、今回の受賞についてお話を聞きました。
重里 有三
理工学研究科
機能物質創成コース
教授
重里 有三
 ICCGは1994年に創設された、無機薄膜の情報技術や環境技術への応用およびその基盤技術に関する国際会議です。1996年の10月に、ドイツ・ザールブルッケン市で第1回が行われて以来、2年ごとに欧州の都市で開催され、EUのみではなく米国や多くのアジアの国々の大学、公的研究機関、企業の研究者や技術者、生産、事業関係者など、400~500名もの参加者が集まり、関連した分野の基礎科学から応用にいたるまで活発な研究発表が行われます。



 今回久保さんが賞を受けた研究は、特殊なプラズマ(電離気体)を用いたホロカソードガスフロースパッタ法による光触媒の合成方法に関するもので、環境浄化に大きな威力を発揮できる高性能な光触媒の超高速合成法を確立しました。研究に用いられた代表的な光触媒・酸化チタンは、従来のシリコンを用いた太陽電池よりコストが安い「色素増感太陽電池(グレッツ ェルセル)」をはじめ、環境技術への幅広い応用が可能です。EUの多くの研究者たちから圧倒的な支持を得ることができたのは、環境技術として実用化され、現実的に大きな役割を果たせる可能性がある基盤技術として高く評価されたためだと考えられます。また、光触媒の複雑な反応機構を解明するための突破口になりうるとの評価もいただきました。環境技術の進展は、地球全体をとりまくグローバルな問題に対応するための、最も重要な課題のひとつであると世界中で認識されてきていますが、特にEUにおいては環境問題に対する意識が高いようです。


 重里研究室では、産学連携の取り組みとして、10年にわたり株式会社ブリヂストンの中央研究所(研究開発本部)と共同研究を行ってきました。この連携により、「企業における実践を射程に入れた基礎研究」、「応用を想定した基盤技術の開発」に適した研究環境を大学の研究室内に整備することが可能になりました。また、大学院生たちに将来のキャリアパスを明確に示すことも可能になり、実践的なオン・ザ・リサーチ・トレーニング(ORT)を行っています。今回受賞した久保さんも在学時の研究に引き続き、4月からは同社に就職し企業における本格的な研究をスタートさせました。このように就職後も企業の研究所で研究員として活躍する修了生も多くおり、産学協同研究は院生のキャリアパスをつくるうえでも役立っています。社会に巣立った彼らが今後も粘り強く研究テーマに取り組む姿勢を持ちつづけ、大いに活躍してくれることを願っています。

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