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「拡大ヨーロッパと東アジアの地域再編
――和解、安全保障、人の移動――」



 青山学院大学総合研究所のプロジェクト「拡大ヨーロッパと東アジアの地域再編」が、2008年12月14日、総研ビル12階大会議室(国際会議場)に於て、約150人以上の参加者を得て開催されました。
 秋元実治教授(青山学院大学総合研究所長)から開会の挨拶がありました。また、研究代表者の羽場久美子教授(青山学院大学国際政治経済学部)から本プロジェクトの趣旨が説明されました。今回、青山学院大学総合研究所のプロジェクト「拡大ヨーロッパと東アジアの地域再編」が採択されたことにより、3年間に渡り共同研究を進めることとなり、また文部科学省の科学研究費でも「欧州と東アジアの地域統合の比較研究―規範、安全保障、国境、人の移動」が採択され研究が進展しています。
 本プロジェクトの課題と目的は、(1)グローバル化の進展と冷戦の終焉、(2)各地に広がる国家を超えた地域協力と地域統合の進展、(3)9.11からイラク戦争の過程での安全保障の変容、という3つの歴史的契機を経て、国家と地域の再編の問題が、現在いかなる位置にあり、どこに向かおうとしているのかを再検討することにあります。この3つのテーマは、いずれも21世紀初頭の現在、グローバル化とナショナリズムの二つの波を考える際、最大の課題と考えられます。
 上記の課題と目的に取り組むために、国際会議においては、3つのセッションが企画されました。セッション1.「紛争と和解―ヨーロッパと東アジアの比較研究」(10:00-12:00)では、羽場久美子教授の司会により、3つの講演から重要な指摘が提起されました。柴宜弘教授(東京大学大学院総合文化研究科)からは、バルカン諸国の歴史副教材の問題と、そこから和解の問題がどのように進められているのか、李元徳教授(国民大学、韓国)からは、「歴史問題」と「北朝鮮問題」を中心に、日韓関係の展開について、また、押村高教授(青山学院大学国際政治経済学部)からは、EUと東アジアの比較について、スピルオーバー効果の作動の展開(予測)について、議論されました。異体制間の「和解」の展望いついて、会場からも多くの理論、現状、課題について、コメント、質問がありました。
 セッション2.「ヨーロッパの安全保障戦略と、アジアの安全保障再編」(13:30-15:30)では、山本吉宣教授(青山学院大学国際政治経済学部)の司会により、3つの講演から重要な指摘が提起されました。エティエンヌ・ロイター氏(欧州委員会対外総局中国課上級顧問)からは、ヨーロッパの安全保障戦略とアジアの地域協力の比較の視点について、歴史的経緯を中心に議論され、赤羽恒雄教授(モントレー国際大学)からは、東アジアにおける移民問題と安全保障の問題について、「人間の安全保障」の概念から議論が展開されました。また菊池努教授(青山学院大学国際政治経済学部)は、アジアにおける多角的安全保障協力の課題について、6者協議の展開を中心に議論され、この問題に対して、討論者の大賀哲准教授(九州大学)からは、グローバル・ガバナンスと地域ガバナンスの利害調整の視点から問題提起がなされました。会場からは、9.11からイラク戦争以降の米欧関係の変容の視点から、安全保障問題の現状、展望について、多数の質問がありました。
 セッション3.「統合の中の地域協力と人の移動」(16:00-18:00)では、森井裕一准教授(東京大学大学院総合文化研究科)の司会により、3つの講演から重要な指摘が提起されました。ボグダン・ムルジェスク教授(ブカレスト大学経済史)は、ルーマニアの事例を中心に、EU拡大における流動性と労働力移動の問題を論じ、ボホロビッチ・ベアタ客員教授(横浜国立大学)は、沖縄とポーランドの比較から、下位地域協力の問題について講演されました。また、手塚和彰教授(青山学院大学法学部)は、ポーランドを中心に、EU拡大後の人の移動の現状、問題について講演され、討論者の岡部みどり准教授(上智大学法学部)からは、各講演者に対して人の自由移動と経済成長との相互関連の問題について質問されました。会場からは、EU新加盟国の国境線や労働力移動がもたらす問題について、また越境地域協力の展望について、多くの質問が寄せられました。
 青山学院大学総合研究所プロジェクト「拡大ヨーロッパと東アジアの地域再編」において、重要な基盤となる議論・視点が、司会者、講演者、討論者、会場から多数提起され、成果の多い国際会議となりました。
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