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文部科学省「戦略的大学連携支援事業」に、本学と北里大学が合同で取り組む「実践的プロジェクト教育による多角的連携に基づく人材育成と医療イノベーション」が採択

 大学間の積極的な連携を推進することで、各大学における教育研究資源を有効活用し、当該地域の知の拠点として、教育研究水準のさらなる高度化、個性・特色の明確化、大学運営基盤の強化等を図ることを目的とする文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」。2008年度の同事業に、青山学院大学と北里大学とが共同で取り組む「実践的プロジェクト教育による多角的連携に基づく人材育成と医療イノベーション」が採択されました。
 生命科学を包含する医療系大学である北里大学と人文社会系から理工系を包含する青山学院大学とがコラボレーションする意義について、本学側の窓口を務める理工学部の稲積宏誠教授に、お話を聞きました。
稲積 宏誠
理工学部
教授
稲積 宏誠
 少子高齢化における医療経済の問題、医療機関や医療従事者の需要と供給の問題等をはじめ、日本の医療制度に関する課題は山積みの状態です。それらの課題のなかには、「医療経営」の難しさから発生しているものも多く見られますが、日本国内において医療経営に関わる人材を教育する機関が少なすぎる現状があります。すでに欧米の教育機関では、ビジネス・スクールやメディカル・スクールを中心に医療経営を科学的に教育・研究する機関が存在しますが、日本においてもこの種の医療イノベーションを主軸とした専門的教育・研究機関の確立が急務なのです。
 今回の取組は、医療・薬学・衛生の分野で屈指の評価を受けている北里大学と、130余年の学院としての歴史を有し、文系・社会系・理工系における最新鋭の教育・研究実績を有する青山学院大学とがコラボレーションすることにより、“医療イノベーション”を実現するための新たな教育プログラムを構築することが中核となります。実は北里大学医学部と本学理工学部は、2003年の本学の相模原移転を契機とし、2004年に学部間での学術交流協定を締結済です。すでに共同研究や公開シンポジウムの開催など、お互いに研究面と社会貢献を柱とする連携が取られています。今回はさらに、人材育成に主眼を置く大学単位での連携となるため、より学際的・多角的効果が生み出せるはずです。
 本取組のキーワードは、“実践性”と“イノベーション性”と位置づけており、両大学の連携があって初めて実現できる「実践的プロジェクト教育」を推進していきます。その中核を担うカリキュラムが「プロジェクト型共通演習」です。これは、北里大学の医療関連領域を学ぶ学生、あるいは本学で人文・社会、情報、理工学等を学ぶ学生が、それぞれの専攻分野の知識を背景に、一同に学ぶプロジェクト型の演習科目です。例えば医療関連機関のマネジメントレベルの向上を目的とした「医療法人設立に向けてのビジネスシミュレーション」や、各種業種企業におけるマネジメント体制の課題である「企業の人的資源管理とメンタルヘルスケア」といったテーマを掲げ、お互いの意見・考え方を交換することで、新しい学びの発見、および即時性とリアリティの高い演習内容を実現できます。
 さらに、カルチャーも制度も異なる大学間の交流は、さまざまな形での波及効果をも生み出すことが期待されます。まず学生にとっては、各自の所属する大学または専攻分野では決して得られない知識の習得と、多彩な学生との交流によるコミュニケーション能力の向上が可能です。大学組織・教員(研究者)への効果としては、特にFD/SDプログラムを共同で実施することにより、ごく自然な形での外部(相互)評価を定常的に実施でき、個々の人間力、組織力の向上につながります。そして地域・社会に対しては、即効性のある効果として「プロジェクト型共通演習」で検討された結果をシンポジウム、学会、論文などで公表することでの社会への還元、また長期的な効果として、視野の広い俯瞰的人材を育成・輩出することにより、行政、自治体、関連企業の医療マネジメントレベルが向上し、国内の医療の仕組みや質の底上げが可能となります。
 本取組のミッションは「医療社会問題の解決・解明に大いに寄与し、健康な国民生活と国際競争力の維持に貢献する」ことです。両大学の連携を医療経営や医療政策等におけるスペシャリスト育成、両大学の教養・専門教育の活性化、FD/SDの実効化、社会貢献の実質化へと展開し、将来的には、共同大学院の設置を見据えた活動も視野に入れていくつもりです。ぜひご注目ください。


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