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誌上公開講座 No.46
 青山スタンダードテーマ別科目 自然理解関連科目「ゲノム」

降旗 千恵
理工学部
化学・生命科学科
教授
降旗 千恵
 「ゲノム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。1つの細胞に含まれる全遺伝情報をゲノムと言います。ヒトの場合遺伝情報はDNAという化学物質にあります。1953年にWatson & CrickがDNAの二重らせん構造を発見しました。それ以来DNAの研究は発展を続け、50年後の2003年にヒトゲノム計画としてヒトゲノム(DNA)の全塩基配列が解読されました。これは1969年のアポロ計画による月面着陸成功に匹敵する科学の快挙と賞賛されました。「ゲノム」という言葉は20世紀には専門家しか知らない言葉だったと思いますが、21世紀になって世間の人々の目にも触れる言葉となりました。



 ヒトゲノム計画に限らずこの10年ほど関連のライフサイエンス分野は爆発的な発展を続けて世の中を根底から揺るがす力を持つに至りました。もはや先端のライフサイエンスを知らずして生きることが出来なくなりました。そこで、ゲノム科学の基礎から応用までを人文・社会科学系の学生にも理解できるように易しく講義することを目指してこの講義科目を作りました。実際に受講者は人文・社会科学系と理系が半々になっています。
 講義内容は「細胞の構造」から始めて、「遺伝子DNAは生物の設計図」であることを講義し、「遺伝子の情報からタンパク質が合成される仕組み」、「子孫へ遺伝子の情報が伝わる仕組み」と基礎的な知識を講義した後、応用編として「ヒトゲノム計画によるヒトDNAの全塩基配列の解読」、「遺伝子診断」、「遺伝子治療」、「DNA鑑定」などを含みます。



 さて、青山スタンダード科目の「ゲノム」は青山スタンダード科目としては数少ない実験付きの講義をしています。実験は相模原キャンパスO棟2階の生物学実験室で行っています。1回目のテーマは「細胞の核を見る」で、プラスチックスプーンで自分の口内細胞を擦り取って、ギムザ染色して、各自1台の光学顕微鏡を使って、細胞の中でDNAが格納してある「核」を見てスケッチします。2回目は「細胞からのDNAの抽出」で、研究に使われる実験動物であるマウスの組織から、研究室で行われるのと同じ方法でDNAを抽出して、目でみます。3回目は「DNAの電気泳動による分離」で、研究室で行われるのと同じ方法で長さの異なるDNA断片を電気泳動法で分離して、結果を目でみます。最近は研究用キットが発達しているので、実験を初めてする学生でも皆うまく結果が出て、学生達に新鮮な驚きを与えることができます。相模原キャンパスでは来年度からスペースの問題により、生物学実験室が閉鎖されることになりました。2012年の就学キャンパスの再配置を前に、非常に残念なことです。なお、来年度のゲノムの実験は同じO棟の化学実験室を使って続行する予定になっています。

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