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理工学研究科の渡辺拓人さんが、第1回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2008」を受賞

 本学大学院理工学研究科博士後期課程2年の渡辺拓人さんの研究テーマ「非接触測定による電流分布推定に関する研究」が、第1回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2008」を受賞。2009年3月6日(金)に、グランドハイアット東京にて授賞式が開催されました。
 日本に縁の深いドイツ人科学者ゴットフリード・ワグネルにちなんで名付けられた同賞は、テクノロジーを重視するドイツの有力企業および在日ドイツ商工会議所が、優れた日本の若手研究者の支援や日独間の産学連携を進める目的で設立。応募対象は45歳以下で、研究分野も環境・エネルギー、安心・安全、健康・医療分野の応用研究に特定されています。第1回となった今回は、日本全国から91名の応募があり、そのなかから3段階の厳正な選考により5名(1等賞1名、2等賞1名、3等賞3名)の受賞者が決定しました。渡辺さんは3等賞の受賞でしたが、3等賞とはいえ、同時に受賞された他の4名は、それぞれの分野の研究で知られた大学の准教授の方々。大学院博士課程学生としての受賞は、快挙と呼べるものです。
 授賞式の当日には、ドイツ有力企業の社長クラスが来賓。野田聖子大臣から祝辞も披露されるなど、華やかな雰囲気のなかでの授賞式となりました。
 渡辺さんに、受賞に対する喜びの声、および研究内容の詳細を聞きました。
理工学研究科 博士後期課程2年 渡辺 拓人さん
 大学院の博士前期課程から後期課程の1年目までに取り組んできた「非接触による電流分布推定に関する研究」が、このような賞に選ばれたことを本当にうれしく思います。これも青山学院大学の学部生時代から、研究室でお世話になっている橋本修教授のご指導があったからこそです。
 今回の研究の主旨は、「非接触」で回路基板の表面磁界を測定し、二次元の電流分布を可視化する技術にあります。近年、電子機器の急速な小型・高速化が進むにつれ、電子機器から発生する電磁波が他の電子機器に妨害を与えることが社会問題となっています。不要な電磁波の発生源を調べるには、回路基板の電流分布の測定を行いますが、従来は局所的に電流プローブなどの測定器を用いました。しかし、この方法は「接触測定」で、基板配線を切断や加工するなどの作業が発生するため、試作段階の製品にのみ対応し、量産後の製品には適用できないとの問題がありました。そこで本研究では、不要な電磁波の波源となる高周波電流に着目。高周波電流周囲の近傍磁界を測定することで、回路基板の表面の磁界の強弱を二次元の電流分布で可視化し、高周波電流の発生箇所の特定を試みたのです。
 何よりも本手法は、「非接触」での測定が可能なため、構造による物理的制限がなく、マザーボードや半導体ICなど複雑な配線構造を有するものへの対応も実現。量産後の製品検査にも適しています。また回路基板への電磁的結合も極めて小さいため、高周波領域でも高精度な測定を実現。製品設計の早い段階から不要放射対策を行うことで、再設計や再試作にかかる無駄を抑え、製品のコストダウンにもつながるはずです。
 今後は、この不要な電磁波の発生箇所を特定する手法を応用し、不要な電磁波の放射を抑制する方法、および放射量の評価技術についても研究を進めたいと考えています。
理工学研究科 電気電子工学コース 教授 橋本 修
 不要な電磁波の放射を抑制するための研究は、最近になって各国でも急激に注目を集めはじめました。そうした背景のなか、今回の研究では、「非接触」で回路基板上の電流分布の測定が行えることが大きな注目ポイント。どのような構造の回路網に対しても電磁的結合が小さくて済むため、高周波領域であっても相対値ではなく“絶対値”の計測が可能となります。私の研究室では、電磁波を目に見える形で細かくシミュレーションする手法について研究していますが、渡辺くんの成果は、他の研究とも連携し、今後さらに取り組みを深めていける可能性を秘めています。普段からしっかりと段取りを組んで研究に臨む渡辺くんの姿勢や人柄が、今回の受賞につながったのでしょう。心から「おめでとう」と言わせていただきます。
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