メインコンテンツへ
セルビア副首相 ボジダル・ジェーリッチ氏講演「EU加盟と日本への期待」総研プロジェクトEUとアジア

 2009年4月13日、ダボスの世界経済フォーラムで世界の若手トップリーダーの一人に選ばれた、フランスで教育を受けた財務経済専門家のセルビア副首相、ボジダル・ジェーリッチ氏が、青山学院大学で講演をされ、学生72名、教授など研究者を含む42名、計114名が参加して、エネルギッシュな報告と、活発な討議が繰り広げられました。
 まず前置きとして、セルビアが歴史的に多くの地域から影響を受けている場であり、古くは西のローマ帝国と東のビザンチン帝国、さらにオスマン・トルコ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国など、何世紀にもわたって歴史の交差点とされてきた場所であり、地理的、政治的、歴史的に大国の交差する場であったがゆえに、ヨーロッパで変化がおきるたびに直接的な紛争の場となったことが語られました。


セルビア副首相 ボジダル・ジェーリッチ氏

 講演では、セルビアのEU加盟と日本への期待として、3つの点からお話がありました。
 第1は、旧ユーゴスラヴィアの崩壊、第2は、コソヴォ問題、第3は、世界経済不況と日本の支援です。
 第1の、ユーゴの崩壊については、1990年代の旧ユーゴスラヴィアの分裂と武力闘争、戦犯の引き渡しについて、EUはセルビアのEU加盟条件として、戦犯ムラジッチ(軍人)のハーグ国際戦犯法廷への引き渡しを求めており、セルビア政府はそれを受諾しEU加盟する用意があると断言しました。
 第2は、コソヴォ独立問題です。2008年2月17日のコソヴォ・メトヒヤ自治州の独立宣言は、セルビアからすると違法で、国際法にも反している。コソヴォはセルビアの領土でセルビアの発祥の地である。コソヴォ問題に関して、セルビアは二つの点を指摘したい。第一に、セルビアが和平的・外交的解決を探していること。第二にEUとの関係ですが、EU加盟国の22カ国はコソヴォ独立賛成ですが、5カ国(ギリシャ、キプロス、スロヴァキア、ルーマニア、スペイン)が反対だということです。コソヴォ問題は国際的権利、国際法に関して非常に難しい問題であり、世界でコソヴォ問題と同様の国際法上の問題が起きる可能性のある少数民族地域は210カ所も存在します。その上で、セルビアはEU加盟にむけ、コソヴォについて妥協点を見つける用意があると語りました。
 第3は、世界経済不況と日本への期待です。欧州の経済状況が将来3%後退していくと予測されている中、6月にEU議会選挙があり、EU拡大は、先送りになるかどうかの議論が始まっています。
 セルビアは、2010年にはEU加盟の候補国に、2014年に加盟を目指しています。なぜなら1914年にサラエボで第一次世界大戦が始まったが、ちょうど100年後の2014年に西バルカンの国々がEUに加盟するなら、非常に象徴的だからです。今日82%のセルビア人がEU加盟を望んでいます。
 そうした中、日本にぜひ期待したいことは、経済関係の強化です。最近10年、セルビアの日本に対する見方が変わってきています。昔日本は中欧に多くの投資をしていました。それが突然止まったのです。セルビアの交通網や、鉄道、エネルギー、テクノロジーは、大きな可能性を持っています。ロシアや中国からセルビアは資源の輸出、投資・財政支援を受けていますが、日本は大きく後退しています。日本の方々に是非セルビアに来ていただき、地理的・歴史的にも重要な場所である私たちの国の再建に協力していただきたいのです。日本の経済力、大学間交流も含め皆で協力をしていけたらと思います。


 会場との質疑応答では、(1)EU加盟の条件に、コソヴォの独立の承認が要請されたら、認めるのか/認められない。(2)EUとロシアのはざまでの外交戦略は?/経済EU、資源安全保障ロシア。双方共存、(3)大学時代に学ぶべきことは?/海外経験と語学。(4)クロアチアとドイツへの率直な意識は?/共同共存など、引きもきらぬ率直な議論があり、時間が足りないほどの盛況でした。
(国際政治経済学部 教授 羽場久美子:記)

ページトップへ