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総合文化政策学研究科 伊藤真利子さんが第1回「石橋湛山新人賞」を受賞

 総合文化政策学研究科博士課程4年(5年一貫制)伊藤真利子さんが、第1回「石橋湛山新人賞」を受賞し、2009年3月31日(火)に東洋経済新報社で授賞式が行われました。
 石橋湛山記念財団では、1975年から人文社会科学系の優秀な論文に「石橋湛山賞」を贈ってきましたが、近年、経験と実績ある受賞者が多くを占めるようになっていたことから、若手研究者を対象とした「石橋湛山新人賞」を2008年度に新設。伊藤さんは第1回目の受賞者に選ばれました。
 論文「郵政民営化と金融市場─金融変革期における郵便貯金─」にて賞を受けた伊藤さん本人の喜びの声とともに、指導教員である総合文化政策学研究科の杉浦勢之教授の講評をお届けします。
伊藤 真利子 さん
総合文化政策学博士課程4年
伊藤 真利子 さん
 郵便貯金の民営化は、巨額の国債を所有していたという点で、金融市場に深刻な影響を及ぼしかねない、大きなリスクを抱えていました。郵便貯金が国の事業であれば、金利の上昇により国債の価値が下がったとしても売却に歯止めをかけられますが、完全民営化された場合、価格リスクの高まった国債が自主運用によって一気に放出されると、国債価格の暴落と長期金利の急騰が金融市場に大混乱をもたらす危険性を伴うからです。
 今回賞をいただいた論文は、そのような現実的な問題が未解決のまま、小泉改革が推進されていた事実に注目し、長期不況からの脱出過程において、国債に依存する資金運用を脱却しようとした郵政公社と国債の安定消化を目指した財政当局とのせめぎ合いなど、郵便貯金の民営化と金融市場をめぐり実際に起こっていた問題を研究対象としたものです。同時に、わが国の民営化が55年体制の清算という政治的課題からはじまった経緯など、歴史的な位置づけからの検証も加えました。取材時には、郵政公社史のプロジェクトに参加させていただいたおかげで、豊富な資料にアクセスできただけでなく、当時の生田正治・日本郵政公社総裁をはじめ、郵政公社の方々のインタビューに参加する貴重な機会を得られました。多くの材料から一貫した主張を作り上げる難しさはありましたが、当事者の視点から見た問題を忠実に描く方向を見出し、なんとか完成まで漕ぎ着けました。
 「石橋湛山新人賞」の受賞については、「まさか私が」という思いのほうが大きかったので、喜びと同時に驚きを感じています。授賞式では、名だたる選考委員の先生方や出席者の方から講評と激励のお言葉をいただき、受賞に伴う責任の大きさをあらためて実感しました。杉浦先生をはじめ、支えてくださった多くの方々の学恩やご期待に沿えるよう、研究にいっそう精進したいと思います。

杉浦 勢之 教授
総合文化政策学研究科
杉浦 勢之 教授
 石橋湛山氏は、時流に阿ることなく、信ずる理想を追求した反骨の人物でした。「地の塩、世の光」を体現し社会に貢献する人材の育成を目指す青山学院の学生が、湛山氏の名を冠する賞をいただいたことに大きな意義と喜びを感じています。
 今回伊藤さんが取り組んだ研究は、過去の事実を検証するというよりは、あくまで今日的な問題にどのように取り組むかを歴史的に考えるものでした。受け入れられやすい言葉で器用に理論を展開するのではなく、大きな問題に正面から取り組む誠実な姿勢が受賞に至った一番の要因であるとの評価を伺いました。伊藤さんの今後のますますの活躍を期待しています。
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