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青山学院大学法学部創設50周年 第3回記念講演会「声なき声に耳を傾ける~なぜ戦争を取材するのか」

 「法学部創設50周年記念連続講演会」の第3回は「声なき声に耳を傾ける:なぜ戦争を取材するのか」と題して、6月5日(金)13:10~14:40、青山キャンパス9号館921教室で開催されました。当日、会場は200名を超す学生、教職員で埋まり、熱気につつまれました。


ジャーナリスト、アジアプレス・インターナショナル代表、立教大学教授
野中 章弘(のなか・あきひろ)氏

 当日の講師である野中章弘氏は、1953年生まれの独立系ジャーナリスト。チベット、東ティモール、アフガニスタンなどアジア各地をビデオ・ジャーナリズムなどの手法で取材し、NHK、テレビ朝日、朝日ニュースターなどで200本を超えるニュースリポート、ドキュメンタリーを発表。1987年には独立系ジャーナリストのネットワークであるアジアプレス・インターナショナルを創設し、吉田敏浩氏、石丸次郎氏、古居みずえ氏、綿井健陽氏など第一線のジャーナリストを世に送り出すとともに、アジアの諸問題に関するわが国の世論に大きな影響を与えた人物です。またこの間、立教大学大学院教授(現職)、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所客員研究員(現職)、東京大学、東洋大学、日本大学などの非常勤講師としてジャーナリストを目指す若者の教育にたずさわってこられました。2004年には、放送人グランプリ特別賞受賞。
 当日の野中氏のお話は、アジア各地の戦争・紛争の映像や戦争を報じる新旧の新聞記事を題材として進められ、普段のテレビニュースなどでは目にすることのできない「爆撃を受ける側」「殺戮される側」の惨状をとらえる映像、そして、信頼できるはずの新聞報道の不明確さと誤導性に参加者は驚き、圧倒され、中には涙をうかべる学生の姿もみられました。


 野中氏のお話の核心は、「戦争、差別、貧困の事実を直視することの大切さ」「他人、特に対立する他者の声に根気強く耳を傾けることの大切さ」「日本に住む私たちが戦争の『傍観者』ではなく『加害者』であるとの事実を看過しないことの大切さ」の3点にまとめることができるでしょう。「イラク戦争の死者数は?」と聞かれて答えることができない私たち。その私たちの選んだ政府がイラク攻撃に関与している事実。私たちは、アメリカを批判する前に、その自分自身の姿をもういちど鏡で見つめなおすべきではないかという氏のメッセージ。講演会終了後も、熱心な参加者は野中氏を囲んで、カフェテリアで話し込み、法学部生を中心とする多くの青学生が、自分の生き方、他者とのかかわりについて考える機会となった講演会でした。
(大石泰彦・法学部教員)
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