メインコンテンツへ
誌上公開講座 No.48
青山スタンダード教養コア科目 自然理解関連科目 「科学・技術の視点(総合科目)」

福岡 伸一
理工学部化学・生命科学科
教授
福岡 伸一
 この講義の目的は、単なる知識の祖述ではなく、できるだけ考え方のスタンダードを示すことが目的です。大学生にとって、考え方のスタンダードとは何でしょうか。私たちはそれを健全な懐疑心であると位置づけます。この世界にはさなざまな言説が満ちあふれています。どれももっともに聞こえます。大学入学以前の学び方であれば、教えられたこと、本で読んだことを素直に受け入れていればよかったのですが、これから先はそれだけではすみません。さまざまな言説をよくよく吟味したうえで、自分のオピニオンを持ち、それを示さなければならないのです。オピニオンにはロジックが必要です。ここでは、健康、病気、環境、自然など生命現象をめぐる諸問題のありかを紹介したうえで、どこに論点があるのか考えていきます。



 たとえば食品添加物というものがあります。人間にとって便利な薬物は、微生物にとっては毒物であり、それは生命現象という一枚のコインの表と裏を見ているにすぎません。薬であるとともに毒であるものが、私たちの身の回りにはたくさん存在し、それを私たちはありがたく服用し、あるいは時に、さりげなく食品や飲料に紛れ込んでいたりします。しかもその所在は、裏側に張られた表示ラベルの片隅にしか表示されていません。これは果たして安全なのでしょうか。講義では、実際、ラベルを「採集」し、そこに記載されている物質を調べてきてもらうレポートを課しました。ただし、私の言いたいのは「買ってはいけない」ということではないのです。真実はいつも、とても小さな声でしか語られないということなのであり、それゆえそっと、耳をすませなければならないということなのです。そしてその声を聞き取るために必要なのは懐疑的な心のあり方です。



 講義は、3名の講師によりリレー形式で行われています。講師は、細胞生物学に詳しく、電子顕微鏡の権威でもある山科正平先生(元・北里大学医学部解剖学教室)、生化学がご専門の小嶋久子先生(元・北里大学医学部生化学教室)、そして私、福岡伸一です。講義の概要は次のとおりとなっています。
●講義概要
【福岡 伸一】

身近なトピックスを題材に、健康、病気、食、環境など、生命科学をめぐる諸問題のありかや考え方を講述する。
【山科 正平】
複雑な人体の成り立ちを、平易な図を活用しながら理解してもらう。
●授業計画
【福岡 伸一】

第1回目:狂牛病が問いかけたものについて考える
第2回目:食品添加物と食の安全について考える
第3回目:体重はなぜ増えるのか
第4回目:まとめと小テスト
【小嶋 久子】
第1回目:医療の今日的課題―インフォームド・コン
 セント、先天性異常、高齢者の在宅医療、医療問題の基礎は経済問題
第2回目:脳について―飲酒・喫煙・海馬の三題噺
第3回目:環境と酸化ストレス
第4回目:まとめと小テスト
【山科 正平】
第1回目:からだは細胞から出来ている
第2回目:病気とは何か
第3回目:なぜ病気は治るのだろうか?
第4回目:まとめの講義と到達度測定テスト

ページトップへ