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平成19年度「現代GP」採択事業「ICT活用教育のFD/SDプログラム」の最終成果報告

 青山学院大学ヒューマン・イノベーション研究センター(HiRC)では、平成19年度の文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(テーマ:教育効果向上のためのICT活用教育の推進)」に採択された「ICT活用教育のFD/SDプログラム~人材育成の一翼を担うICT活用教育の質向上を実現する研修プログラムの開発と普及~」に関して、取り組み実施期間終了の2010年3月まで、3年間積極的な取り組みを展開してきました。
 ICT(注1)を活用した、これまでにない新しいFD(注2)/SD(注3)へのアプローチとして注目された同プログラムの成果について、HiRC所長の玉木欽也教授(経営学部)と同センターの齋藤裕助教に3年間の取り組みの成果を聞きました。
玉木欽也
ヒューマン・イノベーション
研究センター
所長
経営学部 教授
玉木 欽也



齋藤 裕
ヒューマン・イノベーション
研究センター
助教
齋藤 裕
――今回の取り組みを振り返っていかがですか?
玉木 今回のプロジェクトは、ICTをFDに活用することで、大学の授業における教員の教授活動の支援、使用するコンテンツ自体の魅力向上、および学生の授業に対するモチベーション促進などを通じ、授業全体の改善を行うことが大きな目的でした。また同時に、教員だけでなく職員に対するSD活動にもICTを反映させることが、当時は日本になかった取り組みとして注目を集めた点です。ICTに関しては、教職員個々で知識や技能に差があるため、「共通」「専門」「実践」という3つのプログラムを用意し、それぞれのニーズに応じて選択したり、あるいはステップアップできたりする研修体制を整えました。3年間を通して最終段階の「実践プログラム」まで展開でき、また3つの各プログラムに対応した各種コンテンツも当初の目標である100余りのコンテンツを用意できたので、想定していた成果をあげられたと考えています。
齋藤 3つのプログラムに関してですが、共通プログラムでは、誰もがすぐにでも活用できる、また活用していただきたいコンテンツを用意しました。例えばPowerPointの有効な使い方であったり、教材を作る際の著作権の問題についてなど、ICTに関わる導入的な面を取り入れています。一方、専門プログラムは、「授業の設計・評価・改善」「学習支援方法」「教材コンテンツの制作」の3方向から選べる形を構築。教員個々の興味で、より実用的に活用いただけるコンテンツをラインアップしました。そして実践プログラムでは、参加者同士の研修や意見交換の場となるフォーラムおよびワークショップなどを開催。かなりの駆け足でしたが、3年間という限られた時間のなかにおいては、プロジェクトの目的を達成できたと思います。

――プログラムを推進するなかで見えてきたICTの課題点は?
玉木 一定の成果を残せたと考えてはいますが、あくまでも3年前に計画した申請事業内容に対応したコンテンツとシステムを構築できたに過ぎません。せっかくのプログラムですから、やはり活用してこそ価値が生まれます。そういう意味では「現代GP」としての取り組みは終了しますが、このあとも教職員のみなさんとも連携しながら、今回の成果を有効活用していく体制づくりを引き続き行っていくつもりです。
齋藤 とくにこの3年間は、ICT分野にとって激動の時期でした。例えば、社会情報学部で学生全員に配付された“iPhone”の普及。3年前の計画段階では、モバイルツールはプロジェクトの想定外でした。もし今から取り組みがスタートするのであれば、当然モバイルツールも含めたコンテンツ制作などが考えられたはずです。ICTは日進月歩。もしかすると我々が完成させた100件のコンテンツのうち、いくつかは既に「賞味期限切れ」になっているものもあるかもしれません。3年間やり遂げて「これで終わり」ではなく、玉木教授も話された通り、引き続きどれだけフォローしていけるのかが大切だと感じています。

――教育分野におけるICTの可能性について聞かせてください。
玉木 高校までの教員は、教育活動をするための資格を受けていますが、大学の教員は研究活動が中心であり、“学生に教えること”は習ったことがありません。近年、大学における「教育の質保証」が問われていますが、そのための基本知識と術を身につけていない教員も実は多いのではないでしょうか。もし、そういった悩みを抱いたときに、今回のICTを活用した教育コンテンツを思い出してもらえれば、何かしらのヒントが得られると思います。ICTを活用した授業の改善は、いわば教員にとって授業の進め方の大きな“改革”です。実際に活用していただくことはもちろんですが、教育にICTを使えるという新しい可能性や方向性に気付いてもらえるだけでも、プログラムを構築した価値があります。
齋藤 我々はICTの専門家ですが、残念ながらFDやSDを推進する専門家ではありません。そのためFDとSDについて、さらに深い知識を持った方々と連携できれば、もっと有効なシステムの構築が可能だと感じました。学内の協力体制は当然のことながら、例えば他の大学との連携によって、お互いの利点を生かすとともに弱点を補うことで、より実践的なFD/SD活動につながると思いました。また、そこには大いに我々のICTの知識と技術が生かせるはずです。こうして視野を広げることに気付けたのも、今回のプログラムの大きな成果ではないでしょうか。
玉木 本プログラムの推進に関しては、学内外を問わず、本当に多くの方々にご協力をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。また、先程も申しました通り、プログラムの実施期間は終わりますが、今回の成果をさらに生かすべく、さらに活動を展開していくつもりです。引き続き多大なるご協力のほど、よろしくお願いいたします。

(注1)
ICT(Information and Communications Technology)
情報通信技術
(注2)
FD (Faculty Development)
教員が授業内容・方法を改善・向上させるための組織的な取り組み
(注3)
SD(Staff Development)
職員などスタッフの能力開発
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