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大学のグローバル化が進むなかで青山学院大学が行うべきことそして、担うべき役割

 グローバル化の時代と言われる21世紀。国際社会に目を向けずして、大学の進化はありません。本学でも海外協定校の充実や、留学生を通じた交流の活性化など、グローバル化に向けた積極的な取り組みがスタート。昨年「青山学院大学グローバル化」を推進するためのプロジェクトチームも発足しました。
 同プロジェクトチームの委員長を務める伊藤定良学長、並びに副委員長の土山實男副学長に、グローバル化時代における本学の役割や取り組みについて、具体的な話を聞きました。




伊藤 定良
学長
伊藤 定良



土山 實男
副学長
土山 實男
国際社会への貢献は、青山学院の使命
伊藤 青山学院は、米国メソジスト監督教会が派遣した宣教師によって設立され、昨年、創立135周年の記念式典を挙行いたしました。メソジスト監督教会のまいた種が、長い年月を経て青山学院大学という実を結んだわけです。本学は、生まれながらにしてグローバルな視野のもと、国際社会に貢献する使命を背負っていると考えられます。キリスト教信仰にもとづき、「地の塩、世の光」をスクールモットーとしていることも、世界や国際社会への貢献を意識したものだと言えます。
土山 確かに、創立以来、近代的・普遍的な理念と価値を追求してきた本学院のプロテスタント精神がもっている真面目で、倹約的で、勤勉な姿勢が、明治以後の近代日本が求めた生き方と合っていたように思いますね。
伊藤 こうした時代の流れのなか、本学やアメリカで学んだ後、日本あるいは韓国・台湾などで経済界やキリスト教界のリーダーとなった人材が数多くおられます。また、創立当時から長い間、本学で教鞭を執られた先生方の多くはアメリカからの宣教師で、多くの授業が英語で行われました。本学が「英語の青山」と呼ばれている背景にはこうした伝統と歴史があるのです。
土山 この135年のあいだに本学院には、三つの波があったように思います。まずいろいろな苦難を乗り越えなければならなかった明治から戦前にかけての「第一の波」。戦後は新制大学となって経済成長とともに発展した「第二の波」。そして現在、大学のグローバル化という「第三の波」が押し寄せています。本学は国際社会からグローバル化という挑戦を受けているのです。
伊藤 確かにそうですね。21世紀のグローバル社会のなか、本学は今一度、教育方針の原点に立ち戻るべきなのかもしれません。本学の原点そのものが、広く世界を見据えた理念になっているわけですから。それらを踏まえると、各国・地域に対して、本学の存在をもっと広くアピールし、強めていくことが必要となってくるでしょう。
土山 本学には英語、国際、キリスト教、そして青山というブランド力があります。しかし、それはあくまでも国内でのブランド力です。いま本学に必要なものは、国際社会でも通用するブランド、いわば「グローバル・ブランド」です。
伊藤 数年前、本学に通う中国からの留学生と話をする機会がありました。英米文学科に所属している彼女が、留学先に本学を選んだ理由は「“英語の青山”と聞いたから」と言うのです。将来は日中の貿易に携わる仕事に就くことが目標とのことですが、本学で英語を学ぶことで中国語、日本語、英語の3カ国語を身につけたいという強い意志を持っていました。そんな志の高い海外の学生に選ばれる魅力が、本学にあると思うとうれしく感じます。そして、さらにもっと広い世界中の学生から選ばれる大学になるために、もう一段階成長する必要があると痛切に感じました。

海外交流のネットワークを拡大するために
伊藤 本学のようにメソジスト系の大学は世界中に数多くあり、こうした大学との重点的な交流も必要だと考えています。2月初旬に、本学と縁の深いアメリカのデポー大学の、ケーシー学長が本学を訪問されました。同大は本学の協定校ですが、今後さらなる提携の充実を確認し合いました。また、韓国の梨花女子大学は本学院初代院長のマクレイ先生らの支援によって開学された大学ですが、2008年に李学長が本学に見えたときに、お互いの交流を強化しようとの話し合いが行われています。
 あくまでも個人的な構想ですが、例えば、これら3校を結ぶ協定によって国際交流ができないものかと。それぞれ共通した教育理念を持つメソジスト系の大学として、より深い連携が実現し、単なる宗教的なつながりを超えた、新しい大学の在り方が見えてくるのではないかと思うのです。本学、デポー大学、梨花女子大学の3大学間連携のなかで、日本、アメリカ、韓国といった3つの国の文化交流が発生するわけですから。
土山 本学のグローバル化に向けて、そういう新しい努力が必要ですね。近年、日本の企業は「ガラパゴス化」していると言われます。つまり、日本の企業は日本でしか売れないモノを作っていると批判されているのです。しかし、これは必ずしも企業だけの問題ではありません。大学も同じで、日本という「マーケット」でしか通用しない大学になっているところがあるのではないでしょうか。今こそ視野を世界に拡げて、「ガラパゴス化」から脱却し、世界に通用する大学教育プログラムを作らなければなりません。
伊藤 本学がさらなるグローバル化をするためには、海外の大学との連携とともに、留学生数の増大が不可欠になってきますね。
土山 その通りです。現在、日本には約13万人の留学生が学んでいます。世界にいま約300万人の留学生がいる時に、日本の大きさや世界でのポジションを考えると、この13万人という留学生数は少なすぎますし、本学を含めてほとんどの大学がせいぜい数百人の留学生しかいないという現実は日本の深刻な問題です。
伊藤 留学生の受け入れについては、本学でも今後、さらに積極的に取り組んでいくつもりです。まずは現在70校あまりの海外協定校を100校レベルに増やしたいと考えています。協定校が増えれば、留学生の受け入れだけではなく、本学から海外に留学する学生も増えるはずです。
土山 協定校の拡大に関しては、伊藤学長にもいろいろお願いをしています。
伊藤 昨年の6月、オックスフォード大学の創立記念祭があり、本学のチェン・ポール先生の力添えで日本からは東京大学総長と私が招かれました。その際にリンカーン・カレッジのラングフォード学長とお会いし、大学間協力の話をしまして、本学院の135周年記念式典にご招待すると、快くご承諾くださったのです。そこでは教員や学生の交流に加え、お互いの聖歌隊が交流するプランなども話されました。共にジョン・ウェスレーに関係の深い大学として新たな国際交流のかたちが生まれることを期待したい。国際交流と言っても、基本は人と人とのつながりです。そこから大学同士の交流に発展することもあり、私もできる限り努力したいと考えています。
土山 今後はアメリカやイギリスだけに偏らない、より幅広い国々との連携も必要になりますね。
伊藤 その通りです。アジアとの交流は、この10年ほどのあいだに進んできましたが、まだまだ不十分ですし、それ以外の地域との交流はこれからの感があります。
土山 本学のとくに大きな課題は、英語圏以外の地域ですね。例えば、旧東ヨーロッパとの交流がこれまでほとんどありませんでしたが、つい最近、名門ブダペスト大学やワルシャワ工科大学との協定ができましたし、2月10日にはブラジルのサンパウロメソジスト大学と、南米では初めて、一般協定を結びました。またドイツとのあいだでは、2月24日に前みち子デュッセルドルフ大学元副学長が来校されて本学との協定が結ばれ、3月18日にはケルン大学学長が来校されて協定が結ばれました。ミュンスター大学とも協定ができましたし、デュッセルドルフ大学には本学のリエゾンオフィスを開くことをお願いしていますので、近い将来デュッセルドルフは本学のドイツの拠点になると思います。
伊藤 協定校をより広い地域に広げることで、学生の選択肢も増え、世界に視野を広げる人が増えることが期待できます。今もさまざまなバリエーションを揃えている留学プログラムですが、今後さらなる整備が必要と考えています。

青学グローバル化プロジェクト始動
伊藤 グローバル化への対応は、今の執行部ができた時から、いろいろと構想を練ってきましたが、昨年、法人と大学が一体となって青山学院大学グローバル化を目指したプロジェクトチームを立ち上げました。この取り組みは、私が委員長、土山先生が副委員長を務めます。
土山 このプロジェクトチームでは、海外協定校拡充や本学の学生派遣支援、さらには海外広報・海外拠点開設など、本学のさらなるグローバル化に向けて、7つのワーキング・グループが動いています。また、日本政府の「グローバル30」に代わる新規事業計画が間もなく発表されるので、この新規事業に本学も積極的に取り組む準備をしています。
伊藤 一方で、グローバル化推進の一環として、昨年の10月1日に台湾の台北市にある淡江大学台北キャンパス内に「台湾サテライトオフィス」、韓国ソウル市の慶南大学ソウルキャンパス内に「韓国リエゾンオフィス」を設置しました。2010年度は具体的にこれらを活用する予定です。
土山 上海師範大学にも間もなくリエゾンオフィスが開設されますし、先程の梨花女子大学、タイのタマサート大学にも開設の運びで、モンゴルにも事務所の設置を計画しています。これらが本格的に動き出すとグローバル化の大きな力になるでしょう。世界をつなぐという意味で、本学を国際交流の拠点にしていきたい。他大学にはない、本学ならではのグローバル化をプロジェクトを通じて明確にしていければと思っています。結局のところ、それは本学が誰に何をどう教えるかということでもあります。
伊藤 車のエンジンでハイブリッド化が流行していますが、教育研究にも“ハイブリッド”が必要ではないでしょうか。つまり、国境を越えたさまざまな歴史や文化の交流を進めるなかで、真の国際的センスをそなえた人間を育成できると思うのです。最近の研究では、共同研究や対話を通してレベルアップを果たしたり、大きな成果をあげたりすることが一般的になってきています。21世紀が「文化の時代」「文化交流の時代」であるとすれば、そのなかにあって、本学が国際社会に貢献していけるのであれば、本当に誇らしいことです。青学の伝統と歴史のなかには、それが可能なだけの大きな“財産”があります。これからも国際化・グローバル化の推進を本学の大きな柱とし、これまで以上に社会に貢献していく所存です。
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