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国際政治経済学研究科・ユニセフ共催シンポジウム「アフガニスタンにおける子ども支援」を開催

2010年7月15日(木)、青山キャンパスにて国際政治経済学研究科グローバル・エキスパート・プログラム(GLEP)とユニセフとの共催で、公開シンポジウム「アフガニスタンにおける子ども支援」を開催しました。開催目的は、本学学生を含めた一般参加者に、アフガニスタンにおける子ども支援に対し関心を持ってもらう。さらには、日本政府及び民間が、アフガニスタンへの支援を継続することへの意義を理解してもらう。また、アフガニスタンで支援を行う関係者が、より良い支援のあり方について議論する、というものでした。当日は学生をはじめ学外者等を含め約250名の参加者がありました。以下当日の議論等についてご報告いたします。

 


まずユニセフ親善大使である黒柳徹子氏が、「私がアフガニスタンで出会った子どもたち」という題で基調講演をされました。

黒柳氏は、1984年にユニセフ親善大使に任命されて以来、精力的に途上国や紛争国に出かけ、子どもたちへの支援活動を続けられています。当日も、アフガニスタンを訪問した経験から、9.11以降のアフガニスタンの社会と子どもたちの現状と、現在抱える問題点を指摘され、今後の国際社会からの支援活動について、アフガニスタン固有の必要性について説明されました。


この後、桑名恵氏(国際政治経済学研究科講師)による司会で、「NGOの子ども支援活動とその連携」と題して、ピーター・クローリ氏(国連児童基金アフガニスタン事務所代表)、成田俊介氏(JENプログラムオフィサー)、谷山由子氏(日本国際ボランティアセンター アフガニスタン事業コーディネーター)、高橋裕子氏(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン プログラムオフィサー)の4氏による議論が交わされました。主に、各団体によるアフガニスタン支援活動の実績と今後の活動のあり方について意見交換がされました。以下当日の議論についてまとめてみます。

タリバン政権下にあったアフガニスタンは、夏50℃、冬-25℃になるほどの苛酷な自然環境にあり、貧困に直面していて、農村部と都市部の経済的ギャップが大きい国です。このような環境で、特に目につくのが、病院・診療所の整備等がなされておらず、衛生環境が極めて劣悪なことです。貧困からくる保健衛生面の悪さから、人々には、肺炎・下痢等の病気が蔓延し、5歳未満児の死亡率は4人に1人です。また栄養不良で背が伸びない等の報告もなされています。今後は医療施設そのものの整備と施設へのアクセスの悪さをいかに改善するかが課題です。また、健康管理に対する啓もう教育と栄養管理政策の必要性が指摘されます。

次に教育環境については、衛生環境を上回りその未整備が大きな問題となっています。アフガニスタンは、タリバン政権が支配していた間、女性に対する価値観が大きく変えられました。中でも、女性教育の禁止と女性労働の禁止が謳われ、女性の社会進出をはじめ女性の社会性が損なわれました。この結果、女子未就学率は60%に及び、女性教員の数も著しく少ないのが現状です。子どもの成長を左右するのは母親であり、その女性の教育、例えば、出産や育児に関する母親教室等の開設が急務です。他方女子教育の遅れも顕著です。これらの主な要因は、学校の未整備、女性教員の不足、43%にのぼる18歳以下の早婚、治安の悪さに加え学校が遠くにあるので通学が困難である等が挙げられます。現在では、教室数が不足し、多くの子供達は青空教室や地面での教育を受け、雨天の時は学校の廊下を教室変わりにします。以前からアフガニスタンは天才の宝庫といわれ、教育に熱心で彼等はタリバンの眼をぬって定期的に教育をしていたそうです。したがって、アフガニスタの人々は教育の必要性を認識しています。だからこそ、早急に学校建設が必要であり、女性教育を担う女性教員の養成が重要です。

最後に黒柳氏は、このように話されました。再びタリバンが活発化している中で、改めて、勉強が大切だ、教育が大切だと実感した。かつて、アフガニスタンの子供たちの将来の夢は教師・学者・裁判官・パイロットであったが、タリバンの締め付けが強かった時は、希望をかなえられなかった。しかし、そんな中でも自殺した子供は一人もいない。むしろ豊かな日本で自殺者がいるのが残念です。

最後に、黒柳氏がなにげなく語ったお話を紹介して、本稿を終わります。30万人の子供が死ぬとニュースになるが、毛布で1人でも子どもが死ななかったことはニュースにはならないが、大変な貢献です。今後は子供保護をめぐって、政府とNGOとUNが連携をとり、活発に活動をしていきましょう。

                            (国際政治経済学研究科長 仙波憲一 記)

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