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国際社会への大きな貢献につながる大学院の新しい取り組み2件を紹介します グローバル・エキスパート・プログラム

 今年度から取り組みが始まった国際政治経済学研究科の「グローバル・エキスパート・プログラム」と、来年度からの本格スタートに向けて準備が進められている経営学研究科の「戦略経営・知的財産権プログラム」。どちらも現代の国際社会が抱える問題点にアプローチする斬新的な取り組みです。 今回はそれぞれの研究科長とプログラムを担当する教員、学生による座談会を通じて、取り組みの内容を紹介します。
グローバル・エキスパート・プログラム(GLEP)
国際政治経済学研究科

~国際社会の平和と安全に貢献する “グローバル・リーダー”を育てます~
仙波 憲一
国際政治経済学研究科長
仙波 憲一



塚本 俊也
国際政治経済学研究科
プロジェクト教授
塚本 俊也



志垣 宣枝さん
国際政治経済学研究科
修士課程1年(GLEP)
志垣 宣枝さん



新井 沙羅さん
国際政治経済学部3年
(GLEP Youth)
新井 沙羅さん



田原 翔太郎 君
国際政治経済学部1年
(GLEP Youth)
田原 翔太郎 君
海外志向の人材を育成する
GLEP & GLEP Youth


仙波 現代は、国際紛争、貧困、環境保全、金融不安など、他国が抱える問題が国境を越え、さらに複雑化、深刻化を増して世界中に影響を与える時代です。高度な専門性を持ち、地球規模の諸問題解決と持続的発展の推進役を担う政策の専門家が「グローバル・エキスパート」であり、本研究科が2010年度よりスタートさせた「グローバル・エキスパート・プログラム(GLEP)」では、真に国際社会に貢献するグローバル・エキスパートを育成します。
 国際社会の平和と安全に貢献し、世界のグローバル・リーダーになるには専門的能力だけではなく、本学の教育理念「地の塩、世の光」に通じる、社会的責任感と高い倫理性を兼ね備えることが必要です。つまりGLEPは、本学ならではの取り組みであると自負しています。
塚本 GLEPの定員は10名程度ですが、初年度から意識の高い院生たちが参加してくれました。その代表として、今日は志垣さんが来てくれています。
志垣 私はずっと国際コミュニケーションを専攻してきて、現在は日本と韓国との民族や文化的な関係性に関心があります。GLEPの存在を知って、何か国際協力できる環境が得られるのではないかと思い参加しました。
仙波 本プログラムでは「理論科目群」「実務家担当科目群」「研修科目群」と3本の柱からなる実践的カリキュラムを用意しています。1年次に高度な理論的分析能力と実践的感覚を身につけたうえで、2年次には提携する韓国、インドネシア、タイの大学院でのインターンシップや演習を体験するのが特色です。志垣さんも研究テーマである韓国の大学院で学ぶことを視野に入れているのですか。
志垣 はい、そのつもりです。現地を体験することでしか理解できないことがあると思いますので。
塚本 GLEPは大学院向けのプログラムですが、実は取り組みスタート後に、その内容を知った学部生から「ぜひ自分も学びたい」といった問い合わせが相次ぎました。この反応の良さは放っておけないと、学部生を対象にした「GLEP Youth」という団体を結成しました。いわば“GLEP予備軍”です。本日は代表として新井さん、田原君に来てもらいました。
新井 私はもともと「国際協力」に関心がありました。ただ大学の授業で理論的なことは学べますが、いざ自分で“行動に移す”には何をすればいいのか、が見えてこなかったのです。GLEP Youthの話を聞いて、「自分にも何かできることがあるかも」と考えて参加しました。
田原 僕も以前から海外志向が強く、高校時代にフランスに1年間留学した経験があります。将来は国連やNGOなど、海外を舞台に働きたいと考えていますが、GLEP Youthは、まさにそんな目標を持った学生のための団体だと思いました。


開発途上国に貢献するには、
まずその現場を知ることが必要


仙波 本プログラムがスタートして半年程ですが、既に海外での活動にも着手しています。志垣さんはタイ、新井さんと田原君はネパールに行かれましたが、現地の様子はいかがでしたか。
志垣 タイの難民キャンプに行ってきました。そこにはミャンマーから移民してきた人々が生活しています。決して広いとはいえない制限された地域に、約2万人の人々が暮らしているのです。難民キャンプの様子は映像や写真などで見たことはありましたが、現地の厳しい暮らしぶりは想像を超えていました。やはり現場に足を運び、地元の人たちと実際に話してみることは大切だと再認識しました。
新井 GLEP Youthでは初年度の活動として、ネパールを対象とした「Peace Clean Upプロジェクト」を推進し、開発途上国の方々のために何か貢献できることを探求していく予定です。その一環として、私と田原君ともう一人の同級生との3名が夏休みを利用してネパールに行ってきました。いわゆる開発途上国と呼ばれる国に行くのは初めてでしたが、その日本との生活環境の違いに驚かされました。現地に貢献する内容を確認しに行ったはずなのに、「本当に私たちにできることがあるのかな?」と悩む結果となり、プロジェクトについても不安と期待が半々というのが正直な感想です。
田原 僕も初めて貧困に悩む国の現状を目の当たりにして、いま世界が抱えている問題の一端を感じました。まだ大学に入学して半年ですが、自分がまさかこんなに早く、国際協力のプロジェクトに参加できるとは考えていなかったので、少しびっくりしています。ただ自分からアクションを起こせば、やりたいことにチャレンジできる環境が得られるのが大学だと実感しているところです。
塚本 本学には海外研修の機会は豊富に用意されていますが、その多くは短期的なものです。GLEP Youthのネパールを対象にしたプロジェクトも、単に現地を訪れて終わりではなく、それらを長期的な取り組みとして実際の国際貢献につなげなくては意味がありません。今後も現地との交流を続け、年内には明確な成果を導き出したいと考えています。
 またGLEPの方も志垣さんがタイに行ってきましたが、実は日本政府が今年からタイの難民キャンプに暮らすミャンマー人を30名ずつ3年間受け入れる支援体制を実施しており、その一環として開催されるシンポジウムなどのイベントの現場にGLEPの院生を派遣する予定です。現地だけでなく国内にいても貴重な経験を積める場は豊富にあります。


ネパールの山間部の村で子どもたちと交流


国際協力へとつながっていく
さまざまな“入口”を用意


仙波 GLEPでは、将来、外交官や国際公務員、国際NGOなど地球規模の諸問題に関わりたいと考える人材の育成を目的としています。みなさんの現段階での目標をぜひ聞かせてください。
志垣 難民キャンプの方々に日本やアメリカなどの先進国に定住する際の不安点をお聞きすると、多くの人が「語学」と「生活環境」であると話していました。彼らには先進国の情報はほとんど入りませんから、そういった情報を提供するコミュニティ支援的な役割を担うことができれば、貧困に苦しむ方々に少しでも視野を広げてもらえて、希望も与えられるのではないかと考えています。
田原 将来は国連やNGOで働きたいので、とくに大学1、2年生の間は、いろいろな知識を吸収したいと思います。もちろん機会があれば海外にもどんどん行くつもりですし、世界が抱える問題を肌で感じたいです。
新井 私はちょうど就職活動を控えた時期です。夏休み前までは大学院に進むか、民間企業に就職するかで悩んでいましたが、いまは民間企業を目指す気持ちが強くなりました。ネパールのインフラ整備が遅れている現状を見て、これらの問題を解決することも立派な国際貢献だと気付いたので、インフラ整備に関わる企業が第一志望です。そして、民間企業で何年か経験を積んだうえで、あらためて大学院に入れば、より幅広い視野を持って研究に取り組めると考えています。
塚本 そういったアクティブな考え方の人に、ぜひGLEPに来てもらいたいです。自分の視野を海外にも広げ、さらに行動的な人であれば、GLEPの学びを存分に堪能してもらえるでしょう。
仙波 そうですね。私も学部生、社会人を問わず、視野の広い人、言い換えれば何か問題意識を持っている人に集まってもらいたいですね。GLEPでの学びを通じて見えてくる「国際理解」「平和貢献」といったものは、研究を進めていくうえでの産物、いわばアウトプットです。そのアウトプットのための生産プロセスこそ大切だと思います。それには常に自らのヴィジョンとなる強い意識が必要なのです。
田原 自分で「国際貢献に関わりたい」と問題意識を持ったとしても、それをすぐに行動に移せる環境には普通ではなかなか出会えません。GLEPやGLEP Youthは、学生にとって“世界への窓口”。いろいろな仲間と一緒に世界に目を向けられる貴重な機会です。
新井 確かにGLEP Youthにも当事者意識というのか、何事にも積極的で責任感の強い人が集まっています。まずは、ネパールの人たちにとって最適な支援を見つけ出し、「Peace Clean Upプロジェクト」を成功させたいですね。
志垣 先日のタイで新しいNGOを立ち上げた女性と話をする機会がありました。彼女が「これまで失敗ばかり。でも失敗しても、また新しいアイデアを考えて再スタートすればいい」と話していたのを聞いて、「これまでの失敗にくよくよせず、これから頑張ればいい」と前向きに考えられるようになりました。
塚本 その通りだと思います。いろいろな経験をして、何度も失敗すればいいんです。失敗から学べることが本当にたくさんありますから。GLEPの取り組みもまだ始まったばかり。今後はネパールを拠点とした事業を始める計画もありますし、提携する大学院のネットワークもさらに広げたいと考えています。スムーズにいかないこともあるかもしれませんが、何事にもアクティブに取り組み、多くの学生や院生たちの国際協力への関心に対し、さまざまな入口を用意できるプログラムを構築したいです。
仙波 これからますます活動が本格化していきます。みんなでより充実したプログラムにできるよう頑張っていきましょう。本日はありがとうございました。

GLEPの最新情報はこちら http://glep.sipeb.aoyama.ac.jp/square/
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