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新春座談会 青山学院が育てる新時代の“地の塩、世の光”

 青山学院をいっそう活力に満ちた学びの場とするために、キリスト教精神を支柱として、社会との連携強化とグローバル化を推進しています。2012年から、青山、相模原両キャンパスにおいて大学4年間一貫教育が始まります。今年はその準備総仕上げの年です。青山学院が目指す未来について、土山實男副学長の司会のもと 半田正夫理事長、山北宣久院長、伊藤定良学長に語ってもらいました。

左から 伊藤 定良 学長、山北 宣久 院長、半田 正夫 理事長、土山 實男 副学長(司会)
期待が大きい 青山キャンパスの4年間一貫教育
司会 新春を迎えて、理事長、院長、学長に、青山学院の未来について、語っていただきます。
 箱根駅伝では、ゴール直前に本学を含む4大学がシード権獲得をめぐって激しい レース展開をみせ、本学は見事に2年連続でシード権を得ました。素晴らしい頑張りをみせてくれた選手諸君の健闘をたたえたいと思います。
 さて、伊藤学長にとっては、今年が任期の最終年度であり、いわば総仕上げの年になります。まず、学長の今年の抱負からお聞かせください。
学長 いよいよ来年から4年間一貫教育が始まります。ハード面では青山キャンパスの新校舎※1建設が着々と進行中ですし、ソフト面でも学生の教育環境の整備に全力を尽くしたいと思います。
 青山でも相模原でも、4年間一貫教育が実現することにより、授業の多様化、合理化、そしてフレキシビリティが高まります。たとえば同じキャンパスでの4年間一貫になることで、2年生で4年生の科目がとれ るなど、フレキシブルな履修が可能となります。
 逆に、専門科目を学ぶ途中で他分野に興味を持った3、4年生が、同じキャンパスで改めて教養科目の青山スタンダードの科目をとることもできます。
 また、大学院教育がこれまで以上に重要性を増しています。この点でも4年間一貫教育ならば、大学院教育との連携がスムーズになります。青山学院では優秀な学生に早期研究の機会を与えるために、一部の研究科で、学部3年次を修了して進学できる「学内飛び級制度」を導入したり、また、学部4年次の大学院進学予定者に大学院科目の履修を認める「大学院科目特別履修制度」を用意しています。
 さらに1年から4年、大学院生まで、学年を超えて交流ができるのも大きな利点です。研究室に1、2年生が出入りして質問をし、大学院生がアドバイスできるようにすることは、学びの場として極めて大事です。学年や年齢を超えた交流経験は、社会に出たときの人間関係づくりにも役立ちます。
 もちろんこの新しい体制は、青山学院のスクール・モットーである“地の塩、世の光”にのっとって、21世紀にふさわしい人間を育て、社会に送り出すためのものです。そのための手助けをすることが、私たちの最大の使命です。
司会 青山キャンパスで4年間一貫教育が実現するのは実に30年ぶり。それだけに期待も大きいと思います。一方で、大学のグローバル化も着実に進み、2011年度の留学生入学手続者数は前年度の約2倍となりました。昨年12月にはタイのタマサート大学に本学のリエゾン・オフィスができ、これで台北、ソウル、上海、ウランバートルに続く5つめのリエゾン・オフィスとなります。伊藤学長の今後のアジアに向けての方針をお聞かせください。
学長 青山学院は、1874年にアメリカのメソジスト監督教会の宣教師たちによって設立された経緯もあり、もともと国際性にみちた学校です。戦前からアジアの留学生を広く受け入れ、台湾や韓国の経済界や宗教界に大きな業績を残した錚々(そうそう)たる人物を、本学は送り出しています。その伝統を思えば、今後いっそうアジアとの結びつきを強めることの大切さを感じます。
 一昨年、ベトナムと台湾に参りまして、当地の大学関係者らと話をした際、青山学院への期待の大きさを実感しました。近代化の最中であるベトナムでは、新しい国づくりの中心となる人材を育てる場として、本学に期待を寄せています。本学でさまざまなことを学ぶとともに日本語を修得して、日越で、さらにはアジア各国で活躍できる人材を育ててもらいたいと熱く語ってくれました。他の国々からも、本学で学ばせたい、学びたいという声が多く聞こえてきます。
司会 確かに韓国や台湾に行くと、青山学院で学ばれた方々が各界をリードされています。キリスト教にもとづく教育の強い絆を感じます。この点、山北院長はどのようにお考えになりますか。
院長 青山学院で学んだ先人たちが、アジア各地でリーダーシップを発揮しておられます。韓国は現在、国民の約27%がクリスチャンですが、その最初の頃のお一人は、青山学院と縁の深い津田仙※2先生に教えを受けた人で、私が見た写真には、津田仙や内村鑑三、新島襄などと一緒に韓国の民族衣装で写っていました。このように歴史的に見ても、キリスト教を通じて、アジア各国のリーダーたちと青山学院の関係は 深く、皆さん本学に敬意を払ってくださいます。

理事長 半田 正夫 院長 山北 宣久

社会に貢献する 「開かれた学院」を目指して

司会 山北先生は、院長に就任されて半年余りです。これからの学院について、院長の抱負と期待をお聞かせください。
院長 幼稚園から大学院まで、広い視野で学院全体を見るように努めています。この半年を振り返れば、うれしいこともあり、 また苦しいこともありました。しかし今年は2011年ですから、ぜひイイ年にしたいものです。青山学院には美しさやエレガントなイメージがありますが、そのベースにはいい意味でのしたたかな強さがあることを、近頃強く感じます。それは伝統を大切にし、先人の残してくれたものを継承していこうというスピリットが根付いているからでしょう。
 青山学院が他の大学と違うところは、“地の塩、世の光”にあらわされるように、目に見える世の光だけでなく、目には見えない地の塩の世界を知っていることです。10mの高さの木は、10mの根を張っているといいます。人はどうしても目に見える幹だけを見て判断しがちですが、実は目に見えない根が地下にがっちり伸びているのが青山学院であり、それこそがキリスト教信仰にもとづいて“世の光”とともに、“地の塩”のスピリットを持つ強さであり、美しさだと感じています。
 2012年には新しい校舎が建ち、4年間一貫教育が始まり、ある種の“世の光”の眩しさに目を奪われがちになりますが、そのようなときにこそ、見えないものに目を注ぐ“地の塩”の心を忘れずにいることが、青山学院をバランスの良い、真に豊かな発展に導くのであると思います。
司会 確かに“地の塩、世の光”をベースにした教育は、青山学院の強さだと思います。
 半田理事長は、就任してまだ3カ月余りですが、学長を務められたこともあり、40年以上にわたり青山学院に関わってこられました。半田先生は、歴史的建造物である間島記念館※3の周辺を聖域とすると宣言されておられます。理事長は青山学院のこれから進むべき道をどうお考えですか。
理事長 青山学院に奉職して長いのですが、それ以前にもいくつかの大学で教え、本学に来てからも講師として法学部のある多くの大学に関わり、合わせて22校もの大学の教壇に立ちました。その上で断言できるのが、青山学院の学生は勉学のみならず性格も良く、全人格的に格段に優れています。これはやはりキリスト教にもとづく建学の精神によるのだと思います。たとえクリスチャンでなくても、知らず知らずのうちに、“地の塩、世の光”の精神が身についていくのだと考えます。
 学生の質が良いだけでなく、学閥のない本学では、全国から非常に優れた先生方が集まっていて、教員の質も極めて優れています。さらに青山という地の利も、本学に大いに優位性をもたらしています。
 ご紹介いただいたように、私は間島記念館周辺を聖域にしたいと思っています。その理由は、正門を入ると銀杏並木越しに間島記念館が見える風景が、卒業生全ての心に刻まれたかけがえのない心象風景だからです。私自身、東京オリンピックの前に初めて本学の門をくぐったとき、青山通りの都電を撤去する道路工事の喧騒をよそに、凛とした荘厳な本学のたたずまいにアカデミックな美を感じたものです。最先端設備の新校舎が建つように、時代とともにキャンパスも変わりますが、本学に関わる全ての人の心のよりどころとして、国の登録有形文化財でもある間島記念館とその周辺の風景だけは、未来にもずっと残し続けなければならないものです。
司会 理事長は就任時に「青山学院を開かれた学院にしたい」と言われました。開かれた学院についてお聞かせくださいませんか。
理事長 青山という日本有数の一等地にあることをもっと活かして、学院を開放し、学生だけでなく卒業生も、一般の方も気軽に入ることができる、アカデミックな雰囲気にあふれた場所にしたい。そのためには、優れた大学図書館や宗教センター、資料センターを整備しなければならないと思います。また、土山副学長が尽力して昨年11月に学内で開催した「青山ジャズ・イニシャ ティブ2010※4」などのイベントも、どんどんやるべきです。新校舎に設けられる本多記念国際会議場※5も、積極的に外部の方に利用していただけたら良いと思っています。
司会 開かれた学院に関連して言いますと、2009年よりスタートした青学オープンカレッジ※6では、積極的に近隣の文化施設との協力を推進しています。たとえばこの春には「劇団四季」の協力でミュージカルの講座を開きますし、美術関係では「根津美術館」、「山種美術館」、「サントリー美術館」などの協力を得ています。オープンカ レッジは一般の方対象の講座ですが、学生たちに向けても、地域との協力によるユニークな授業ができるのではないかと思います。そのためにも「開かれた学院」という考え方は、これからますます大事になるのではないでしょうか。
学長 オープンカレッジは、社会貢献の点からも学院の評価を高めています。土山副学長がよく言われるように、学生だけでなく全ての人たちにとっての学びの場、文化との出会いの場として学院をさらに機能させていきたいものです。
院長 時代の変化に対応して、本学では夜間部の学生の募集を終了しました。しかし、社会人が学ぶ夜間部が持っていた、仕事をしながら学ぶ人たちに応えるスピリットは失いたくないものです。その意味でもオープンカレッジをはじめとする、社会人や地域に向けての取り組みは、これからいっそう大切になると思います。

学長 伊藤 定良 司会・副学長 土山 實男

国際化の拠点になる相模原キャンパス
司会 冒頭で箱根駅伝の話をさせていただきましたが、その他のスポーツについても、お聞かせください。
学長 箱根駅伝については、前々回に33年ぶりの出場権を勝ち取り、昨年は41年ぶりのシード権を獲得、そして今年も9位入賞で2年連続シード権を得ました。来年はさらなる上位進出が期待されます。本当にうれしい限りです。その他にも、昨年には男子バスケットボール部の新人戦を加えた4冠達成、女子バドミントン部の9年ぶり4回目のインカレ優勝、さらに硬式野球部とサッカー部、ラクロス部の一部昇格とラグビー部のAグループ昇格など、うれしいニュースをたくさん聞くことができました。
 重ねてうれしかったのは、女子バドミン トン部の優勝メンバーと話したときに、勉強もすごく頑張っていることを知ったことです。彼女たちだけでなく、青学の場合は、スポーツと勉学を両立させている学生が多く、新聞でも報じられていましたがバスケットボール部のOBには、公認会計士に合格 した人もいましたし、馬術部の元主将も司法試験に合格しています。スポーツの隆盛が勉学の向上にもつながり、大学を活性化させるもとになっている。これは素晴らしいことです。今年はさらなる飛躍を期待して います。
司会 確かに、青学のスポーツは大学のスポーツらしさを失わず、爽やかに頑張っています。
 最後に、相模原キャンパスのいっそうの強化についても、学長にお話をお伺いしたいと思います。
学長 まだ詳細を公表できる段階ではありませんが新設学部のプランもあり、相模原キャンパスを、現在の理工学部と社会情報学部を核にしながら文理融合の拠点 キャンパスとして拡充し、研究成果を世界に向けて発信する先進的・国際的キャンパスにしたいという方針が固まっています。
 また、青山キャンパスが、幼稚園から大学院まで年代を超えた学びの場であるように、相模原キャンパスにおいても、時間はかかるかもしれませんがその方向での充実を目指しています。
 さらに、留学生の迎え入れ体制を整えて国際キャンパスにすることも、重要だと考えています。意欲にあふれたアジアやアフリカなどの若い人に学びの場を提供することは、本学の務めだと思います。また、異文化に育った留学生との交流は、日本人の学生にとっても大きな意義を持っています。
院長 近い将来、リニア新幹線の駅が相模原市内に設置されることになっています。そうなると交通の便や環境面で、面白い地域になることが期待できます。
理事長 リニア新幹線の駅ができると、新横浜駅が地域を活性化したのと同じことが、相模原でも再現されるのではないでしょうか。そして相模原キャンパスと青山キャンパスが、本格的に新しい時代を迎えたときには、私は青山学院が日本一の大学になることも夢ではないと思っています。そのための秘策となる構想を私はあたためています。今はまだ明らかにできませんが(笑)。
司会 その理事長の秘策に、大いに期待したいと思います。本年が青山学院にとって良い年となりますように。本日はどうもありがとうございました。

新校舎 ※1: 地上6階の低層棟と地上12階の高層棟からなるツインタワー構造の校舎。2012年1月竣工予定。
津田仙 ※2: 草創期の青山学院に深く関与したキリスト者(1837年~1908年)。現津田塾大学の創立者、津田梅子の父。
間島記念館 ※3: 1929年、校友の間島弟彦(1871年~1928年)夫妻の寄付により、図書館として建設。 古代ローマ神殿を思わせる本格的な古典主義建築で、隣接する「ベリーホール(1931年建築)」とともに、2008年3月に国登録有形文化財に登録。
青山ジャズ・イニシャティブ2010※4: 2010年11月に本学で開催したジャズコンサート。
本多記念国際会議場 ※5: 新校舎の低層棟6階に設けられる国際会議場。名称は青山学院第2代院長の本多庸一(1848年~1912年)に由来する。
青学オープンカレッジ ※6: 学外の方々に学びの機会を提供するために2009年より開講。青山・表参道という立地を活かし、近隣の美術館や芸術施設の協力を得たオリジナルのプログラムが特色。
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