ゼミナール紹介(英米文学科)

アフリカ系アメリカ文学/文化研究 西本あづさ
合衆国地域にアフリカ系の人々が最初に足を踏み下したとされるのは1619年、それ以来、奴隷制や人種差別と闘い生き延びる過程で、アフリカ的要素と北米での体験とを融合しつつ自分たちの表現スタイルを創造していきました。今日、アフリカ系の文化抜きにアメリカ文化を語ることはできません。
このゼミでは、年度毎にテーマを掲げ、幅広いテクスト─19世紀の奴隷体験記や20世紀前半のハーレム・ルネッサンス期のBlacknessやBlack Artをめぐる議論、1950年代~60年代に高まった公民権運動期のスピーチやエッセー、1970年代以降に声をあげた黒人女性たちの文学作品、21世紀のBLM時代の小説や回顧録など―を取り上げて、丹念に原文を読み解き、映像や音声資料に触れ、歴史的・社会的背景の調査を進めながら、アフリカ系アメリカ文学/文化について理解を深めます。
授業は学生のプレゼンとディスカッションを中心に進めますので、時にはよい意味で脱線したり、結論が出ない問題にぶつかって眉間に皺をよせ考え込むこともあります。そんなふうにアフリカ系アメリカ文学/文化に向き合うことを通して、一人一人が他者の声に耳を澄ませ、それに応答する感性を鍛え自己を拓いて、多様性を抱えた世界で共に生きることや、多様性を内包する自己を生きることについて、思考を深めてほしいと願っています。
写真:奴隷制時代の作者不詳のキルト。オハイオ州のNational Underground Railroad Freedom Centerで西本撮影。

英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾
皆さんは、これまで英語を学習していて「なぜ?」という疑問を感じたことがなかったでしょうか。たとえば、英単語には、doubtのb、nightのghのように綴られているのに発音されない文字があるのを不思議に思ったことはないでしょうか。また、英語の語彙をみると、ask, question, inquire, interrogateはいずれも「尋ねる、質問する」を意味しますが、英語ではこのように類義語が多く存在するのはなぜでしょうか。英文法に目を向けると、1人称代名詞や3人称代名詞では単数形と複数形が異なる形なのに、2人称では単数(つまり「あなた」)でも複数(つまり「あなた方」)でも同じyouとなるのを不思議に思ったことはなかったでしょうか。
本講義では、こうした英語に関する様々な疑問の中から、「なぜ英語には類義語が多いのか」という問題を取り上げ、歴史的な観点からその謎解きをしていきたいと思います。
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模擬授業 英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾
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模擬授業 英語史―英語史から解き明かす英語の「なぜ?」 寺澤 盾
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通訳・翻訳の世界 ‐訳すことの「難しさ」と「楽しさ」を一緒に! 田中 深雪
日本は明治時代から翻訳王国と呼ばれるほど、海外(特に英語圏)から数多くの書物を取り寄せ、積極的に翻訳してきました。その伝統は今も健在で、書物だけでなく映画、音楽やゲームの分野においても、毎年たくさんの作品が訳され、多くの人が享受しています。しかし、なかには誤訳ではないものの、少し疑問を感じるような訳や、改変され過ぎてオリジナルとかけ離れてしまったものさえも散見されます。なぜそのようなことが日常的に行われているのでしょうか?これで問題はないのかと疑問に思う人も少なくないと思います。そこで、このゼミではオリジナル作品と翻訳版の違いについて比較対照研究を行い、改変が行われた理由は何なのか、もし誤訳ではないとしたら、そこに異文化間の考え方や表現の違いが潜んでいるのではないのか、などあらゆる方向から議論を重ね、リサーチを行っています。通訳や翻訳、それに異文化間言語コミュニケーションに関心のある人は、一緒に学んでみませんか?


スピーチ・コミュニケーションとパフォーマンス研究 大川道代
皆さんは「パフォーマンス」という言葉から何を連想しますか?政治家のパフォーマンスという言葉がよく使われるため、本意でないことを大げさに主張する、と考える人もいるかもしれません。私の演習ではパフォーマンスを as a way of knowing として捉えます。何を追求する手段なのかは、プロジェクト研究を進めながら履修生自身が模索していきます。
日常生活におけるパフォーマンス(performance in everyday life)では、これまで研究対象として扱われることが少なかった普通の人々の日常生活に着目します。皆さんが今まで生きてきて、最も感動的だった瞬間を思い出して下さい。入試、恋愛、クラブ活動、家族の絆など人は皆、気づかないうちにパフォーマンスに携わっていることに気づくでしょう。
社会変革のためのパフォーマンス(performance for social change)では、社会的に弱い立場にいる、抑圧されている人々の視点から世界を見つめ直します。そして現代社会の問題点や矛盾点を指摘し、その解決策を学生自身の言葉(英語)で発表します。自己表現能力の開発に興味のある方々と一緒に、パフォーマンスについて研究できるのを楽しみにしています。

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コミュニケーション演習『大川ゼミ』発表会 ―unknown
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大川道代演習:Ghosn is Gone
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SEMINAR LIST 研究テーマと内容
英米文学科のゼミナールにおける研究テーマと内容を紹介いたします。
RESEARCH THEMES 学生の研究テーマ例
※過去3~4年の卒業論文・ゼミ論文・ゼミ研究内容からの抜粋です。本学科では、卒業論文は教員の個別指導のもと、英語で書きます。
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The Influence and Acceptance of Shakespeare in Modern Popular Music (ポップ・ミュージックにおけるシェイクスピアの影響と受容)
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On the Border Between Mental Illness and Health: History and Representations of Psychiatry in 20th Century America(心の病と健康の境界で―20世紀アメリカにおける精神医療の歴史と表象)
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English Locative Inversion in the Complement of Perception Verbs (知覚動詞の補部における英語の場所句倒置構文について)
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A Study of the Differences of Translation Between the Subtitle and the Dubbing in the Films TOY STORY Series (映像翻訳における字幕版と吹き替え版の違いに関する考察―映画TOY STORYシリーズを通して)
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An A nalysis of Students’ Motivations Based on Self-Determination Theory (自己決定理論からみた中学生の学習動機分析)