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琉球アイデンティティと琉歌 -沖縄の経験と記憶と「うむい」

青山学院女子短期大学<br>現代教養学科准教授<br>輪島 達郎 [Tatsuroh Wajima]

青山学院女子短期大学
現代教養学科准教授
輪島 達郎 [Tatsuroh Wajima]

琉球アイデンティティと琉歌 -沖縄の経験と記憶と「うむい」

第1回 2018/5/12(土)

 「琉歌」と呼ばれる沖縄の定型詩は、和歌と異なり、歌唱されることが前提の「歌謡」としての性格を持っています。琉歌は八八八六(サンパチロク)の形式を基本としますが、八音が延々と連なる形や、七五調が混ざるものもあります。沖縄では、古くから古典音楽(王府で作られた歌)や組踊(王府で作られた歌舞劇)、一般庶民にも民謡や琉球歌劇・沖縄芝居(明治以降に芝居小屋で興業された演劇)などにおいて親しまれ、琉歌の教室やサークルが多数あり、新聞の琉歌欄もあって、琉歌は沖縄県民に広く浸透しています。
 琉歌がそれほど親しまれ、また長い伝統を持っているということは、琉歌が沖縄の人々の生活経験に根差した感情を歌っているということであり、他方で、琉歌によって沖縄の人々の感情生活が形成されてきたということでもあります。では琉歌はどのような感情を歌ってきたのでしょうか。本講座では、王府時代から現代にいたる沖縄の歴史的経験を背景におきながら、沖縄の人々が琉歌を歌い継いできた「思い」を解き明かしてみたいと考えています。この「思い」という言葉、沖縄語で「うむい」と言いますが、これは文字通り「思い」という意味のほかに、「神歌」という意味があります。神歌は琉歌の原型です。琉歌は祈りであり、歌うことによって生死を超越し、誇りを取り戻すことでした。したがって本講座は、沖縄の人々が厳しく困難な歴史的経験を琉歌によってどのように引き受けてきたのか、という問いを中心に据えていくことになります。
 さて、琉歌は歌謡である以上、「歌い方」があります。王府の儀式での歌い方、宮廷音楽での歌い方、組踊のセリフでの歌い方(「唱え」といいます)、庶民の祈りにおける歌い方、民謡での歌い方、などなど。本講座では講師による実演を交え、受講者のみなさんにも実際に歌っていただきます。この講座が琉歌の「思い」だけでなく、その豊かな響きをも経験する機会になるよう願っています。

プロフィール

青山学院女子短期大学 現代教養学科准教授
輪島 達郎 [Tatsuroh Wajima]


青山学院女子短期大学 現代教養学科日本専攻准教授(政治学・沖縄学)。
徳原清文に師事。琉球古典音楽野村流音楽協会教師。第51回琉球古典音楽コンクール最高賞受賞。専門は琉球・沖縄の文化と社会。