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シリーズ11.今、思うこと(2)

前回は、藤原辰史『パンデミックを生きる指針-歴史研究のアプローチ』を読んでの感想文で、この文章の入り口でのお話でした。内容についてもう少しお伝えします。
藤原さんは、今まで起きた危機の中で、人々がどう動き、どんなことが起きたかを検証します。その中で、差別や風評被害について「政府も民衆も、しばしば感情によって理性が曇らされ」「疑心暗鬼が人びとの心の心底にある差別意識を目覚めさせる」と書いています。追い詰められた気持ちになることで、例えば、今回も「中国人はお断り」とか、「欧米でのアジア人差別」のようなことが起きているというニュースがありました。国内では、感染源となった学生の所属大学に脅迫があったということも聞きました。どこかに犯人を求めたくなったり、攻撃したりということでしょうが、世界レベルでも、国家レベルでも、地域、家族というレベルでも同じように、起きてくる問題です。“それはおかしくないか?”と言えるためには、「人間として最低限の品性を失わない」でいるためには、どうしていったら良いのでしょうか。
ここで紹介してくれているのが武漢の作家、方方さんの日記です。「一つの国が文明国家であるかどうか〔の〕基準は(中略)基準はただひとつしかない。それは弱者に接する態度である。」と綴られています。方方さんを調べてみました。封鎖された武漢の日常を、毎日午前0時に発信して、世界中にいる中国の人1億を超える人が読んでいたということです。当局の発表とは違う、より悲惨な悲しい状況もつづられ、当然削除されてしまいますが、傷ついた自分たちの声を発信し、記録することが必要と思ったとインタビューに答えています。今回、おそらく世界は、時代は変わってしまうでしょう。町の様相や、日常の生活が変わってしまうかもしれません。もとに戻るというよりは、新しく変わった日常を作っていくことになるかもしれません。方方さんは、封鎖解除で日記の発信を終え、これからは、普通の生活に戻ると話されていますが、この閉塞の日々の中、状況をしっかり見据えて、自分のできることをして人に力を与えられる人がいるということが、この世界が変わる中で、生き残って新しい世界を作っていこうとする人がいるはずと信じさせてくれます。
皆さんの状況や気持ちは、おそらく様々だろうと思います。不安な人もいれば、イライラしている人もいるだろうし、いろいろなことにチャレンジしている人もいるのではないかと思います。私は長い時間でボーっとしている中、友人の送ってくれた文章のおかげで、すっきりと目が覚めた思いをしました。前回もお伝えしたように、皆さんは学ぶことで、冷徹に思考し選別する力を持っています。その力は、この不自由さと不安定な時代のなかにあって、よき方向に導く力となります。
日々、情報が錯綜していきますが、後のち、この時代に遭遇したことも、良かったと思えるように過ごしていきたいと思います。
参考資料
:藤原辰史『パンデミックを生きる指針-歴史研究のアプローチ』
https://www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic
:武漢から新型コロナ禍を発信して読者1億超、当局の削除にも屈しない「方方日記」とは
https://diamond.jp/articles/-/230922