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新年度が始まりました。昨年度と比べると驚くほど刺激の多い時間を過ごしているでしょうか。そうした賑やかさとは一見同居しないような、しかしそこにこそ存在する「こころの孤立」について話をしたいと思います。

 大勢の人の中にいながら「自分は孤立している」と思ったことはありますか? 私はあります。毎日の生活の中で周囲の人々と言葉を交わし、行動を共にしている。けれども自分のこころは周囲の人々から離れたところにある、そんな感覚です。

そこでは何が起こっているのでしょうか。私が思うに、孤立感を抱く人には何かしらの深い思いや悩みがあり、それを何度も何度もこころの中でめぐらせている状況にあるのではないかと思うのです。

具体的な例を2つ挙げます。新入生Aさんの場合、周囲は新しい生活をとても楽しんでいて自分も共に談笑して過ごしている、けれども内心は皆に馴染めるかどうか不安でたまらない。それを表に出すことができず一人で抱えこんでいる。次に4年生Bさんの場合、研究発表時に失敗をして非常に恥ずかしい思いをしてしまった。周囲は気にするなと声をかけてくれるけれども失敗した自分の不甲斐なさを思うと気持ちが縮こまり、研究室に足が向かなくなってしまっている。
彼らはそれぞれの状況下で自分自身が焦点を当てている思いをこころの中で反芻し、身動きが取りにくくなっているようです。物事には多様な捉え方がありますが、そのことには意識が及びにくくなっていて、仲間との間にも精神的な隔たりが生まれ、孤立しているように感じられているのだと思います。

 悩むこと自体は自分について考える手掛かりとなる大切な力です。ただ、悩み過ぎると孤立を呼び寄せてしまいます。そうなるかもしれないことを覚えておいてください。そして孤立に気づいたときにはあなたのタイミングで、あなたが信頼できる人とまたつながってみてほしいと思います(本や映画からでも良いでしょう)。自分の悩みを聴いてもらうだけで心持ちが変わることがあります。他の考えに触れることで悩みすぎのループから自分を逸らすこともできます。そこからきっと、以前よりも伸び伸びと考えて行動できるようになっていくでしょう。