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[IC2021作成中]_統合研究機構:研究室の「今」

"NOW" IN THE LABORATORY:RESEARCH.08 研究室の今:世帯のエネルギー利用に関する考察と省エネ政策の評価

過去数十年に渡り深刻化してきた地球温暖化問題の緩和は世界各国で共通な問題となっています。温室効果ガス(GHG)を大幅に削減させるという長期目標に応えるべく、日本政府は、2008年に「低炭素社会づくり行動計画」を提案し、GHGの60~80%削減を目標に掲げました(環境省 2008)。
この目標を達成するため、日本政府は各部門において様々な施策を実施してきています。それらの施策の結果、CO2排出量について見ると、産業部門は2014年度から2017年度にかけて4年連続で減少していますが、同期間に家計部門については3年連続の減少傾向があったものの、2017年度には再び増加に転じています(環境省 2019)。
この事実を踏まえると、産業部門に比べて家計部門におけるエネルギー消費の削減は一層困難であることが分かります。

研究の概要

家計部門のエネルギー消費量を削減するため、これまで各種の政策が導入されてきました。しかしながら、異なる政策はそれぞれ特定の消費者に好まれることが明らかにされています(Coad, A. et al. 2009)。
以上の点を踏まえ、本研究では世帯属性と世帯の省エネ行動と省エネ政策の関係を詳しく調査することを目指しています。とりわけ補助金や課税という代表的な省エネ政策を取り上げて、計量分析と経済実験を行い、異なる政策が世帯の省エネ行動にどの様に影響するかに関して調査を行っています。

研究の目的・背景

世帯の省エネ行動については、これまで数多くの研究がなされてきましたが、それらの研究では主に世帯属性と世帯の省エネ行動との関係に焦点を置かれていました(図を参照)。
しかしながら、世帯の省エネ行動を促すためには、省エネ政策が異なる特徴を持つ世帯にどの様に影響を及ぼすかを知ることが重要だと思われます。省エネ政策が世帯の省エネ行動に与える影響の違いを考慮しない限り、有効な省エネ政策は望めず、家計部門のエネルギー消費量を削減するのは困難になると予想されるからです。
従って、本研究では、省エネ政策が世帯に与えた影響を調べ、どの様な省エネ政策がどの様な特徴をもつ世帯にどれ位影響するかを明らかにし、各種の省エネ政策の有効性を評価することを目指しています。その上で、家計部門のエネルギー消費量を更に削減できるためにどの様な施策が有効であるかを論じます。

研究のこれから

本研究は、日本の世帯を対象として人々が積極的に省エネ行動を取るためにどの様なインセンティブ政策が有効であるかについて詳しく調べていますが、中国においても省エネのあり方の探求が必要だと考えます。将来的には、日中間の国際比較分析を通して、国を超えた個人の省エネ行動にある共通点を探していくことを目標としています。これは、大きな学術貢献だと思えます。

執筆者

王 佳星(WANG JIAXING)経済学研究科

博士後期課程に進学し初年度に発表を行った論文が英文査読誌に掲載され、国内学会で3回、国際会議で2回、計5回の論文報告を行う。
これらの研究実績が大学に評価され、「2019年度青山学院大学学業成績優秀者 最優秀賞」を受賞。
当記事で紹介した研究は「2019年度青山学院大学アーリーイーグル研究支援制度」にも採択されている。

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