江戸時代の歌舞伎には、台帳などの幕内資料や、芝居番付などの劇場側が作成した出版物、その他、役者絵をはじめとした、歌舞伎周辺のさまざまな出版物が残されています。歌舞伎は舞台の上の芸能ですが、映像のない江戸時代については、当然ながら、これらの資料や出版物を通してのみ、当時の舞台の評判や役者の人気を伺い知ることができます。

本シンポジウムでは、歌舞伎周辺の、特に絵入りの出版物に注目します。これらは、歌舞伎の芝居や興行、役者についての情報を伝えるのみならず、それ自体が美しい印刷物でもあります。東西それぞれの芝居と相互交流、歌舞伎・文学との交流の様相を、絵を通して考えます。