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青山スタンダード教育機構
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青山スタンダード教育機構長 より
教養教育の価値を見つめ直し、本学独自の「青山スタンダード」を展開。
専門的な学びはもちろん重要ですが、その前提となる幅広い教養はいつの時代も欠かせません。専攻分野の如何にかかわらず、言葉や歴史、数学、自然科学など、多様な学びにふれ、総合的な知を養うべきだというのが普遍的な考え方です。そうして培った総合力こそが、学生一人ひとりの人格形成に影響を与え、専門性を高めるための基盤となるのです。
本学でも、各学部での専門教育に注力する一方、その学びをさらに豊かにするための広汎な知識の修得を重視してきました。そして、教養教育の意義を改めて確認し、青学生に相応しい知見を育む場として始まったのが青山スタンダードです。
キリスト教、人間、社会、自然、歴史に対する教養や、言語やスポーツ、情報、キャリアに関する技能など、学びの内容は多岐にわたります。さらに、さまざまな教養・技能のうち一定水準の能力を修得するコア科目と、その応用分野を学ぶテーマ別科目を設置。4年間を通じて、年次に対応した青山スタンダード科目を履修することで、知識の定着と発展がめざせます。私自身が授業設計に関わった「情報スキルⅠ」では、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint)の実践的技術を徹底的に習得すると同時に、情報化社会に不可欠な情報モラルを身につけます。
青山スタンダード科目は全学共通で授業を実施するため、学部の垣根を越えて学生同士が交流できる点も特徴です。この教育システムを活用して得られる多彩な学びは、青学生が社会へ羽ばたく上で大きな支えになるでしょう。
異分野の学びや人との協働を促進し、社会変化に対応できる人材を育成。
青山スタンダードを通じて獲得できるものは、幅広い分野の知識だけではありません。異分野の学びがもたらす新たな視点も、学生の成長につながります。他の学問の立場から専攻分野をとらえ直せば発見が生まれるでしょうし、異分野そのものへの関心が高まり、進路の幅が広がる可能性もあります。実際に、文系学部の学生が青山スタンダードをきっかけに理系分野に興味をもち、その研究に励むために相模原キャンパスの理工学部の研究室に通い、海外の大学院をめざした例もあります。また、他学部の学生と接する中で生まれる気づきも重要です。出身や専攻分野の異なるさまざまな学生と向き合うことで、自分にはない価値観や発想を知り、それぞれの個性を生かして協働する意味と素晴らしさを体感できるでしょう。高校までの経験では得られない学際知にふれ、自らの学びや人生の方向性を確認する場として、青山スタンダードは大切な役割を担っているのです。
人と人との直接的なつながりが教育の基盤であることはもちろんのことですが、こうしたキャンパスや学部の枠にとらわれない授業を実施する上で、オンライン授業をうまく取り入れることは非常に有用です。2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行を受け、一挙に遠隔授業の体制が整えられました。今後、この技術を活用すれば、場所をキャンパスに限定することで生じていた学びの障壁が取り除かれ、あらゆる場面において多様な授業を行うことが可能になるかもしれません。近い将来に向けた授業設計でいえば、SDGs関連科目も、今以上に整えていきます。地域社会への貢献活動から学ぶサービス・ラーニングや、SDGsに関する学内の研究成果を学ぶ科目など、さまざまな授業の展開が見込めます。さらに、Society5.0の社会に向けて、データサイエンスやAIについての全学的な教育も進めていきます。すべての青学生の基礎的な教養を培い、社会状況に応じた先進的な取り組みを進めるべく、これからも青山スタンダード科目は発展を続けていきます。
青山スタンダード教育機構の概略
青山スタンダード教育機構(以下「機構」と略します)は、青山学院大学の全学共通教育課程である「青山スタンダード科目」を実施するための全学的な組織です。よってその業務内容は、青山スタンダード科目の編成、運用、科目開発、科目評価から青山学院大学における教養教育のあり方の検討および設計までを含む広範囲なものとなっています。機構の構成員は青山学院大学に所属する全教員です。従来の全学共通科目担当教員が主に担当するという体制ではなく、全学の教員がそれぞれの専門性や経験を教養教育に活かす事が出来るような体制が理想的であると考えています。
これまで本学で実施してきた全学共通科目とは全く異なる領域構成、科目構成となっています。青山スタンダード発足以前は、各学部がそれぞれの専門性に近い科目を担当する責任担当学部制をとり、キリスト教概論担当者会、第二外国語担当者会、保健体育関連科目担当者会とともに、Ⅰ群からⅥ群までの科目群および第二外国語という科目構成で全学共通科目の運営を行なってきました。青山スタンダード科目では、「キリスト教の理解に関連する領域」、「人間の理解に関連する領域」、「社会の理解に関連する領域」、「自然の理解に関連する領域」、「歴史の理解に関連する領域」、「言葉の技能に関連する領域」、「身体の技能に関連する領域」、「情報の技能に関連する領域」「キャリアの技能に関連する領域」からなる9つの領域を柱として、それぞれの領域を全学生に履修してもらいたい「コア科目」と発展型である「テーマ別科目」に分けています。また、1年生を対象とした小人数クラスで行なう「フレッシャーズ・セミナー」や、大学で学ぶことの意義を理解することを目的とした「ウェルカム・レクチャー」、大学を卒業したあと、どのような職業につけばよいのだろうということを入学時から考える「キャリアデザイン・セミナー」などを新しい試みとして導入しています。これらの科目は、科目を担当している教員を中心に組織される機構によって運営されます。機構の構成員は流動的なものとなり、全学的な教養教育を担当する組織としての維持運営を安定的なものとするためには、全学的規模の責任体制が必要となります。よって、新しい教養教育課程である青山スタンダード科目に関する全責任は大学執行部が負うことになっています(副学長が機構長となります)。実際は副学長の職務内容を考慮して、機構運営の実務については副機構長(2名:専任教員から機構長が推薦し、学長が委嘱する)が代行して、そのうち1名は機構長から業務の執行に関する権限委任を受けて、機構の最高決議機関である機構会議議長となります。
機構には、機構長、副機構長を中心とする機構役員会が設置されており、教養教育全体の評価、開発、実施が円滑になされるための体制づくりが行なわれます。役員会の下部組織として、「教育評価委員会」(青山スタンダード科目に関する評価を行なう)、「教育開発センター」(教養教育カリキュラムおよび科目の開発と戦略的な提案を行なう)、「予算委員会」(予算原案の作成および実施案についての検討を行なう)が設置され、それらの所長及び委員長は役員会の構成員となります。「機構会議」は、機構長、副機構長(機構会議議長及び副議長)、各領域担当者会コンビナー、学部および独立研究科代表(教務主任)、学長指名委員、拠職上の事務職員によって構成され、機構の最高意思決定機関、執行機関としての責任と権限を有します。機構会議における様々な決定事項は、機構長から学部長会に発議され、各学部教授会で審議されます。実際のカリキュラム編成に関する実務は、年度の授業担当者によって構成される「領域担当者会」において行なわれます。領域担当者会は、コンビナーを中心に、それぞれの領域に配置された科目と関連の深い各学部及び独立研究科教務主任と連携を取りながら、次年度の科目内容および担当者を審議し、機構会議にカリキュラム原案を提出します。領域担当者会は、役員会に対して予算提案を行なう、または科目開発に関する提案を行なう場所でもあります。さらに学際領域科目など領域担当者会相互の調整が必要な場合は、「領域連絡会」を開催して責任分担を明確化します。
以上が機構組織全体の概略です。
青山スタンダード教育機構組織図
青山スタンダード教育機構の運営
教育評価委員会は、当該年度のスタンダード科目の実施状況に関し評価を行ない、その結果を役員会に報告します。役員会はこれを受けて教育開発センターに対して次年度の科目構成に関する原案作成を依頼します。教育開発センターは、評価結果および学外から得られる情報を元に、新たな予算項目を含めたカリキュラムの大枠に関する原案作成を行ないます。これに従って役員会は、予算委員会に対して次年度予算原案の作成を依頼します。
なお、フレッシャーズ・セミナーやウェルカム・レクチャー、キャリアデザイン・セミナーに関しては、当面は担当者会を設けずに教育開発センターが中心となり、科目評価結果をもとに、科目の運営及び将来構想についての検討を加え、実施案を作成して行きます。現在は専任教員の自主的な参加によって運営されています。
また、青山スタンダード科目を担当する専任教員の人事権は、各学部および独立研究科の専任教授会が有しており、機構は人事に関する発議権を持っていません。機構としては、各学部及び独立研究科の専任教授会に対して、該当する人事案件が発生する場合、学部・学科教育のみならず、青山スタンダード科目の円滑な実施と充実に向けて機構とも協議を行いつつ人選に当たっていただきたいという要望を出しております。
青山スタンダード科目と、その維持運営組織である青山スタンダード教育機構は、青山学院大学の教養教育を充実させて行くための新しい流れです。今後も我々機構運営に携わる教職員は、常に教養教育システム全体を評価して、青山学院の教育理念に基づくより質の高い教育を学生に対して提供していきたいと考えています。