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支援センター長あいさつ

社会情報学部 長橋 透

社会情報学部 長橋 透

支援センター長あいさつ

 2021年5月に改正・公布された障害者差別解消法が、3年の猶予期間を経て、この2024年4月に施行されました。これにより障がい者に対する不当な差別的取扱いの禁止に加えて、合理的な配慮の提供が全ての大学等でも「義務付けられる」ことになりました。ここで特に重要なのは、国連の障害者権利条約(2006)に反映されている障がいの「社会モデル」という考え方です。社会を大学で例えるのならば、「障がいのある学生が何らかの不利益を被るのは、障がいのない学生を前提に構築されてきた今までの大学(授業方法、制度、施設など)に問題がある」と解釈できるでしょう。
 青山学院大学では2018年4月に、青山・相模原の各キャンパスに精神系コーディネーターを1名ずつ置いた「障がい学生支援センター」がスタートしました。本センターの目的は、この社会モデルの考え方にもとづき、障がいのある学生が障がいのない学生と同等の教育・研究の機会を得ることができるように、特にそのスタート時点の環境作りのお手伝いをすることです。さらにキャンパス内に存在する心理的・物理的なバリアを取り除くために、理解啓発活動や施設のバリアフリー化の推進も行なっています。現在では本センターの支援コーディネーターは、青山キャンパスには精神系3名と身体系1名、相模原キャンパスには精神系2名(うち1名は10月着任予定)と身体系1名となり、体制は整いました。
 障がい学生支援は、まず学生からの「合理的配慮をして欲しい」という意思表明があって初めて始まります。そして学生と学部・研究科との「建設的対話」の結果として支援内容が決まるため、学生がどのような状況に困っているのかを支援コーディネーターが把握することがとても重要です。最近その割合が増えている精神障がい、発達障がい、そして病弱・虚弱の学生の中には、このコーディネーターとの継続的なコンタクトが難しくなるケースがあります。適切な支援を進めていくためにも、保護者を含む関係者の皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。
 本学の教職員が「障がいの社会モデル」への理解をより深め、そして「建設的対話」の重要性についても学生と学部・研究科双方がより認識することで、障がい学生支援を大学のインフラの一つとして根付かせていきたいと思います。これからも本センターは、本学の教職員そして学生生活支援に関わる保健管理センターや学生相談センターとの連携を通じて、すべての学生の「学ぶ権利」が守られた、多様な価値観を認め合う「普通」のキャンパスの維持に力を注いでいきたいと思います。