教員の出版物(総合文化政策学部)
2026
ソーシャルメディアの倫理的デザイン
河島茂生
【Edited Book】岩波書店, 2026, ISBN: 978-4000617635
急速な普及により、いまや社会のインフラとなったソーシャルメディア。だが中傷・炎上・フェイクニュースなどの問題も深刻化している。規制や制限に留まることなく、利用することで我々の生活と社会をより良く変えていくメディアへと再生するために求められる指針=〈倫理〉のあり方とは。気鋭の研究者による共同研究。
責任ある人工知能ロボット: 倫理・法・社会的観点から考える未来
河島茂生・河井大介
【Book Chapter】In: 高橋利枝 編, コロナ社, 2026, ISBN: 978-4339034059
人工知能(AI)やロボットは、私たちの生活や社会を大きく変えつつあります。その一方で、プライバシー侵害、差別や偏見の再生産、責任の所在の不明確化など、新たな倫理的・法的・社会的課題も生じています。本書のタイトルに掲げた「責任ある人工知能ロボット(Responsible AI Robotics)」とは、AIロボットそのものに責任能力を帰属させることではなく、人間がその開発・運用・利用に責任を持ち、社会実装を適切に方向づけるべきであるという立場を示しています。本書は、「ヒューマン・ファースト・イノベーション」を理論的・実践的視座として提示し、AIと人間の関係をめぐる倫理・法・社会的課題を総合的に探究します。
2025
観客が生み出すアートマーケティング〜芸術祭と地域をコミュニケーションでつなぐ
佐野直哉
【Book】水曜社, 2025, ISBN: 978-4880655789
“思想なきマーケティング” が跋扈するアートプロジェクトや地域型芸術祭に一石を投じる。
SNSなどソーシャルメディアを中心としたコミュニケーション・デザインに着目する。
ソーシャルメディア(SNS)は、芸術祭や美術館などのマーケティングに欠かせない。しかし地域型芸術祭が「地域活性化」という言葉をまとい経済的効果を求められる現状にあって、無自覚にSNSを濫用するマーケティングは、かかわる人びとが注力してつくりあげる地域密着型の芸術祭に誤解を生じさせかねない。
マーケティングも「地域活性化」「地域再生」の言葉の意味を十分に理解と検証した上での戦略と施策であるべきだ。“思想なきマーケティング” が跋扈するアートプロジェクトや地域型芸術祭に一石を投じる意欲作。
[本書で取り上げる芸術祭]
奥能登国際芸術祭/茨城県北芸術祭/さいたまトリエンナーレ/UNMANNED無人駅の芸術祭〈大井川〉
2023
革命と住宅
本田晃子
【Book】ゲンロン, 2023, ISBN: 978-4907188511
社会主義国であるソ連では、基本的には住宅を個人で所有することはできませんでした。住宅は公的機関によって建設され分配されるものであり、そこにはそれぞれの時期の指導者の方針が反映されました。家族を解体し集団生活することを念頭に設計された1920年代の共同住宅から、スターリン期の豪奢なエリート向け住宅、そしてフルシチョフによる団地の大量建設……本書前半では、このように極端から極端へと移り変わったソ連の住宅と、その背後にあった共同体観を論じます。
ソ連時代には、無数のアンビルト建築が生まれました。ロシア・アヴァンギャルドの理念先行型の建築モデルから、スターリン時代最大の建設プロジェクトでありながら未完に終わったソヴィエト宮殿、そしてソ連末期に建設を目的とせずに描かれたペーパー・アーキテクチャー作品……後半ではこれらのアンビルト建築を取り上げ、イメージとしての建築が持ちうる意味を論じます。
2022
都市を上映せよ ソ連映画が築いたスターリニズムの建築空間
本田晃子
【Book】東京大学出版会, 2022, ISBN: 978-4130611435
映画はソ連体制の主要なプロパガンダ装置でしたが、建築にとっても重要なメディアでした。本来建築は、建設されたその場所から動くことのできません。しかし映画に撮影されれば、ソ連中、さらには世界中を流通することが可能になるからです。実際、スターリン時代の建築や都市は――実際には建設されなかったものも含め――しばしば映画の背景となりました。
その一方で、巨大な影響力を持つマスメディアである映画の表現は、検閲によって厳しく統制されもしました。したがってこの時期しばしば映画の中に描かれたソ連の首都モスクワや博覧会会場、地下鉄駅などの建築空間は、現実の都市・建築というよりも、それらとスターリニズムの理想や欲望とが混淆したイメージだったのです。本書では具体的な映画作品を取り上げ、都市や建築のイメージがどのような意図のもとにどのように操作されたのかを論じます。
2020
分離派建築会──日本のモダニズム建築誕生
天内大樹
【Book Chapter】In: 田路貴浩 編, 京都大学学術出版会, 2020, ISBN: 978-4814002955
1920年に結成した日本の建築運動「分離派建築会」の百年記念研究会の成果.2023年日本建築学会賞(業績)「分離派建築会の活動を多面的に解明した調査・研究・展覧会」(分離派 100 年研究会,パナソニック汐留美術館,京都国立近代美術館)の一部.
2014
天体建築論 レオニドフとソ連邦の紙上建築時代
本田晃子
【Book】東京大学出版会, 2014, ISBN: 978-4130668545
1920年代後半のソ連建築界に突如登場し、構成主義建築の星と呼ばれた建築家、イワン・レオニドフ。
彼は黒地の背景に繊細な白い線でもって、幾何学的で宇宙的な建築イメージを描きました。しかし1930年代に入ると、彼の抽象的なデザインは批判の対象となり、その名はあっという間にソ連建築界から消えていきます。結局彼は、一度として自分の設計した建築物を実現する機会を持ちませんでした。にもかかわらず、彼の作品は現在も世界の建築家にインスピレーションを与え続けています。
本書ではそのような彼の作品を、革命という出来事を建築という形式を通して具現化しようとした試みとして読み解きます。他方、レオニドフを批判したスターリニズムの建築プロジェクトも、重要度が高いものほど実現されませんでした。本書では、なぜスターリン期のソ連の建設プロジェクトの多くがこのように「紙の上の建築」に終わる傾向にあったのかについても、考えていきます。