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地図に描かれる境界と共生
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![青山学院大学<br>地球社会共生学部教授 <br> 村上 広史 [MURAKAMI, Hiroshi]](https://ac.cdn-aoyamagakuin.com/wp-content/uploads/2020/06/村上広史写真.jpg)
青山学院大学
地球社会共生学部教授
村上 広史 [MURAKAMI, Hiroshi]
地図に描かれる境界と共生
第4回 2020/7/18(土)
青山学院大学地球社会共生学部教授 村上 広史 [MURAKAMI, Hiroshi]
私たちは、目に見えない様々な「境界」に囲まれながら生活しています。一番身近なところでは、土地の境界や自治会の境界、さらには学校区や選挙区の境界、そして地方自治の境界である市区町村や都道府県の境界があります。公的機関や民間企業が行うサービスの中にも、組織やサービスごとに担当区や郵便番号のような区割りが決まっている場合があります。これらの境界は、多くの場合地図にその位置が描かれ、関係者の間で認識が共有されますが、私たちが普段目にすることは少なく、境界自体が目に見える存在ではないため、境界の存在を意識することなく生活していることが多いかもしれません。しかし、何らかの形で土地と結びついたこれらの境界は、境界の内側と外側、すなわち、境界内の構成員とそれ以外を明確に区別するため、私たちが境界内の他の構成員との共生を考えるうえでは、重要な役割を果たす場合があります。本講義では、このような境界が地図に描かれる中で、境界内外の共生にどのように役立ち、影響を与えるのかなどについて、以下のようないくつかの境界を例にご紹介します。
1. 土地の所有界
わが国の土地の所有界は、まだ50%余りしか正確に測量されていません。とりわけ都市部の測量が遅れています。困ったことに、災害で境界杭の所在が不明となった場合には、最初に所有界の確認が必要となるため、復旧に必要以上の時間がかかります。
2. ハザードマップに記載された災害リスクの境界
わが国は、地球上で自然災害の発生しやすい場所に位置しているため、住居及びその周辺にどのような自然災害リスクの境界があるかをハザードマップを通して知っておくことは、同様なリスクを有する住民との共生を考えるうえで重要です。
3. 国境
国境は地図に描かれる境界の中でも、最も影響のある線と言えるでしょう。争いの象徴となることもあれば、平和の基礎となることもあります。アフリカのエリトリアとエチオピアの国境紛争を例に、地図が国境に果たす役割を紹介します。
4. 島国である日本の領土界
わが国には陸続きの国境はありませんが、領土問題は存在します。この問題に地図はどのように関係しているか紹介します。
プロフィール
青山学院大学地球社会共生学部教授
村上 広史 [MURAKAMI, Hiroshi]
東北大学理学部地球物理学科卒、同修士課程修了、米国ジョージア大学地理学部PhD課程修了。国際連合事務局ニューヨーク本部地図課長、国土交通省国土地理院長を経て、現在青山学院大学地球社会共生学部教授。専門分野は地理空間情報科学(写真測量、リモートセンシング、GIS)