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遠隔講義システムを利用したコロナ時代の情報システム技術者育成

青山学院大学<br>社会情報学部 准教授<br>松澤 芳昭[MATSUZAWA Yoshiaki]

青山学院大学
社会情報学部 准教授
松澤 芳昭[MATSUZAWA Yoshiaki]

遠隔講義システムを利用したコロナ時代の情報システム技術者育成

第1回 2021/10/16(土)

青山学院大学 社会情報学部 准教授 松澤 芳昭[MATSUZAWA Yoshiaki]

 2020年に人類に襲来したコロナウィルス感染症、それに伴う社会生活様式の変化は、潜在的な社会システムの問題を浮き彫りにしました。ICT(情報通信技術)活用の観点では、感染者数計測の人海戦術、定額給付金の支給の遅さ、接触追跡システムCOCOAの不具合放置問題などが報道されました。国連がまとめる電子政府ランキングでは日本は18位、PISA(国際学力調査機関)による教育ICT活用調査では、日本はICT利用時間においてOECD加盟国で最下位、OECDデータに基づく時間あたりの労働生産性はG7で最下位、と日本は現状で「ICT後進国」であることを認めざるを得ないデータが並んでいます。
 こうした背景で、近年では、行政、産業ともにデジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードで、ICTを活用した積極的な業務改革を行うことを推進しています。私が専門とする情報システム分野では、この問題の解決には、機械(コンピュータやソフトウェア)のデザインだけでなく、人間活動(人がコンピュータをどのように使うか)のデザインも必要であることを議論してきました。青山学院大学社会情報学部では、このような観点で情報システムのデザインを行い、DXを推進できる学生を育成する授業を展開してきました。
 今回の講演では、現在取り組んでいるアクティブ・ラーニング(講義を受けるだけではなく、学生が活動をすることで学ぶ方法)による新しい情報システム人材の育成法について報告します。学生はビジネス・ゲームにて企業経営の疑似体験をしながら、経営を効率化するための業務改革とICT活用を考えることで、DXを実践しながら学びます。2020年度はコロナウィルス感染症対策でフル・オンライン(教師、学生ともにPCを利用した遠隔環境)での授業の運営も行いました。 Zoomや電子メールなどオンライン上でのツールを工夫して活用することで、対面と同等以上の演習をすることが出来、授業自体のDX化にも成功しました。


プロフィール

青山学院大学 社会情報学部 准教授
松澤 芳昭[MATSUZAWA Yoshiaki]


2002年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2007年同後期博士課程単位取得退学、博士(政策・メディア)。2008年より静岡大学情報学部特任助教、同学部助教、講師を経て、2017年より青山学院大学社会情報学部准教授。情報システム学を応用したユーザ中心のソフトウエア設計と開発、情報教育、学習科学の研究に従事。日本教育工学会、情報システム学会、教育システム情報学会各会員。