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投資のリスクとリターンを知るための分析

白須 洋子[Shirasu Yoko]

白須 洋子[Shirasu Yoko]

投資のリスクとリターンを知るための分析

第4回 2020/5/30(土)
経済学部経済学科 教授
白須 洋子[Shirasu Yoko]

自由活発な経済・金融活動とは、自分の考えていることをやれる又はそのような機会を持てることであり、市場で取引されている「お金」を有効に使って自らリスクを管理しながら、社会活動を営むことである。そのためには、市場を中心としたファイナンスの基礎知識、それを客観的に判断できるデータの基礎的な分析力が不可欠である。
本講義では、具体的には日本の株式について、基本的な統計の知識(平均、分散、共分散、相関係数等)のみを用いて、リスクとリターンとの関係、分散投資について学んでいく。株式投資というと難しそうな印象を受ける方もおられるかもしれないが、基本的なリターンとリスクの関係は平均・分散から、効率的な株式ポートフォリオの概念は相関係数という最も基礎的な統計知識があれば、容易に理解することができる。また、講義ではエクセルシートの利用も紹介しながら、説明していく予定である。
まずは、個別の株式のリターンとリスクの関係から見ていく。これには、平均と分散さえわかればよい。1つの個別株式について、ファイナンスの理論から、また統計の視点から説明する。
次に、2つの株式のリスクとリターンの関係を見ていく。通常、1つの株式に全財産を投資することは希であり、少なくともいくつかの株式に投資するので、複数の株式投資のリスクとリターンを考える。これは、平均と分散のほか、相関係数の概念がわかればよい。相関係数を使ってうまく株式を組み合わせると、なんと、リスクゼロのポートフォリオを作ることさえできてしまう。ファイナンスの理論的な説明もあわせて行う。
さらに、安全資産を加えて考えてみる。投資家は通常、預金等の安全資産を保有しているからである。ポートフォリオに加える株式数も増やしてみる。すると市場リスクのみが残る。この市場リスクとリターンとの関係を、平均・分散・共分散から考える。これはCAPMと言われ、代表的な株価決定モデルでもある。
最後に、自分が投資しようとする株式が割安株なのか割高株なのかを、統計の方程式の切片の概念から理解する。さらに、市場(TOPIX)指標とほぼ同じ動きをするポートフォリオを、自分でも作れることを説明する。加重平均の概念さえわかればよい。人気のある、市場連動型と言われる投資信託の商品の仕組みを理解することができるであろう。
以上のように本講義では、統計の基本的な知識を用い、株式投資の概念を理解していくことを目的とする。

プロフィール

青山学院大学経済学部経済学科 教授
白須 洋子[Shirasu Yoko]


横浜国立大学大学院博士後期課程修了、博士(経済学)。住宅金融公庫、金融庁金融研究センター研究官、青山学院大学准教授等を経て、現職。京都大学経営管理大学院客員教授、金融庁金融研究センター特別研究員、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員等を歴任。『市場競争と市場価格』(共著,2005)、『総合分析株式市場の長期投資』(共著,2010)の外、国内外の専門誌に論文掲載。